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A Study of Printed Polygonal Loop Antennas

(プリント多角形ループアンテナに関する研究)

氏名 蔡 茂
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博甲第49号
学位授与の日付 平成3年9月30日
学位論文題目 A Study of Printed Polygonal Loop Antennas(プリント多角形ループアンテナに関する研究)
論文審査委員
 主査 教授 伊藤 猷顯
 副査 教授 松田 甚一
 副査 教授 神林 紀嘉
 副査 教授 内藤 祥雄
 副査 助教授 關 一

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Contents

Preface V

1 Introduction p.1
1.1 Backgrounds p.1
1.2 Purpose of This Study p.2

2 Base of Printed Polygonal Loop Antennas p.4
2.1 Characteristics of Printed Antennas p.4
2.2 Characteristics of Polygonal Loop Antennas p.13
2.3 Conception of Prinded Polygonal Loop Antennas p.17

3 Basic Type of Printed Polygonal Loop Antenna(PPLA) p.19
3.1 Configuration of PPLA p.19
3.1.1 Structural Parameters p.19
3.1.2 Effects of Structure Parameters p.21
3.1.3 Optimum Values of Structural Parameters p.26
3.2 Distributions of Surface Electric Current p.28
3.3 Characteristics of PPLA p.31
3.4 Summary of Chapter 3 p.39

4 Suppression of Cross-pol Radiations of PPLA p.40
4.1 Causes of Cross-pol Radiations p.40
4.2 Suppression of Cross-pol by Symmetrically Connecting Two PPLAs-Center-driven PPLA p.41

4.2.1 Configuration of Center-driven PPLA p.41
4.2.2 Current Distributions of Center-driven PPLA p.43
4.2.3 Characteristics of Center-driven PPLA p.45
4.3 Improvement on XPD by Loading a Parasitic Element p.52
4.3.1 Structural Parameters of Parasitic Element p.52
4.3.2 Characteristics of PPLA with a Parasitic Element p.55
4.3.3 Optimum Shape of she Parasitic Element p.60
4.4 Summary of Chapter4 p.63

5 Combined Polygonal Loop Antenna(CPLA)with Circularly Polarzed Conical Pattern p.64
5.1 Circularly Polarzed Conical Pattern p.64
5.2 Configuration of CPLA p.66
5.3 Characteristics of CPLA p.68
5.4 Summary of Chapter5 p.71

6 Conclusions p.72

A Formulation of Spectral Domain Method for PPLA AnalysisCPLA p.74
A.1 Derivation of Green's Function in Spectral Domain p.74
A.2 Derivation of Matrix Equation for Current Distribution p.80
A.3 Evaluation of Singularities in Green's Function p.84

References p.88

The Author's Contributions p.90

高度情報化社会の急激な発展に対応して、その中核となる通信システムは高性能化によって需要に即している。その中でも、移動体通信システムは、何時でも、何処でも、通信できるという特徴を有するために、需要が急増し、周波数不足を補う為に高い周波数帯の活用が求められている。
 プリントアンテナはその小型、軽量、低価格の特徴により、UHF、SHF帯における移動体通信システムに最も適したアンテナとして盛んに研究されている。しかし、典型的なプリントアンテナの比帯域はわずかに数%で、その狭帯域性は適用領域を制限している。
 本研究の目的はプリントアンテナの利点をできるだけ保ちながら、広い動作周波数範囲を持つアンテナ素子を開発することである。小型・薄型の利点を持つプリントアンテナと、比較的広帯域なインピーダンス特性を有する多角形ループアンテナを融合して、プリント多角形ループアンテナ(PPLA)と名付けた広帯域プリントアンテナを提案し、そのアンテナの諸特性の評価、改善及び理論解析について研究を行った。
 本論文は"A Study of Printed Polygonal Loop Antennas"と題し、6章で構成されている。
 第1章"Introduction"では、本研究の背景として、移動体通信の発展に応じて、小型、軽量、低価格という特徴を有するプリントアンテナが盛んに研究されている現状について概観し、プリントアンテナの狭帯域の問題は実用化の大きな制約となっていることを指摘すると同時に、本研究の位置付けと目的を述べている。
 第2章"Base of Printed Polygonal Loop Antenna"では、従来のプリントアンテナの特徴、問題点及び広帯域化の方法について展望し、併せて、典型的な多角形ループアンテナの特徴を述べた後に、PPLA概念の形成過程を述べている。多角形ループアンテナの形状はアンテナの帯域に大きな影響を及ぼすという事実から、簡単かつ便利なエッチング技術を用いて、ループアンテナを、プリント基盤上に作成し、アンテナの形状を変化することにより、期待する広帯域特性を実現するという発想に至った。さらに、反射板を用いて、アンテナの放射を上半空間に限定すると共に、給電部の形状を非対称にすることによって、ループアンテナと給電同軸ケーブルとの間の平衡-不平衡変換とインピーダンス変換を同時に実現する着想を得た。以上の考えに基づいて、PPLAのプロトタイプを得た。
 第3章"Basic Type of Printed Polygonal Loop Antenna (PPLA)"では、PPLAのプロトタイプの構造パラメータを変化させ、最適と思われるPPLAの構造を実験的に求めた。その結果、PPLAの帯域を1オクターブ(2:1)とすることができ、従来のプリントアンテナの数%と比較して、顕著な広帯域化を達成している。その帯域内ではPPLAは正面方向に6dBi以上の利得を持っている。PPLAの放射電磁界は基本的に直線偏波であるが、構造上の非対称性により、その直線偏波の方向が給電電界の方向と捩れているために、給電電界の方向を規準に計測した放射パターンに大きな交差偏波が現れている。また、コンピュータシミュレーションによる特性把握の可能性を求めて、スペクトラム領域法(SDM)によるPPLAの理論解析を行った。PPLAの表面電流分布はPPLAが従来の多角形ループアンテナと違って、スロットアンテナとよく似ていることを明らかにした。放射特性とインピーダンスの解析結果は実験値とよく一致し、PPLAの放射の仕組みの究明と共に、CADを目指す基礎を確立できた。
 第4章"Suppression of Cross-pol Radiations of PPLA"では、PPLAの交差偏波の抑圧方法を示す。2つのPPLAを左右対称に接続すること(中央給電PPLA)により、アンテナの正面では、交差偏波成分はなくなり高い交差偏波識別度(XPD)が得られた。SMDの解析結果も中央給電PPLAによるXPD改善の効果を証明した。さらに、PPLA直上に対称形状の無給電素子を装荷する手法を新たに考案した。主偏波ロープの最大値の差を交差偏波抑圧指数(XSF)と定義し、それを評価関数として、無給電素子の最適形状を求めた。その結果、XSFは20%の比帯域で15dB以上、8%の比帯域で25dB以上とすることができた。無給電素子のPPLAからの高さは約40分の1波長で、装荷にともなうアンテナ容積の増加は実用上無視できる程度である。
 第5章"Combined Printed Polygonal Loop Antenna (CPLA) with Circularly Polarized Conical Pattern"では、PPLAの応用例として、4つのPPLAを十字形に組み合わせ、中心部に設けられている給電回路より、各素子アンテナは振幅が等しく、隣接する素子の位相差が順次90゜進む(遅れる)様に励振して、円偏波円錐ビームを実現している。円錐ビームの最大放射方向は正面から45°の方向にある。円偏波円錐ビームを用いれば追尾の必要がないため、移動体通信での利用が期待される。
 第6章"Conlusions"では、本論文を総括し、本研究の主な結論及び今後の課題について記述している。

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