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ばら物用連続式荷役機械の動特性に関する研究

氏名 小林 和宏
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博甲第155号
学位授与の日付 平成10年3月25日
学位論文の題目 ばら物用連続式荷役機械の動特性に関する研究
論文審査委員
 主査 教授 伊藤 廣
 副査 教授 矢鍋 重夫
 副査 教授 長谷川 光彦
 副査 教授 丸山 暉彦
 副査 助教授 阿部 雅二朗

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記号 p.1

1章 序論
1.1 ばら物用連続式荷役機械の概要 p.3
1.2 ばら物用連続式荷役機械の設計 p.7
1.3 本研究の構成 p.8

2章 掘削抵抗の解析理論
2.1 緒言 p.11
2.2 解析理論 p.11
2.2.1 解析モデル p.11
2.2.2 要素間の接触判定 p.15
2.2.3 要素間の接触力と球形粒子要素の移動 p.17
2.2.4 掘削抵抗 p.23
2.3 結言 p.23

3章 掘削抵抗の実験検討
3.1 緒言 p.24
3.2 正面掘削実験 p.24
3.3 正面掘削実験結果および考察 p.27
3.4 側面掘削実験 p.30
3.4.1 掘削物および実験装置 p.30
3.4.2 側面掘削時のバケット移動経路 p.37
3.4.3 実験方法および条件 p.40
3.5 側面掘削実験結果および考察 p.40
3.5.1 正面掘削抵抗 p.40
3.5.2 側方掘削抵抗 p.50
3.5.3 正面掘削抵抗と側方掘削抵抗の関係 p.55
3.6 結言 p.56

4章 掘削抵抗解析理論の検証y
4.1 緒言 p.58
4.2 正面掘削時の解析モデル p.58
4.3 正面掘削時の解析結果および考察 p.58
4.4 側面掘削時の解析モデル p.63
4.5 側面掘削時の解析結果および考察 p.63
4.6 結言 p.67

5章 構造物の挙動解析理論
5.1 緒言 p.69
5.2 解析理論 p.69
5.2.1 解析モデルの概要 p.69
5.2.2 バケットチェーン系の運動方程式 p.73
5.2.3 バケットチェーンとスプロケットの間に作用する動的な力 p.81
5.2.4 掘削抵抗 p.88
5.2.5 構造物系の運動方程式 p.90
5.3 バケットチェーン要素の簡略化 p.94
5.3.1 簡略化した要素 p.94
5.3.2 スプロケットに作用する力 p.97
5.4 計算方法 p.99
5.5 結言 p.100

6章 アンローダの動特性試験
6.1 緒言 p.102
6.2 無負荷状態での構造物挙動測定 p.102
6.2.1 測定概要 p.102
6.2.2 ブーム旋回操作時 p.107
6.2.3 ブーム起伏操作時 p.111
6.2.4 バケットエレベータ運転時 p.111
6.3 負荷状態での構造物挙動測定 p.116
6.3.1 測定概要 p.116
6.3.2 掘削部の挙動 p.123
6.3.3 運転室の挙動 p.125
6.4 掘削抵抗 p.125
6.4.1 掘削抵抗の測定方法 p.125
6.4.2 掘削抵抗の測定結果 p.131
6.4.3 全掘削抵抗FDfTと掘削抵抗FDfiの関係 p.138
6.5 荷役能力 p.143
6.5.1 荷役能力の測定方法 p.143
6.5.2 実験結果および考察 p.146
6.6 定量荷役制御 p.148
6.6.1 荷役能力と掘削条件の関係 p.148
6.6.2 荷役能力のシミュレーション p.151
6.7 結言 p.155

7章 構造物挙動解析理論の検証および考察
7.1 緒言 p.158
7.2 解析対象 p.158
7.3 無負荷状態の挙動 p.160
7.3.1 バケットエレベータ運転時 p.160
7.3.2 ブーム旋回操作時 p.165
7.4 負荷状態の挙動 p.167
7.4.1 アンローダIの場合 p.167
7.4.2 アンローダIIの場合 p.173
7.5 結言 p.177

8章 結論 p.180

参考文献 p.183

本研究に関する発表論文 p.186

謝辞 p.188

付録 p.189
付録1 ばら物用連続式荷役機械に関する規準 p.191
付録2 剛体リンクを用いたバケットチェーン要素の運動方程式 p.208
付録3 衝撃力測定試験 p.226
付録4 モード解析結果例 p.231

