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広領域舗装の排水施設に関する研究

氏名 三浦 康夫
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博乙第250号
学位授与の日付 平成18年3月24日
学位論文題目 広領域舗装の排水施設に関する研究
論文審査委員
 主査 教授 丸山 暉彦
 副査 教授 海野 隆哉
 副査 助教授 大塚 悟
 副査 助教授 下村 匠
 副査 北海学園大学工学部教授 上浦 正樹

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第1章 序論
 1.1 諸言 p.1
 1.2 本研究の目的 p.3
 1.3 本論文の構成 p.4

第2章 鉄道貨物輸送と広領域舗装施設
 2.1 コンテナ貨物輪送に関わる広領域舗装施設 p.7
 2.2 大型荷役機械の諸元について p.14
 2.3 在来設計法による広領域舗装 p.17
 2.4 第2章のまとめ p.18

第3章 広領域舗装施設設計のための材料の検討
 3.1 表層用排水性混合物の検討 p.19
 3.2 試験舗装と追跡調査結果 p.34
 3.2.1 試験舗装区間の概要 p.34
 3.2.2 試験舗装区間の平坦性 p.36
 3.2.3 試験舗装区間での現場透水試験結果 p.38
 3.2.4 試験舗装区間の動的摩擦係数の試験結果 p.40
 3.2.5 試験舗装区間の路面のきめ深さの測定結果 p.42
 3.3 据え切り抵抗性を高めた排水性混合物とタイヤの摩耗 p.45
 3.4 透水型路盤の検討 p.50
 3.5 路盤材料のレジリエントモジュラスについて p.54
 3.6 透水性舗装における路盤設計の注意点 p.58
 3.7 第3章のまとめ p.59

第4章 浸透施設の設計例
 4.1 雨水浸透施設の概要 p.61
 4.2 貯留浸透性舗装の設計例 p.64
 4.2.1 神戸貨物ターミナルにおける設計例 p.64
 4.2.1.1 概論 p.64
 4.2.1.2 浸透施設の考え方 p.65
 4.2.2 金沢貨物ターミナルにおける設計例 p.76
 4.2.2.1 概論 p.76
 4.2.2.2 舗装設計 p.76
 4.2.2.3 設計浸透量の算定 p.79
 4.3 雨水貯留施設の設計例 p.86
 4.3.1 検討した雨水貯留施設 p.86
 4.3.1.1 概算工事費 p.87
 4.3.2 雨水貯留施設の構造検討 p.89
 4.3.2.1 コンテナ置場の計算 p.89
 4.3.2.2 トラック駐車場の計算 p.91
 4.3.3 雨水貯留槽の強度設計 p.94
 4.3.4 まとめ p.102
 4.4 第4章のまとめ p.104

第5章 貯留浸透性舗装機能の検証
 5.1 検証の概要と現場に設置した機器 p.108
 5.2 浸透量の検証 p.112
 5.2.1 降雨時における排水性アスファルト混合物の温度変化 p.113
 5.2.2 舗装体内への貯留状況 p.114
 5.3 強制負荷試験の結果 p.116
 5.4 強制負荷試験たよる貯留浸透効果の確認 p.123
 5.4.1 はじめに p.123
 5.4.2 流域貯留施設とみた場合の貯留浸透効果 p.128
 5.5 第5章のまとめ p.130

第6章 結論 p.131

参考文献 p.135

謝辞 p.138

参考資料1 日本貨物鉄道株式会社のなりたち p.139

 1.1 日本貨物鉄道株式会社発足の経緯 p.139

参考資料2 排水性混合物の騒音低減効果について
 2.1 概要 p.144
 2.2 建設機械の騒音 p.144
 2.3 実施した試験の概要 p.146
 2.4 測定条件および方法 p.147
 2.5 試験箇所の選定 p.149
 2.6 試験結果 p.150
 2.6.1 1/3オクターブバンド解析による騒音レベルの検討 p.151
 2.6.2 暗騒音 p.156
 2.6.3 機械騒音 p.156
 2.6.4 比較騒音 p.159
 2.7 結論 p.160

 平成17年2月16日に京都議定書が施行され,個別の削減目標が打ち出された.これを受け,国土交通省ではCO2削減に向け,1つの対策としてモーダルシフト(Modal-shift)の推進をしている.

日本貨物鉄道株式会社では,荷物の速達化を図るため,直接荷役可能なホームへ列車を引き込む着発線荷役方式の導入を積極的に行っている.このコンテナホームは,一般的に,着発線1線あたりの延長は500m以上,コンテナホームの幅員は30~42m必要となるので,舗装面積では約1.5~2.0haの舗装が必要となる.(以下,広領域舗装という.)

