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トラックにおけるドアパネル張り剛性と駆動系振動・騒音の予測技術

氏名 八幡 重太郎
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博乙第212号
学位授与の日付 平成16年3月25日
学位論文題目 トラックにおけるドアパネル張り剛性と駆動系振動・騒音の予測技術
論文審査委員
 主査 教授 矢鍋 重夫
 副査 教授 古口 日出男
 副査 教授 金子 覚
 副査 助教授 永澤 茂
 副査 助教授 太田 浩之

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目次

第1章 序論 p.1
1.1 本研究の背景と目的 p.1
1.2 従来の研究について p.7
1.3 本論文の構成 p.15
参考文献 p.19

第2章 ドアパネルの座屈予測 p.29
2.1 諸言 p.29
2.2 おもな記号 p.30
2.3 座屈・張り剛性試験 p.30
2.3.1 供試体 p.30
2.3.2 支持点の設定 p.32
2.3.3 負荷方法 p.32
2.4 計算モデル p.36
2.5 解析 p.38
2.5.1 供試体Aの解析 p.38
2.5.2 供試体Bの解析 p.42
2.6 結言 p.48
参考文献 p.49

第3章 ドアパネルの張り剛性予測 p.50
3.1 諸言 p.50
3.2 おもな記号 p.50
3.3 張り剛性試験 p.51
3.3.1 供試体 p.51
3.3.2 支持点の設定 p.51
3.3.3 負荷方法 p.52
3.4 計算モデル p.54
3.5 荷重・変位線図の解析 p.56
3.5.1 補強材と張り剛性 p.56
3.5.2 アウタパネルと補強材の効果 p.62
3.5.3 局所座屈の発生と対応 p.63
3.6 荷重分担と変位分担 p.64
3.7 荷重分担率による構造最適化手法 p.71
3.7.1 荷重分担と変位分担の定義 p.71
3.7.2 荷重分担率と構造最適化手法 p.73
3.7.3 ドアの張り剛性への適用 p.75
3.8 結言 p.82
参考文献 p.83

第4章 手動変速機のアイドル騒音の計算予測 p.84
4.1 諸言 p.84
4.2 おもな記号 p.85
4.3 供試体と実験方法 p.86
4.3.1 供試体の構造と構成 p.86
4.3.2 実験方法 p.93
4.4 角速度変動の数値計算と実験との比較 p.95
4.4.1 計算 p.95
4.4.2 計算結果 p.98
4.4.3 実験および計算結果との比較 p.99
4.5 アイドル騒音レベルの推定 p.101
4.5.1 歯打力によるアイドル騒音レベルの推定と実験との比較 p.101
4.5.2 遊転歯車の歯打ち現象とアイドル騒音低減の方策 p.104
4.6 実機状態のT/Mのアイドル騒音の解析 p.106
4.7 結言 p.108
参考文献 p.109

第5章 手動変速機のアイドル騒音と分数調波振動 p.111
5.1 諸言 p.111
5.2 数値計算の方法 p.112
5.3 計算結果および検討 p.115
5.3.1 5自由度モデルと4自由度モデルによる計算結果の比較 p.115
5.3.2 T/M回転抵抗TDが分数調波振動に及ぼす影響 p.117
5.3.3 分数調波振動の発生メカニズム p.118
5.3.4 アイドリング速度近傍における分数調波振動の応答 p.119
5.3.5 クラッチ特性等が分数調波振動に及ぼす影響 p.121
5.4 低油温時と高油温時のアイドル騒音低減の方策 p.123
5.5 結言 p.125
参考文献 p.126

第6章 走行時の駆動系の捩り振動解析 p.127
6.1 諸言 p.127
6.2 供試体および走行時を想定した実験方法 p.127
6.2.1 供試体の構造 p.127
6.2.2 実験方法 p.129
6.3 数値計算 p.131
6.3.1 計算モデル p.131
6.3.2 運動方程式 p.134
6.3.3 計算結果 p.135
6.4 高負荷走行時の駆動系の振動解析 p.138
6.5 軽負荷走行時の駆動系の振動解析 p.139
6.6 結言 p.145
参考文献 p.146

第7章 駆動系捩り振動の実用的な計算方法 p.148
7.1 諸言 p.148
7.2 部分構造合成法と非線形問題への拡張 p.149
7.2.1 非線形問題への拡張 p.152
7.2.2 モード補償の効果 p.154
7.2.3 高次成分除去の効果 157
7.3 結言 p.160
参考文献 p.161

