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流体ー構造連成問題の数値解析手法の研究

氏名 大金 一二
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博甲第70号
学位授与の日付 平成5年3月25日
学位論文の題目 流体-構造連成問題の数値解析手法の研究
論文審査委員
 主査 教授 宮田 保教
 副査 教授 白樫 正高
 副査 教授 増田 渉
 副査 助教授 古口 日出男
 副査 青山学院大学 助教授 佐久田 博司

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目次 I

序章 p.2

第1章 研究の背景と目的 p.2

第1部 解析手法 p.5

第2章 数値流体力学及び第1部の概要 p.6
2.1 第1部の概要 p.6
2.2 数値流体力学の歴史と現状 p.6
2.3 数値解析の分類 p.7
2.3.1 モデル方程式 p.8
2.3.2 離散化の方法 p.8
2.3.3 非圧縮性Navier-Stokes方程式の解析アルゴリズム p.9
2.4 流れ場の数値解析の方法 p.10

第3章 流体-構造連成問題 p.12
3.1 概要 p.12
3.2 流体-構造連成問題の数値解析における問題点 p.14
3.3 時間微分の記述 p.15
3.3.1 ALE法による記述 p.15
3.3.2 時間項を含んだ関数行列式 p.16
3.4 構成方程式 p.18
3.4.1 流れ場の方程式 p.18
3.4.2 構造物の挙動解析 p.21
3.5 連成に関する基本アルゴリズム p.22

第4章 格子生成法 p.24
4.1 格子生成の概要 p.25
目次 II
4.1.1 格子形状の種類と生成法の分類 p.26
4.1.2 代数的格子生成法 p.27
4.1.3 解析的格子生成法 p.27
4.2 たわみ曲線を用いた格子生成法 p.30
4.2.1 たわみ曲線を用いた格子生成法の概要 p.30
4.2.2 たわみ曲線を用いた格子を生成する方法 p.31
4.2.3 たわみ曲線を用いた格子生成法の利点 p.34

第2部 解析例 p.39

第5章 従来の研究及び第2部の概要 p.40

第6章 ー様流中におかれた物体周りの流れ p.43
6.1 解析精度について p.43
6.1.1 解析条件及び結果 p.44
6.2 円柱、正方形柱周りの流れ p.50
6.2.1 解析条件及び結果 p.51
6.3 結論 p.56

第7章 強制振動を行う円柱周りの流れ p.57
7.1 ー様流中の振動円柱における同期現象の数値解析 p.58
7.1.1 解析方法 p.58
7.1.2 解析条件 p.60
7.1.3 解析結果 p.62
7.1.4 結論 p.67

第8章 弾性支持された円柱の渦励振 p.69
8.1 ー様流中で弾性支持された円柱の渦励振 p.69
8.2 解析方法 p.70
8.2.1 弾性支持された円柱の運動方程式 p.70
目次 III
8.2.2 計算手順 p.71
8.3 解析条件及び結果 p.73
8.3.1 振動方向が流れに垂直な場合 p.73
8.3.2 振動方向が流れと一致する場合 p.79
8.3.3 振動方向が両方向の場合 p.82
8.4 結論p.84

第9章 揺動運動を行う物体の推進力 p.85
9.1 揺動運動を行う平板の推進効率 p.86
9.2 平板の運動モデル p.87
9.3 計算格子 p.87
9.4 解析条件 p.89
9.5 解析結果 p.90
9.5.1 変数の定義 p.90
9.5.2 非定常流体力と推進効率 p.90
9.6 結論 p.93