 本論文は,ばら物用連続式荷役機械の動特性について実用的な理論解析システムを開発し,作業中の機械に作用する掘削抵抗および機械構造物の挙動を解明するものである.
 第1章は,ばら物用連続式荷役機械の歴史および研究の状況について述べ,近年その代表機種となっているバケットエレベータ形連続式アンローダに関する研究の重要性を説明した.そして,この連続式アンローダを解析対象とする本研究の目的を述べ,本論文の構成および概要を示した.
 第2章は,連続式アンローダが扱う掘削物の掘削抵抗について,個別要素法に基づく理論解析方法を示す.掘削物は,バケットの移動経路を考慮して変形破壊領域と非変形破壊領域に分けてモデル化した.変形破壊領域の掘削物は球形粒子要素の集合体で,非変形破壊領域の掘削物は,変形破壊領域との境界に設けた固定壁要素でそれぞれモデル化した.バケットは移動壁要素の集合体でモデル化した.掘削物の変更には球形粒子要素のパラメータの変更により,掘削方式の変更には移動壁要素の移動経路の変更により対応可能とした.
 第3章は,正面掘削時および側面掘削時における掘削抵抗について実験検討結果を示す.特に,連続式アンローダで重要となる側面掘削時における掘削抵抗は,実機スケールの実験装置を用いた実験により詳細に検討した.正面掘削時の最大掘削抵抗は,切削面積の関数として表わしうることを示した.側面掘削時の掘削抵抗は正面掘削抵抗FDfと側面掘削抵抗FDSに分け,FDfはバケットに充填された掘削物による押退け面積ABの関数で,FDSはABとバケット移動経路の指標である横滑り角の関数で表わしうることを明らかにした。側面掘削時におけるFDfとFDSの関係には,バケット移動経路依存性があることを示した。
 第4章は,第2章に示す理論解析方法を用いて,正面掘削時および側面掘削時における掘削抵抗の理論解析結果を示す.正面掘削時の理論解析結果を実機実験結果と比較検討し,FDfの動特性がよく一致することを検証した.側面掘削時の理論解析結果も,FDfは第3章に示す実験式とほぼ一致することを確認した。FDSについては,FDfの最大値と時間変動が正確に求められることと合わせて考え,実機の設計に有用な理論解析結果が得られるようになった.
 第5章は,バケットエレベータ形連続式アンローダの構造物について,初めて確立された挙動解析の方法を示す.アンローダは,それを構成する機械要素の運動速度と軌道形態を考慮し、バケットチェーン系と構造物系に分けてモデル化した.バケットチェーン系は,バケットチェーン要素を組み合わせ,構造物系は有限要素法のはり要素を用いてモデル化した.バケットチェーン-スプロケット間に作用する動的な力は,チェーンの慣性力とチェーンリンク-スプロケット間のかみ合い時に生じる衝撃カの和とし,スプロケットを通じて構造物に作用するカとして扱った.掘削抵抗は第3章に示す実験結果に基づいてモデル化し,バケットチェーン掘削部からスプロケットを通じて構造物に作用する力とした.
 第6章は,バケットエレベータ形連続式アンローダの実機実験結果を示す.実験は,アンローダの自動化の検討に必要なバケットエレベータ掘削部の挙動と,運転者の疲労を検討する際に不可欠な運転室の挙動に注目して行った.バケットエレベータ掘削部の挙動は,バケットチェーン-スプロケット間に作用する動的なカと掘削抵抗により生じることが明らかになった.運転室の挙動は,バケットチェーン-スプロケット間に作用する動的な力の影響を強く受けることを示した.また,掘削抵抗によって構造物に生じるひずみとバケットチェーン駆動モータトルクより荷役能力を測定する方法を提案した.ホッパでの測定値との比較検討から,提案した方法の妥当性と実用性を確認した.
 第7章は,第5章の理論解析方法より求めたバケットエレベータ掘削部と運転室の挙動を示す.理論解析の結果は,第6章に示す実機実験結果と比較検討し,理論解析方法の妥当性を示した.また,構造物挙動について理論解析による詳細な検討を行い,バケットエレベータ掘削部と運転室における振動の低減方法を示した.
 第8章は,本研究の成果を統括して述べる.
 本研究により,バケットエレベータ形連続式アンローダについて,掘削抵抗および構造物挙動の理論解析システムが開発された.これにより,連続式アンローダの動特性を考慮した,より合理的な設計が可能となった.また,本解析システムは,連続式アンローダのみならず他のばら物用連続式荷役機械に広く適用できるものである.

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