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スポット光投影方式小径穴内径および内面形状の計測に関する研究

氏名 Ekrit Liangpanich
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博甲第278号
学位授与の日付 平成15年8月31日
学位論文題目 スポット光投影方式小径穴内径および内面形状の計測に関する研究
論文審査委員
 主査 教授 秋山 伸幸
 副査 教授 栗田 政則
 副査 教授 久曽神 煌
 副査 教授 矢鍋 重夫
 副査 教授 柳 和久

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目次

第1章 序論 p.1
1.1 研究の背景 p.1
1.2 本研究に関連する研究 p.2
1.3 本研究の目的 p.4
1.4 本論文で使用される記号 p.5
1.5 参考文献 p.6

第2章 測定対象 p.7

第3章 測定原理と装置構成 p.9
3.1 測定原理 p.9
3.2 測定装置の構成 p.10

第4章 測定信号処理法 p.13
4.1 直接像と反射像位置の算出法 p.13
4.2 試料壁面座標の算出法 p.13
4.3 参考文献 p.16

第5章 実験準備 p.17
5.1 測定載再現性向上法 p.17
5.2 球面収差測定法と測定結果 p.18
 5.2.1 レンズ球面収差の測定法 p.18
 5.2.2 レンズ球面収差の測定結果 p.18
5.3 焦点位置ずれの影響 p.20
5.4 色収差の測定 p.22

第6章 理論解析 p.23
6.1 理論解析を行う場合の前提条件 p.23
6.2 内径測定誤差と外径測定誤差の計算法 p.23

第7章 平行平板試料の解析 p.26
7.1 理論解析法 p.26
 7.1.1 レチクルEとレンズKの間の解析 p.26
 7.1.2 レンズKとレンズJの間の解析 p.27
 7.1.3 レンズJ実像面の間の解析 p.29
7.2 計算時間短縮法 p.30
7.3 レンズK,J上サンプリング間隔がシフト量に及ぼす影響 p.30
7.4 計算結果 p.31
 7.4.1 試料間隙の影響 p.31
 7.4.2 試料のz方向測定位置の影響 p.32
 7.4.3 レンズJの焦点位置ずれに伴う実像位置のシフト p.33
7.5 平行平板間隔測定精度評価用試料 p.33
 7.5.1 3枚のゲージブロックを用いた平行平板試料の構成 p.33
 7.5.2 5枚のゲージブロックを用いた平行平板試料の構成 p.34
7.6 実験結果及び計算結果との比較 p.34
 7.5.1 試料間隔の影響 p.34
 7.5.2 試料のz方向測定位置の影響 p.35
 7.5.3 焦点位置ずれの影響 p.36
7.7 試料傾斜の影響 p.37
7.8 結論 p.39
7.9 参考文献 p.40

第8章 四角形穴試料の解析 p.41
8.1 理論解析法 p.41
8.2 計算時間短縮法 p.43
8.3 計算結果 p.45
 8.3.1 正方形試料の間隙の影響 p.45
 8.3.2 正方形穴試料のz方向測定位置の影響 p.47
8.4 レンズ球面収差の影響 p.47
 8.4.1 球面収差を考慮したレンズKとレンズJの間の解析 p.47
 8.4.2 球面収差の近似法 p.49
 8.4.3 球面収差を考慮した正方形試料の計算結果 p.49
 8.4.4 球面収差を考慮した長方形試料の計算結果 p.50
8.5 四角形穴間隙測精度評価用試料 p.51
8.6 実験結果と計算結果との比較 p.52
 8.6.1 正方形穴試料間隙の影響 p.52
 8.6.2 正方形及び長方形穴試料のz方向測定位置の影響 p.53
8.7 考察 p.55
8.8 結論 p.56
8.9 参考文献 p.56

第9章 円形穴試料の解析 p.57
9.1 計算時間短縮法 p.57
9.2 円形穴を対象としたときの理論解析法 p.58
9.3 丸棒を対象としたときの理論解析法 p.62
9.4 計算結果 p.66
 9.4.1 円形穴を対象とした場合 p.67
 9.4.2 丸棒を対象とした場合 p.67
 9.4.2.1 試料外径の影響 p.67
 9.4.2.2 試料のz方向測定位置の影響 p.68
9.5 測定精度評価用試料 p.69
 9.5.1 内径測定の場合 p.69
 9.5.2 外径測定の場合 p.70
9.6 実験結果と計算結果との比較 p.71
 9.6.1 内径測定の場合 p.71
 9.6.2 外径測定の場合 p.71
9.7 考察 p.71
9.8 結論 p.73