結論 p.105

参考文献 p.108

謝辞 p.115

図目次 IV
図目次
3.1 流体ー構造連成問題の分類 p.13
3.2 座標系 p.17
3.3 連成問題の解析手順 p.23
4.1 格子の種類と生成法 p.25
4.2 座標格子の比較 p.26
4.3 格子形状の種類 p.28
4.4 境界間の格子線 p.35
4.5 格子線のモデル化 p.35
4.6 作用する荷重とたわみ曲線 p.36
4.7 格子生成時間 p.37
4.8 計算格子 p.38
6.1 格子点間距離Δξ, Δηと外部境界半径Rb p.44
6.2 変動速度の計算点 p.45
6.3 時間刻み幅と抗力係数, Strouhal数: Re=1000, Case1~7 p.46
6.4 格子点間の距離と抗力係数, Strouhal数: Re=1000: (a)ξ方, (b)η方向 p.46
6.5 格子点数, 時間刻み幅と計算時間: Re=1000 p.48
6.6 格子点数と速度ベクトル: Re=1000, t=200 p.49
6.7 静止円柱の抗力係数 p.52
6.8 静止円柱のStrouhal数 p.53
6.9 静止正方形柱のStrouhal数 p.54
6.10 正方形柱周りの流れ: t=200 p.55
7.1 解析方法の比較 p.59
7.2 円柱周りの計算格子 p.60
7.3 円柱の動き p.61
7.4 円柱後流れで速度変動 p.63
図目次 V
7.5 速度変動の周波数分析結果 p.63
7.6 円柱の振動周波数と渦の放出周波数の関係 p.64
7.7 抗力, 揚力の変化 p.65
7.8 抗力の平均値 p.65
7.9 強制振動における同期現象発生領域 p.66
7.10 円柱周辺の流れ p.68
8.1 弾性支持円柱モデル p.72
8.2 静止円柱周りの流れ p.74
8.3 流れ垂直な方向に振動する円柱の振動変位Y/dと後流の速度変動u/u∞及びその周波数 p.76
8.4 流れに垂直な方向に振動する円柱の応答振幅Yrms/dと円柱後流の速度変動の周波数St/Sn p.77
8.5 流れに垂直な方向に振動する円柱に作用する抗力係数の平均値, 揚力係数の自乗平均値 p.78
8.6 流れ方向に振動する円柱の応答振幅と円柱後流の速度変動の周波数(数値解析) p.80
8.7 流れ方向に振動する円柱の応答振幅と円柱後流の速度変動の周波数(岡島らの実験結果) p.81
8.8 流れ方向に振動する円柱周りの流れ p.82
8.9 両方向に振動する円柱の応答振幅と円柱後流の速度変動の周波数:流れと垂直方向 p.83
8.10 両方向に振動する円柱の振動挙動: Vr=5.2 p.83
9.1 平板のモデル p.87
9.2 平板周りの格子 p.88
9.3 揺動平板に作用する抗力Cdと回転軸に作用するトルク p.94
9.4 平板の運動と抗力Cd, 軸トルクOtr p.95
9.5 ベクトル図: 剛体平板(静止流体中) p.96
図目次 VI
9.6 圧力分布: 剛体平板(静止流体中) p.97
9.7 ベクトル図: 弾性平板(静止流体中) p.98
9.8 圧力分布: 弾性平板(静止流体中) p.99
9.9 ベクトル図: 剛体平板(ー様流中) p.100
9.10 圧力分布: 剛体平板(ー様流中) p.101
9.11 ベクトル図: 弾性平板(ー様流中) p.102
9.12 圧力分布: 弾性平板(ー様流中) p.103

表目次 VII
表目次
4.1 たわみ曲線を用いた格子生成法の特徴 p.31
6.1 計算パラメータ p.44
6.2 時間刻み幅と格子点数 Re=1000 p.47
6.3 Strouhal数と外部境界半径: Re=1000 p.48
6.4 解析条件: 静止円柱と正方形柱 p.51
6.5 静止円柱の抗力係数とStrouhal数 p.52
7.1 解析条件: 強制振動を行う円柱 p.61
7.2 計算条件: 強制振動を行う円柱 p.62
8.1 解析条件: 振動方向が流れと垂直 p.75
8.2 解析条件: 流れ方向に振動する円柱 p.79
8.3 解析条件: 両方向に振動する円柱 p.83
9.1 Reynolds数Re, 無次元振動数Scの定義 p.89
9.2 解析条件: 回転平板 p.89

