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火山山麓地域における地盤の凍上特性に関する研究

氏名 福田 誠
学位の種類 工学博士
学位記番号 博甲第3号
学位授与の日付 昭和62年6月30日
学位論文の題目 火山山麓地域における地盤の凍上特性に関する研究
論文審査委員
 主査 教授 小川 正二
 副査 教授 池田 俊雄
 副査 教授 服部 賢
 副査 助教授 小長井 一男
 副査 東北大学 教授 柳澤 栄司

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第1章 緒論 p.1
1.1 まえがき p.1
1.2 既応の研究 p.2
1.2.1 凍上のメカニズム p.2
1.2.2 凍上速度に関する試験的研究 p.3
1.2.3 凍結融解作用を受けた土の軟弱化現象 p.4
1.2.4 安定処理工法による凍害防止に関する研究 p.6
2.3 本研究の基本的な考え方 p.9
2.4 本研究の目的 p.11
参考文献 p.12
第2章 現位置試験地周辺の地質と土の物理的性質 p.14
2.1 まえがき p.14
2.2 浅間山南東麓の地質 p.14
2.3 浅間山南東麓の土の物理的特質 p.18
2.4 八ケ岳山麓の地質 p.21
2.4.1 蓼科高原溶岩 p.21
2.4.2 八ケ岳北西山麓の岩屑、ローム層 p.21
2.4.3 八ケ岳南東山麓の岩屑、ローム層 p.22
2.5 八ケ岳周辺の土の物理的性質 p.26
2.6 凍上対象層 p.27
2.7 要約 p.28
参考文献 p.30
第3章 現位置地盤における凍上・凍害特性 p.31
3.1 まえがき p.31
3.2 浅間山南東麓(降下火山灰地帯)の凍害特性 p.32
3.3 八ケ岳北西麓、南東麓(泥流堆積層地帯)の凍害特性 p.43
3.4 現位置地盤(八ケ岳北西麓)の凍上特性調査 p.48
3.4.1 凍上量と凍結指数の関係 p.48
3.4.2 凍結深と凍結指数の関係 p.49
3.5 要約 p.52
参考文献 p.55
第4章 Closed Systemによる火山灰土の凍上特性 p.56
4.1 まえがき p.56
4.2 試料土の物理的性質と試験方法 p.60
4.3 試験時の温度条件 p.61
4.4 凍結時の温度条件 p.62
4.4.1 凍結時の供試体内温度変化 p.62
4.4.2 凍結指数と凍結指数勾配 p.62
4.4.3 一次凍上と二次凍上 p.64
4.5 凍結時の水分移動 p.66
4.5.1 凍結時の水分移動過程 p.66
4.5.2 水分移動と含水比、飽和度の影響 p.69
4.5.3 水分移動と凍結指数の関係 p.71
4.6 凍上現象に与える諸因子の影響 p.73
4.6.1 凍上量、凍結深の進行過程 p.73
4.6.2 凍上量への含水比、飽和度の影響 p.74
4.6.3 凍上量への凍結時間、温度条件の影響 p.76
4.7 Closed Systemでの凍上の発生機構 p.79
4.8 凍結融解作用を受けた土の強度特性 p.80
4.9 凍結融解後の土の圧密特性 p.82
4.10 要約 p.87
参考文献 p.89
第5章 簡易凍上量のための諸物性値の決定 p.90
5.1 まえがき p.90
5.2 室内試験より求めた諸物性値 p.91
5.2.1 凍結深入速度と凍結指数の変化率の関係 p.91
5.2.2 凍上速度と凍結深進入速度の関係 p.92
5.2.3 一次凍上量と最終凍上量の関係 p.94
5.3 現位置調査より求めた諸物性値 p.96
5.3.1 凍結深と凍結指数の関係 p.96
5.3.2 凍上量と凍結指数の関係 p.97
5.3.3 凍上速度と凍結深進入速度の関係 p.100
5.3.4 一次凍上量と最終凍上量の関係 p.101
5.4 凍上量予測法 p.103
5.4.1 室内試験での凍上量予測法 p.103
5.4.2 現位置の凍上量予測法 p.108
5.4.3 凍上量予測法に必要な物性値 p.111
5.5 分離ポテンシャル理論の凍上量予測への応用 p.112
5.5.1 分離ポテンシャル理論 p.112
5.5.2 分離ポテンシャル理論の現位置凍上量予測への適用 p.113
5.5.3 凍上対象層の分離ポテンシャル SPf p.116
5.5.4 分離ポテンシャル SPfの評価 p.120
5.6 凍上量予測 p.122
5.7 要約 p.124
参考文献 p.126
第6章 Closed Systemを考慮した凍上防止対策工法 p.127
6.1 まえがき p.127
6.2 凍上防止対策工法とその効果 p.128
6.3 路盤用粗粒材の凍上特性 p.136
6.4 道路の切盛形状に伴う凍害 p.139
6.5 各種凍上防止対策工法の適用条件 p.140
6.6 要約 p.143
参考文献 p.144
第7章 結論 p.146
謝辞