第10章 小径穴内面形状計測装置への応用 p.74
10.1 測定対象 p.74
10.2 測定装置の構成 p.75
10.3 内面形状測定原理 p.76
10.4 理論 p.77
 10.4.1 3次元モデルによる内壁面位置算出法 p.78
 10.4.2 内壁面位置算出結果 p.79
 10.4.3 零点法による溝底位置算出法 p.79
 10.4.4 零点法による溝底位置算出結果 p.81
10.5 実験結果 p.81
 10.5.1 接触式表面粗さ測定機を用いた内面形状測定結果 p.81
 10.5.2 零点法による測定結果 p.83
10.6 段差部測定に関する計算値と実験値の比較 p.84
10.7 理論 p.84
10.8 参考文献 p.84

第11章 結論 p.85
11.1 各章の結論 p.85
11.2 本研究全体を通しての結論 p.88

謝辞 p.89

小型の機械部品,電子部品を製作するためには,小型のダイス,ゲージ,ノズルなどが使用される.またこれらの部品自体の中にも,小さな円形穴,四角形穴,スリットなどが多数存在する.このような穴の内径や間隙を測定するためには,従来は触針式測定機が使用されてきた.
 しかし内径や間隙が小さくなると,触針式測定機ではプローブが穴や隙間の中に入らないため,測定が困難になってきた.
 本研究は以上のような背景のもとに,試料の上から下までほぼ同じ直径で貫通している穴または隙間を対象として,高さ方向の任意の位置で内径および間隙を±0.2μm以内の精度で測定することを目的としたものである.対象とする四角形穴の間隙は0.3 mm 以上,円形穴の内径は1 mm 以上である.
 検出用のプローブとしては汎用性の高いスポット光を使用し,穴または隙間の側面を検出する.
 本研究では,上記の検出方式を解析し,対物レンズの開口数,焦点位置ずれ,収差などが測定精度に及ぼす影響を理論的かつ実験的に求めた.また試料の内径および長さが測定精度に及ぼす影響,および測定部の高さが変化したときの測定精度に及ぼす影響を理論的かつ実験的に求めた.
 本論文は第1章 緒論,第2~10章 本論,第11章 結論の11章より構成されている.各章の概要は以下の通りである.
 第1章では,本研究の背景を概説し,本研究の位置づけと目的を述べた.続いて本研究に関連する従来の研究を述べ,解決すべき課題を示した.
 第2章では,本研究が対象とする測定対象を説明した.具体的にはダイス,ゲージ,ノズルなどに存在する円形穴,四角形穴,スリットなどの内径を測定することを目的としていることを述べた.
 第3章では,本研究で使用する測定機の原理と構成を説明した.測定には対象とする試料の内壁にスポット光を投影し,その反射像を検出する方法を用いている.この方式を開発したことにより,間隙が0.3 mmの試料でも,その間隙を±0.2μmの精度で測定することが可能になった.
 第4章では,測定信号処理法を述べた.スポット光の直接像および反射像をCCDカメラで検出している.本章では検出したスポット画像の中心座標を 0.1画素の単位で検出する方法を述べている.さらに,間隙および内径を測定するための具体的な手順を述べている.
 第5章では,実験を始める前にあらかじめ測定しておかなければならない項目を取り上げ,その項目の測定法及び測定結果を述べている.具体的には第1に測定再現性を向上させるための温度管理方法を述べた.第2に,間隙および内径を測定する際に重要となるレンズの球面収差を事前に測定した結果を述べた.第3に,上側と下側の2つの対物レンズの間隔変化が測定誤差に及ぼす影響を事前に実験を行って調べた.
 第6章では,理論解析を行う際の前提条件を説明した.理論解析においては試料の表面を鏡面と仮定して計算した.このように仮定した場合,反射光の位相は180°変化するだけで,入射光の位相がそのまま保存されて反射光に伝わる.また投影用と照明用の2つのレンズに球面収差が存在するので,このことも考慮して理論解析を行った.
 第7章では,平行平板試料を用いた場合の間隙測定誤差を理論解析と実験により求めた.その結果,実験結果が計算結果とほぼ一致し,理論計算結果の妥当性を実験的に検証した.
 第8章では,四角形穴試料を用いた場合の間隙測定誤差を理論解析と実験により求めた.その結果,実験結果が計算結果とほぼ一致し,理論計算結果の妥当性を実験的に検証した.
 第9章では,円形穴試料を用いた場合の間隙測定誤差を理論解析と実験により求めた.その結果,実験結果が計算結果とほぼ一致し,理論計算結果の妥当性を実験的に検証した.
 第10章では,これまでに述べてきた光スポット光投影方式内径測定技術を適用して開発した小径穴内面形状計測装置を説明した.直接の測定対象は,磁気ディスク用の軸受に使用している流体動圧軸受である.本章は動圧軸受内側に作られた溝形状を光学的に測定した.初めに計算によって,このような内面の溝が測定可能であることを示し,次に実験によってこれを証明した.
 以上の結論により,第2章~9章までにおいて,本論文で提案したスポット光投影方式内径測定技術が,±0.2μmの測定精度を有する汎用性の高い測定技術であることを,理論的かつ実験的に示した.さらに第10章において,小径穴内面形状計測装置への応用例を挙げることにより,内面形状計測にも本方式が有効であることを示した.

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