 流れ場の中におかれた構造物と流れの力学的連成問題の数値解析手法について、実空間から計算空間への構成方程式系の写像法、および、流れと構造の相対運動に着目した境界の取り扱いに関する新しい手法を提案した。また、格子生成法については、従来の解析的方法や代数的な方法に比べて計算速度に優れ、解析過程において発見的に逐次、格子が生成可能な解析手法を提案し、いくつかの解析例をもとに解析手法の健全性、適用性について検討した。
 本論文は、解析手法を示した第1部と解析例を示した第2部により構成されている。
 第2章から第4章で構成される第1部では流れの数値解析手法の概要を含め、流体-構造連成問題の数値解析について説明し、境界の移動を含む流れ場の解析手法について解説した。また、特に境界の移動を含む流れ場の解析において、計算効率の点で重要である実空間から計算空間への写像法、汎用性の点で重要である格子生成法について新たな方法を提出した。
 第5章から第9章で構成される第2部では第1部で提案した解析手法を適用し、一様流中におかれた物体周りの流れ(構造側が剛体的で静的な場合)、強制振動を行う円柱周りの流れ(構造側が剛体的で運動優位な場合)、弾性支持された円柱周りの流れ(構造側が剛体的で流れとの相互作用がある場合)、揺動運動を行う物体の推進力(構造側が柔で流れとの相互作用がある場合)について解析を行った。
 第1章では、本研究の目的と背景について簡潔に述べた。
 第2章では、本研究に係わる数値解析の歴史と現状および、数値流体力学の概要について述べた。
 第3章では、流体-構造連成問題の概要について述べ、流体-構造連成問題の数値解析における問題点を明確にし、これを解決する方法として、Lagrange的に記述される構造側の運動方程式と、Euler的に記述される流れ場の運動方程式の間の非適合性を解消するために、時間項を含んだ関数行列式を用いた実空間から計算空間への写像法を提案した。
 第4章では、計算格子の生成法について述べ、境界移動を含む流れ場の解析において、計算効率、汎用性の点でこれまでのものより有効な格子生成の新しい手法を提案した。これは、格子生成の手順を力学的安定問題に置き換え、梁のたわみ曲線を用いて格子を形成する方法であり、格子生成時間、格子線の制御性などが解析的な格子生成法に比べ優れていることを示す。
 第5章では、第1部で示した解析手法を用いた解析例の概要について述べた。
 第6章では、一様流中におかれた物体周りの流れ場の解析において、円柱周りの流れ場の計算を例に、解析パラメータが解析結果に与える影響について示すとともに、円柱、正方形柱周りの流れ場を解析し、これらの、基本的な流れ場の解析に対して本解析手法が妥当な予測を与えることを示し、その健全性を確認した。
 第7章では、構造物からの連成情報が流体に適切に伝達されることを示すため、一様流中で強制振動を行う円柱の同期現象について解析を行い、同期現象を数値解析により再現できることを示した。また、本方法による数値解析の結果が、実験により得られている結果、及びBoundary-Fit法による解析結果と良い一致を示すことから、本研究において提唱した解析手法が境界移動を含む流れ場の解析に有効であることを示した。
 第8章では、物体と構造の連成情報の伝達が双方向であるときに、本論文で提案した方法により情報の伝達が適切になされていることを示すために、一様流中で弾性支持された円柱の渦励振について数値解析を行い、実験により確認されているカルマン渦放出と円柱の振動の同期現象、変動揚力と円柱の振動の関係、対象渦、複安定状態の存在などの現象が再現されることを示した。
 第9章では、力学的連成問題で残された問題である変形/移動する境界と流れ場の解析について、有限要素法による物体の挙動解析と差分法による流れ場の解析を連成させ、回転運動を行う弾性平板と剛体平板の推進力の解析を行った。その結果、実験で知られている、弾性平板の推進力が剛体平板のそれに比べ大きくなることなどが示され、本解析手法が交友であることを示した。
 結論では、本研究を概括し展望を述べた。

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