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凍結抑制舗装の機能改善と設計法に関する研究

氏名 鈴木 秀輔
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博甲第210号
学位授与の日付 平成12年3月24日
学位論文題目 凍結抑制舗装の機能改善と設計法に関する研究
論文審査委員
 主査 教授 丸山 暉彦
 副査 教授 丸山 久一
 副査 助教授 宮下 康幸
 副査 助教授 下村 匠
 副査 石川工業高等専門学校教授 西澤 辰男

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第1章 はじめに p.1

第2章 雪国の現状と問題点 p.4
2.1 雪国の現状 p.4
2.2 雪国の問題点 p.6
2.2.1 スパイクタイヤの使用規制 p.6
2.2.2 消融雪用水の汲み上げによる地盤沈下 p.12
2.3 冬期路面管理 p.13

第3章 凍結抑制舗装 p.16
3.1 凍結抑制舗装 p.16
3.2 凍結抑制舗装の歴史 p.17
3.3 凍結抑制舗装の分類と凍結抑制効果の発生原理 p.18
3.4 凍結抑制舗装の種類 p.19
3.5 凍結抑制舗装の適用箇所 p.25
3.6 凍結抑制舗装の実績 p.26

第4章 凍結抑制舗装の評価手法 p.31
4.1 室内評価 p.31
4.2 現道における評価 p.45
4.3 その他の評価 p.47

第5章 海外における凍結抑制舗装の評価 p.51
5.1 欧州での調査例 p.51
5.2 ドイツおよびイタリアでの調査 p.55
5.3 ロシアでの調査 p.58

第6章 配合設計方法の検討 p.63
6.1 凍結抑制効果の持続性の向上に関する検討 p.63
6.1.1 現地確認 p.66
6.1.2 凍結抑制効果を持続させるための検討 p.71
6.2 配合設計方法の検討 p.82

第7章 凍結抑制効果の持続性向上の検証 p.86
7.1 凍結抑制効果の確認 p.86
7.2 締固め度と単位時間・面積あたりの塩分の溶出量 p.88
7.3 締固め度と塩分溶出の継続時間 p.90
7.4 残留塩分量の舗装表面からの深さ方向の分布状況 p.91
7.5 まとめ p.92

第8章 凍結抑制材の適用拡大のための検討 p.94
8.1 粒度変更の検討 p.95
8.1.1 密粒度混合物(13)用凍結抑制材の検討 p.95
8.1.2 試作品Cによる評価 p.96
8.1.3 用途の検討 p.99
8.2 無塩化の試み p.100
8.2.1 無塩タイプ凍結抑制材の特徴 p.100
8.2.2 混合物性状 p.101
8.2.3 無塩タイプ凍結抑制材を添加した凍結抑制舗装の有効性 p.105
8.3 半たわみ性舗装への適用 p.108
8.3.1 試験概要 p.108
8.3.2 使用材料 p.108
8.3.3 試験内容 p.109
8.3.4 試験結果 p.110
8.3.5 まとめ p.112
8.4 その他の検討 p.113
8.4.1 凍結抑制瀝青系スラリー p.113
8.4.2 セメント系スラリー p.116

第9章 おわりに p.120
9.1 各章の総括 p.120
9.2 今後の研究課題 p.121

 日本の国土の6割を占める積雪寒冷地においては、冬季の交通安全を目的に様々な対策が行われている。そのなかの一つである凍結抑制舗装は、平成4年に施行された「一部地域におけるスパイクタイヤの使用規制」以後、適用が増加し、ロードヒーティング等に比べ、施工が容易で、コストが低い等もあり広く用いられている。
 凍結抑制舗装は、その凍結抑制効果の発現原因の違いにより(1)塩化物等の有効成分の溶出に伴い凍結を抑制する化学系(塩化物系)凍結抑制舗装、(2)ゴム等の弾性体を舗装表面に埋め込むことで氷板を破壊、氷着を防止する物理系(ゴム系)凍結抑制舗装に分類される。
 本研究では、これら凍結抑制舗装の内、化学系凍結抑制舗装(粉体塩化物系凍結抑制舗装)を取り上げ、凍結抑制効果に影響を及ぼす要因の検討および凍結抑制効果の持続性を向上させるための配合設計手法に関する検討を実施した。また、本研究を実施するに当たり、凍結抑制効果の評価手法を検討、開発した。このほか、当該塩化物系凍結抑制舗装を広く適用するため、素材の変更を含めた検討等も併せて実施した。
 本論文は、第1章から第9章までの章立てで構成されている。各章の概要は、以下のとおりである。
 第1章では、本研究の目的および内容の概略を述べている。
 第2章では、雪国の現状の概略を示すとともに、冬期の交通安全を目的とした路面管理の現状を示し、凍結抑制舗装の位置づけを示した。
 第3章では、凍結抑制舗装について、分類をおこない、その種類、概要、効果の発生原理を示すとともに、適用目的、適用箇所等の分類を行った。
 第4章では、凍結抑制舗装のうち、化学系凍結抑制舗装を取り上げ、凍結抑制効果を評価するために考察した試験方法を示している。本研究を開始した平成元年においては、凍結抑制舗装の効果を評価する手法としては、目視による冬期の現地調査等が主なものであった。しかし、当該方法では、調査の時期、気象条件、施工現場の状況(陰、日向等)等により正確に凍結抑制効果の判断を行うことは困難である。また、室内にいて簡便に凍結抑制効果の評価する方法はほとんどない状況にあった。このため、凍結抑制効果を室内で評価手法として氷着強度等、数種類の評価試験を考案したほか、凍結抑制効果の持続性を評価するための塩分溶出量確認試験等の開発を実施した。
 第5章では、欧州において実施された凍結抑制舗装の効果の持続性に関する調査を基に、調査方法、調査結果のとりまとめを実施した。凍結抑制効果の評価手法としては、国によって多少異なるものの、すべり抵抗による評価、路面からの剥離抵抗力による評価、溶存塩素イオンによる評価等、第4章で示した評価手法と類似した方法を実施していることがわかった。
 第6章では、スパイクタイヤが禁止されて以来、凍結抑制効果の持続性への懐疑的な意見が聞かれるようになってきたことを受けて、凍結抑止効果の発現に関わる要因を調査し、凍結抑止効果の発現、持続性の向上を目的とした配合設計方法を開発した。凍結抑制効果の持続には混合物の空隙が大きな要素となることが確認でき、これを保持するための配合設計法の提案を行った。
 第7章では、開発した配合設計手法の妥当性を確認することを目的に、凍結抑制効果の持続性の検証を実施した。塩分溶出量確認試験を長期継続する等、確認試験を実施し、当該設計手法の妥当性を確認した。
 第8章では、当該凍結抑制舗装の適用拡大を図るため、従来、寒冷地用のF付き混合物にのみ、適用可能であった凍結抑制材の粒度の見直しを行い、通常地域で用いられる混合物への適用可能な凍結抑制材の開発を行った。また、錆の発生が懸念される橋梁等への適用を考慮し、素材の検討を行い通常の塩によらない、無塩タイプ凍結抑制材の開発を実施した。
 第9章では、以上で得られた知見を総括するとともに、今後の研究課題を示し、結論とした。

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