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エアロゾルでポジション法による高密度イットリアも膜の作製とその特性

氏名 岩澤 順一
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博甲第455号
学位授与の日付 平成20年3月25日
学位論文題目 エアロゾルでポジション法による高密度イットリアも膜の作製とその特性
論文審査委員
 主査 教授 植松 敬三
 副査 教授 小松 高行
 副査 教授 齊藤 秀俊
 副査 准教授 内田 希
 副査 准教授 岡元智一郎

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第1章 緒論
 1.1 研究の背景 p.1
 1.2 セラミックス膜の形成技術 p.4
 1.3 エアロゾルでポジション法の概念 p.5
 1.4 研究の目的 p.8
 1.5 論文の概要 p.8
 参考文献 p.11
 図表 p.13
第2章 エアロゾルデポジション法によるイットリア膜の作製と構造評価
 2.1 緒言 p.19
 2.2 実験 p.21
 2.3 結果 p.23
 2.4 考察 p.25
 2.5 結論 p.31
 参考文献 p.34
 図表 p.35
第3章 エアロゾルデポジション法により作成したイットリア膜の機械的特性
 3.1 緒言 p.45
 3.2 実験 p.46
 3.3 結果 p.48
 3.4 考察 p.51
 3.5 結論 p.55
 参考文献 p.57
 図表 p.58
第4章 エアロゾルデポジション法により作製したイットリア膜の電気的特性
 4.1 緒言 p.63
 4.2 実験 p.65
 4.3 結果 p.66
 4.4 考察 p.67
 4.5 結論 p.69
 参考文献 p.71
 図表 p.72
第5章 エアロゾルデポジション法により作製したイットリア膜の光学的特性
 5.1 緒言 p.76
 5.2 実験 p.78
 5.3 結果 p.80
 5.4 考察 p.82
 5.5 結論 p.86
 参考文献 p.88
 図表 p.91
第6章 エアロゾルデポジション法により作製したイットリア膜の耐プラズマ特性
 6.1 緒言 p.97
 6.2 実験 p.99
 6.3 結果 p.100
 6.4 考察 p.105
 6.5 結論 p.109
 参考文献 p.112
 図表 p.114
第7章 半導体製造装置用部材への応用
 7.1 緒言 p.131
 7.2 実験 p.133
 7.3 結果 p.134
 7.4 考察 p.136
 7.5 結論 p.139
 参考文献 p.141
 図表 p.142
第8章 総括 p.149
研究業績 p.153
謝辞 p.157

 本研究は、エアロゾルデポジション法による高密度イットリア膜の作製とその特性を評価し、次世代半導体製造装置の耐プラズマ性部材に応用することを目的としている。
 第1章「諸論」では、本研究の背景として半導体製造分野におけるプラズマエッチング装置の問題点と次世代半導体製造装置に要求される耐プラズマ性部材の特性を述べ、本研究で用いたエアロゾルデポジション法の概要について説明し、本研究の意義と目的を明らかにしている。
 第2章「エアロゾルデポジション法によるイットリア膜の作製と構造評価」では、各種基板上へイットリア膜の形成を試み、耐プラズマ性やパーティクル特性に影響を及ぼす微細構造について、また、製膜速度について調査した。室温にてAl合金、アルミナ、石英ガラス基板上に膜圧10μm以上のクラックのない緻密なイットリア膜を作成することに成功した。製膜速度は従来のPVD法などと比較して大きく、工業的に適用可能な製膜速度を有していることを明らかにした。電子顕微鏡観察結果から、イットリア膜は緻密な膜構造及び界面構造を有しており、耐プラズマ性部材として好適な微細構造を有していることを明らかにした。また、イットリア膜の結晶子サイズは。原料粉体のそれよりも小さく、製膜時の衝撃により結晶子サイズの微細化が生じていることを示した。室温プロセスで作成したイットリア膜の結晶子サイズは、従来のセラミックプロセスで作成される焼結体や溶射膜よりも小さく、低パーティクル化が要求される耐プラズマ性部材として望ましい結晶構造であることを明らかにした。
 第3章「エアロゾルデポジション法により作製したイットリア膜の機械的特性」では、イットリア膜の基礎的な機械的特性について評価を行った。イットリア膜のビッカーズ硬度は、基板材質にかかわらず7.7-7.8GPaであり、焼結体の6.6GPa、溶射膜の5.4GPaと比較して優れていることを示した。また、Al合金、アルミナ、石英ガラス基板における密着強度は、それぞれ113MPa以上、96MPa以上、45MPa以上であり、いずれの基板においても耐プラズマ性部材として十分な密着強度を有していることを示した。また、密着強度の大きさは膜と基板との界面に形成されるアンカー層の深さに起因していることを明らかにした。さらに、摺動試験および熱衝撃試験において、膜圧や密着強度に変化は見られず、実使用環境に十分耐えうることを明らかにした。
 第4章「エアロゾルデポジション法により作製したイットリア膜の電気的特性」では、イットリア膜がプラズマエッチング装置内の絶縁性が要求される部材へ適用可能であることを調査するため、基礎的な電気的特性について評価を行った。イットリア膜の室温における体積抵抗率は1014Ω・cm以上で、アルミナ焼結体とほぼ同等であることを示した。また、絶縁破壊電圧は175V/μm以上で、アルミナ焼結体や溶射膜と比較して非常に優れていることを示した。これらの優れた電気的特性は、高密度な膜構造および界面構造に起因していることを明らかにした。さらに、体積抵抗率の温度依存性について調査した結果、イットリア膜は室温から200℃の低温領域において、半導体の性質を示し、製膜時の衝撃により禁制帯の中に局所的なエネルギー準位が導入された可能性を示した。
 第5章「エアロゾルデポジション法により作製したイットリア膜の光学的特性」では、プラズマエッチング装置内の光学部材について概要と問題点を述べ、石英ガラス基板上のイットリア膜について透過率および光学定数について評価を行い、各種光学部材への適用可否を調査した。室温プロセスにて透光性に優れたイットリア膜を作成することに成功した。膜厚2.0μmのイットリア膜は、250-800nmの波長領域において55-85%の高い透過率を示し、エンドポイントモニターなどの光学部材へ適用可能であることを明らかにした。また、摺動試験及び熱衝撃試験において透過率の減衰は見られず、光学部材として実使用環境に耐えうることを示した。さらに、イットリア膜の光学的バンドギャップエネルギーは、原料粉体のそれよりも小さくなっていることを明らかにし、禁制帯の中に局所的なエネルギー準位が導入された可能性を示した
 第6章「エアロゾルデポジション法により作製したイットリア膜の耐プラズマ特性」では、現在広く利用されている平衡平板型反応性イオンエッチング装置の概要と次世代半導体製造装置に要求されるパーティクル特性について詳細を述べ、イットリア膜の耐プラズマ特性について調査を行い、従来材料やイットリア材料と比較した。プラズマ処理前後の浸食深さ、表面粗さ、透過率、表面構造を評価した結果、イットリア膜はアルミナ焼結体や石英などの従来材料と比較して耐プラズマ特性に優れていることを明らかにした。また、耐プラズマ特性に優れた材料として近年注目されているイットリア材料の中で、イットリア膜の浸食深さ、表面粗さ、表面構造変化は、焼結体や溶射膜と比較して小さく、半導体デバイスの技術ノードの微細化に伴い要求される低パーティクル化に十分対応可能であることを明らかにした。さらに、浸液透光法により内部構造を調査し、耐プラズマ特性は表面だけでなく内部に存在するポアの影響を受けることを明らかにした。
 第7章 「半導体製造装置用部材への応用」 では、半導体デバイスの製造プロセスにおいて必要不可欠な部材である静電チャックについて概要を説明し、絶縁性材料に対する吸着固定に関する課題を述べ、エアロゾルデポジョン法によりグラディエント力型静電チャックモデルを作製し、絶縁性材料に対する吸着力特性を評価した。本法が室温プロセスである特性を活かし、電極間のピッチが200 mの櫛歯状の微細パターン電極を損傷させることなく高密度なイットリア膜を形成し、従来技術では作製が困難であった高グラディエント力型静電チャックモデルを作製することに成功した。作製した静電チャックモデルの石英ガラスに対する吸着力は、従来の静電チャックと比較して、約20倍の吸着力が発現することを明らかにした。
 第8章 「総括」 においては、各章の結論について総括している。