 本論では火山山麓地域における地盤の自然凍上問題を主に土の凍結機構に関して、水の補給が無いクローズドシステムでの凍上特性について検討している。このうち凍上量予測の検討は、土の凍結機構に比べて定量的に評価するのは難しい領域であるが、火山山麓地域における実際の建設工事に係わる凍害防止を考究する際には必要不可欠なことである。
 これらの問題を検討するために火山山麓地域であり、第四紀火山である浅間山の南東麓付近における降下火山灰層、八ケ岳の北西麓および南東麓付近における泥流堆積層の2つの地域での凍上特性を検討した。
 この2地域の凍上機構の解明のため原位置調査によって凍上量、凍結深さ、地盤内水分移動、地下水位等を把握して、地盤の凍結による凍害特性の原位置調査による凍害図に基づいて解明を行った。その結果に基づいてクローズドシステムの条件で外的条件、内的条件を制御した室内実験により土の凍上に影響する要因を明らかにし、さらにこれらの性質に基づいて火山山麓地域での凍害特性の評価に基づく凍上防止対策工法についても言及した。
 本論文は「火山山麓地域における地盤の凍上特性に関する研究」と題し、次の7章より成り立っている。
 第1章では、土の凍上の発生機構の一般的なメカニズムを述べ、これより高含水比土の凍上特性に関する問題を述べ、本研究の基本的な考え方である火山山麓地域のような地盤の複雑な場所における地盤の自然凍上問題を土の凍結機構に関して水の補給の無いクローズドシステムとしてとらえる方法を提案し、合せて当該防止工法の概念を述べた。最後に本研究の目的について述べている。
 第2章では第四紀火山であり降下火山灰層地帯である浅間山南東麓と泥流堆積地帯の八ケ岳北西麓及び南東麓の凍上試験地付近での地質構造を明らかにした。さらに地層構成より当該試験地付近の凍上対象層を抽出し、その地層の土質特性を明確にした。
 第3章では降下火山灰層地帯および泥流堆積層地帯における道路の凍害特性を調べるため地形変化に伴う堆積特性と地下水位、地盤内部の水分移動を夏と冬に数ヶ所でボーリング調査と土質試験を実施し、同時に原位置凍害調査を行ったことについて述べた。
 第4章では、原位置調査結果に基づいて上部の一方向から冷気を加えたクローズドシステムによる室内実験を行い火山灰粘性土の凍上に影響する要因と凍結融解後の強度特性および圧密特性を明らかにした。
 第5章では地盤凍上の発生機構が凍結線の侵入速度に依存することに着目し、原位置の外気温条件を積算寒度で表し凍結深進入速度と凍上速度の関係など凍上現象に関係する種々の性質を解明し原位置凍上量予測を行った。次に分離ポテンシャル理論を適用し、泥流堆積層地帯の凍上対象層の分離ポテンシャルSPhを算出し、その結果を基に凍上量予測を行い、分離ポテンショナル理論の凍上量予測への適用性についても述べた。
 第6章では原位置凍害調査からA層は水の補給が無くても地盤内の水分が地表面付近に移動し、凍上量の大きくなる地盤であることが明らかになり、またクローズドシステムにより室内実験を行い、さらに詳しく地盤内部の水分移動の要因、強度低下と低荷重でも沈下が生じることが解明された。このような地盤上に建設された舗装道路における各種凍上防止対策工法の効果を検討した。
 第7章では以上の研究成果を要約し結論とした。

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