第8章 結論 p.162
謝辞 p.166

 本論文は,製品の品質向上と開発期間の短縮を図るため,トラックの構造設計で重要なドアパネルの張り剛性および駆動系の振動・騒音に関する計算予測法を確立したもので,あわせて下記の知見を得ている。非線形FEMによりドアパネルの荷重・変位線図を求め,飛び移り座屈の発生状況および張り剛性に及ぼす補強材の効果を明らかにするとともに,補強材による張り剛性増加と重量軽減を両立させる条件式を導き,この条件式を一般化して最適化手法として提案している。次に,アイドリング時の駆動系のねじり振動応答計算と実験から,油温による回転抵抗の変化,クラッチの多段トルク・角変位特性および歯車のガタに起因する共振が歯打力と騒音の増加原因であることを明らかにし,広範囲の油温変化に対する騒音低減法を提案している。さらに,実用的な計算方法として非線形領域まで拡張した部分構造合成法を提案し,計算時間の大幅な短縮を図っている。
本論文は以下の8章から構成される。
第1章「緒論」では本研究の背景と目的,従来の研究などを述べ,解明が望まれる問題点と本研究の位置付けを明確にしている。
第2章「ドアパネルの座屈予測」では,補強材がある場合とない場合の二種類の供試体を用い,先ず,非線形FEMで得られた飛び移り座屈発生時の荷重・変位線図とパネル各部の変形形状を実験と比較し,いずれも実験とほぼ一致する結果を得ている。その結果,荷重点では荷重と同じ方向に変位するが,窓開口端では荷重と逆方向に変位する状態があり,この状態の時に飛び移り現象が発生することが示される。また,荷重が小さい場合はパネルが荷重点近傍で局部的に変形し,荷重が大きくなると補強材の変形が増え補強材がパネルとともに剛性を分担することを明らかにしている。
第3章「ドアパネルの張り剛性予測」では,補強材の配置と板厚,パネルの板厚をパラメータにした非線形FEMにより,初期剛性は補強材の配置とパネルの剛性によってほぼ決まり,荷重の大きい場合の剛性は補強材とパネルの剛性によって決まることを明らかにしている。荷重分担率による張り剛性の近似式を提案し,この近似式を基に重量軽減と張り剛性を両立させる最適化手法を提案している。
第4章「手動変速機のアイドル騒音の計算予測」では,実機の手動変速機(T/M)と遊転歯車を単純化したT/Mの実験モデル,実験モデルに対応し遊転歯車の歯打ちを考慮した数値計算とを用いて,アイドル騒音について以下の点を明らかにしている。
(1)油温を変化させた場合,駆動軸歯車,従動軸歯車,遊転歯車の角速度変動および歯車対の相対変位が計算と実験でほぼ一致する結果が得られ,低油温時では,各歯車の波形は,入力波形の2倍の周期で変動する振幅の大きい三角波状の1/2分数調波振動になり,中高油温では入力波形の周期で比較的小さな振幅で変動し,高油温時には高い周波数成分が重畳される。
(2)低油温では,クラッチ非線形性による1/2分数調波共振により,高油温では,基本調波のガタ非線形共振により,歯打力とアイドル騒音レベルが増大する。
第5章「手動変速機のアイドル騒音と分数調波振動」では,クラッチ作動角が2段目に片当りすることによって,1/2および1/3分数調波振動が発生し,従動軸歯車と遊転歯車の噛合部で歯面分離と歯打ちが生じてアイドル騒音が発生すると考えられることが示される。また,高油温時と低油温時のアイドル騒音低減の両立には,クラッチ作動角が2段目に掛かることを許容したクラッチ特性の選定が必要と考えられることを明らかにしている。
第6章「走行時の駆動系の捩り振動解析」では,軽負荷走行時と高負荷走行時の共振回転速度,共振時振幅が計算と実験でほぼ一致することが示される。また,軽負荷走行時の駆動系の角速度変動にクラッチ非線形特性による漸軟型の跳躍履歴現象のあることを明らかにしている。
第7章「駆動系捩り振動の実用的な計算方法」では,従来,線形問題に適用される部分構造合成法を非線形問題まで扱えるように拡張し,モード補償を加え,非線形の部分構造合成法(非線形BBA)として提案している。この非線形BBAを軽負荷走行時と高負荷走行時の駆動系捩り振動の計算予測に適用して有用性を示している。
第8章「結論」では,第1章~7章で述べた内容をまとめ,本研究の成果を総括している。

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