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1-フェニル-3-メチル-4-アシル-5-ピラゾロンの合成とそれを用いる溶媒抽出法の開発に関する研究

氏名 佐々木 与志実
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博乙第67号
学位授与の日付 平成7年9月20日
学位論文の題目 1-フェニル-3-メチル-4-アシル-5-ピラゾロンの合成とそれを用いる溶媒抽出法の開発に関する研究
論文審査委員
 主査 教授 山田 明文
 副査 教授 松下 和正
 副査 教授 塩見 友雄
 副査 助教授 吉國 忠亜
 副査 新潟大学 教授 加藤 皓一

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第1章 序論 p.1
第2章 1-フェニル-3-メチル-4-アシル-5-ピラゾロンの合成 p.16
第3章 1-フェニル-3-メチル-4-アシル-5-ピラゾロンの酸解離定数 p.32
第4章 1-フェニル-3-メチル-4-アシル-5-ピラゾロンの分配係数 p.46
第5章 アシンピラゾロン用いる希土類金属(III)イオンの溶媒抽出と分離 p.59
第6章 ベンゾイル-ピラゾロンの銅(II)錯体を用いる環境水の銅(II)錯化容量の測定 p.79
第7章 デカノイル-ピラゾロン抽出-ミクロ逆抽出を用いる金属イオンの大濃縮と黒鉛炉原子吸光度法による微量金属の定量 p.99
7.1 水中の銅(II)と鉛(II)の定量 p.101
7.2 水中のカドミウム(II)の定量 p.118
第8章 結論 p.135
謝辞

 93年11月、環境基本法が成立した。公害対策基本法(67年施行)は廃止され、環境基本法が環境政策の基本的な法律となった。その結果、環境保全に関心が集まり規制は一段と厳しくなり、工業原材料、工業製品など広い分野の企業がこの影響を受けることになった。
 トリクロロエタンなどがLSIなどの半導体工場で洗浄剤として用いられてきたが、96年までに全廃されることになった。これに代わって高純度の蒸留水が使用されつつある。これらの水の純度を調べるために、その中に含まれる極微量の金属の定量は大切と考えられる。
 微量の金属の定量法には、黒鉛炉原子吸光分析、プラズマ発光分析などの方法があるが、極微量になるとその定量感度以下になるとが多く、前もって濃縮することが必要となる。
 そこで、前濃縮法として操作が単純で迅速な溶媒抽出法を選んだ。より大きい濃縮率を得るために、抽出法とミクロ逆抽出法を組合せ、千から万倍に濃縮することにした。このことで、直接は測定できない極微量の金属の定量が可能となる。溶媒抽出-ミクロ逆抽出法を用いて大きな濃縮率を得るためには、それに使用する試薬が必要となる。
 溶媒抽出法によく使用される試薬にアセチルアセトンやテノイルトリフルオロアセチルアセトンなどがある。しかし、この試薬は、大きな濃縮率を得るには、酸解離定数(Ka)や分配係数(Kd)が小さすぎる。そこで、同じβ-ジケトンである1-フェニル-3-メチル-4-アシン-5-ピラゾロンに注目した。ただし、この試薬は市販されていないので、合成を行うこととし、次のように進めた。
1)試薬の合成
 酸解離定数や分配係数を測定し検討するために、一連のアシン基(オクタノイル(C7H15-CO-)、デカノイル(C9H19-CO-)など9種)を選んで合成した。
2)試薬の酸解離定数の測定
 一連のアシル基を持つものを選び吸光光度法で測定した。求めたpKaの値とアシル基中のアルキル基のハメットのσ値や炭素数との関係で考察し、求めた値が正しく極めて大きいことを示した。その結果、金属イオンのヒオドキソ錯体の生成を避けて、酸性側で反応させることが出来ることが分かった。
3)試薬の分配係数の測定
 一連のアシル基を持つ試薬とベンゼン、クロロホルムなど有機溶媒10種を選び、有機溶媒と水の間の分配係数(Kd)の測定をした。求めたlog Kd値とアシル基中のアルキル基の炭素数や有機溶媒の溶解パラメーター(δ)やETとの関係を調べ、求めた値が正しく極めて大きいことを示した。デカノイルピラゾロンのベンゼン溶液が金属の大濃縮に適していることが分かった。
4)デカノイルピラゾロン(HP)を用いる金属の大濃縮と黒鉛炉原子吸光度定量
 溶媒抽出-ミクロ逆抽出の手法を用い、Cu(II)とPb(II)を千倍から万倍に濃縮した後、黒鉛炉原子吸光度法で定量する方法を開発した。この方法で、河川水、天然ミネラル水や蒸留水などの中の0.01~10ppbのCuやPbの定量が出来た。
 同じくHPとTOPOのベンゼン溶液を用いて0.001~0.10ppbのCdの定量が出来た。
5)アシルピラゾロンを用いる希土類金属(III)イオンの溶媒抽出と分離
 デカノイルなど6種類のアシル基を持つ試薬のクロロホルム溶媒を用いて、3価のLa、Pr、EuとYbイオンの溶媒抽出を行い、抽出定数を測定、更に相互分離を求めた。その結果、デカノイルピラゾロン(HP)が相互分離が最も良いことが分かった。そこでHPのクロロホルム溶液を用いて、Pmを除くランタニドとYイオンについて、溶媒抽出を行った。更に、HPに副配位子としてTOPO、またはphen、カプリコートを共存で同様のことを行い、抽出定数と分離係数を求めた。その結果、副配位子が共存すると分離係数が大きくなること、現在企業で用いられているD2EHPAと遜色ないものであることを確かめた。さらに、逆抽出がpH1~2で行えることは有利である。
6)ベンゾイルピラゾロンの銅(II)錯体を用いる環境水の銅(II)錯化容量(CuCC)の測定
 CuCCが水質の指標となると考え、Cu(II)との結合の強さ別のCuCCの測定を試みた。農薬や医薬には金属イオン封鎖剤としてEDTAやNTAが、織布の精練廃液や写真現像の漂白処理剤にもEDTAが含まれる。これらは、いずれ環境水の中に現れる。動植物はその腐敗によって、フミン酸、フルボ酸、アミノ酸などを生じる。これらも一種のキレート剤である。これらを条件安定定数(大、中、小)の異なったキレート剤の推定に役立てた。

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