 本論文は、「エアロゾルデポジション法による高密度イットリア膜の作製とその特性」と題し、8章より構成されている。
 第1章「諸論」では、本研究の背景として半導体製造分野におけるプラズマエッチング装置の問題点と次世代半導体製造装置に要求される耐プラズマ性部材の特性を述べ、本研究の意義と目的を明らかにしている。
 第2章で「エアロゾルデポジション法によるイットリア膜の作製と構造評価」では、室温にて種々の基板上に膜厚10μm以上の緻密なイットリア膜を工業的に適用可能な製膜速度で作成することに成功している。イットリア膜は耐プラズマ性部材として好適な微細構造を有していること、また結晶子サイズは、原料粉体のそれよりも小さく、製膜時の衝撃により結晶子サイズの微細化が生じていることを明らかにしている。
 第3章「エアロゾルデポジション法により作製したイットリア膜の機械的特性」では、イットリア膜の機械的特性について評価を行っている。ビッカース硬度は焼結体や溶射膜のものより高く、また全ての基板において十分な密着強度を有し、実使用環境に十分耐えうることを明らかにしている。
 第4章「エアロゾルデポジション法による作製したイットリア膜の電気的特性」では、イットリア膜の基礎的な電気的特性について評価を行っている。イットリア膜の室温における体積抵抗率は、アルミナ焼結体とほぼ同等であり、絶縁破壊電圧はアルミナ焼結体や溶射膜と比較して非常に優れていることを示している。
 第5章「エアロゾルデポジション法により作製したイットリア膜の光学的特性」では、室温プロセスにて透光性に優れたイットリア膜を石英ガラス基板上に作製することに成功している。イットリア膜は透過性が高く、摺動試験および熱衝撃試験において減衰が認められないため、エンドポイントモニターなどの光学部材へ適用可能であると示唆している。
 第6章「エアロゾルデポジション法により作製したイットリア膜の耐プラズマ特性」では、プラズマ処理前後の浸食深さ、表面粗さ、透過率、表面構造の評価から、イットリア膜はアルミナ焼結体や石英など従来材料と比較して耐プラズマ特性に優れていることを明らかにしている。また、高い耐プラズマ特性は表面だけでなく、内部に存在するポアの影響によることを明らかにしている。
 第7章「半導体製造装置用部材への応用」では、従来技術では作製が困難であった高グラディエント力型静電チャックモデルを作成することに成功している。その石英ガラスに対する吸着力は、従来の静電チャックの約20倍であることを明らかにしている。
 第8章「総括」においては、各章の結論について総括している。
 よって、本論文は工学上及び工業上貢献するところが大きく、博士(工学)の学位論文として十分な価値を有するものと認める。

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