また,このような施設は,交通の結節点となる都市道路とのアクセスの良好な箇所に設置され,軌道を撤去し舗装を行うことが多い.このため,雨水が表面流出となり流出係数は約3倍になり,河川や下水道に集中的に流出する洪水流も同様に約3倍となる.この洪水流は,従来の設計法によれば降雨時に直接広領域舗装端部に設けられた側溝に流入し,流域の都市河川や下水道に遅れがほとんどなく流出するため与える影響が大きい.そこでこれらに与える影響を最小限とする配慮が求められている.さらに,「特定都市河川浸水被害対策法」が平成16年5月15日から施行となり,指定流域では,1,000m2以上の開発行為から洪水流の低減対策の検討及び設置が必要とされるようになった.

そこで,本研究では,この洪水流の低減を行うために,透水機能をもった舗装(以下,透水舗装という)や浸透施設を施すことで上記の目的を達成しようとしたものである.

第1章では,本研究の目的や論文の構成などについて記述した.

第2章では,本研究が必要とされた背景について, 鉄道貨物輸送の変化により多様化した大型荷役機械の導入がなされ,舗装にかかる負担が大きくなり舗装形態に新たな視点が必要になったことを明らかにした.

第3章では、透水性舗装や浸透機能に用いる材料について検討を加えた.一般に道路では,空隙率の高い排水性舗装の表・基層には高粘度改質バインダーが使用されているが,広領域舗装では大型フォークリフトの据切りに対して抵抗できず骨材の飛散などが見られ,適用できないことが明らかとなったため,これに耐え得る耐据え切り抵抗性高粘度バインダーを適用した排水性混合物を提案した.また,広領域舗装を新設する際にそれまでの軌道敷きを撤去した際に生じる道床バラストを活用した透水型再生セメントアスファルト乳剤安定処理(CAE)路盤としての適用に関する検討を行い,透水型上層路盤として適用可能であることを見出した.

第4章では、提案した排水性混合物,及び廃棄バラストを用いた透水型上層路盤の舗装設計を行い,都市河川における洪水流の低減を目的とした貯留性舗装(車道透水性舗装)の実施例として,神戸貨物ターミナル駅構内ほか2駅において, 広領域舗装内の降雨を透水型路盤内に一時貯留し,有孔管を適用した浸透トレンチ,雨水の一部を地下に戻して涵養する浸透桝,浸透井戸を構築し,洪水流のピークカットや洪水流の遅れを作る貯留性舗装の設計及び施工を行った.

第5章では,これらの施工例のうち,北陸線金沢貨物ターミナル駅での施工例から透水性舗装と浸透井戸を用いて洪水流の遅延効果およびピークカットの効果を把握するために,自然降雨時,及び設計降雨強度に近い条件で強制散水負荷試験を実施し,貯留性舗装や浸透施設の排水能力の検証を行い,設計時に期待した機能が確保されていることを確認した.これにより,前章で記述した設計法の妥当性が確認できた.

第6章では,結論として貯留・浸透機能の両者の組み合わせにより,約2時間のピークの遅れと,流出量の低減を行うことが可能となり,流出量の算定で使われる透水性舗装の流出係数を0.6と見なしても良いことも明らかとなったことを示した.

これらにより本論文は,広領域舗装における貯留・浸透機能を持つ透水性または貯留性舗装と浸透施設の設計および施工に関して実用化の道を拓いたものと考える.

 本論文は「広領域舗装の排水施設に関する研究」と題し、6章より構成されている。
貨物鉄道用コンテナホームは、膨大な荷役需要のために1.5~2haの舗装面積が必要となる。
このような施設は都市部に設置されており、雨水が舗装表面から急速に流出するため、都市河川をあふれさせる一因となっている。平成16年から「特定都市河川浸水被害対策法」が施行され、1,000m2以上の施設には洪水流低減対策の設置が必要になった。本研究は、これらの施設における透水性舗装や雨水浸透施設による洪水低減効果を定量的に評価し、洪水対策に寄与しようとするものである。

第1章「序論」では、最近の都市型洪水の現状について概説し、本研究の目的を示している。

第2章「鉄道貨物輸送と広領域舗装施設」では、鉄道貨物輸送の変化により多様化した大型荷役機械の導入がなされ、舗装にかかる負担が大きくなり舗装形態に新たな視点が必要になっていることを明らかにしている。

第3章「広領域舗装施設のための材料の検討」では、透水性舗装や浸透施設に用いる材料について検討を加えている。道路用排水性舗装に使用されている高粘度バインダーは、鉄道貨物駅では大型フォークリフトの据切りに抵抗できず骨材飛散などが見られるため、据切り抵抗性高粘度バインダーを適用した排水性混合物を開発している。また、軌道敷きを撤去した際に生じる道床バラストを活用した透水型再生セメントアスファルト乳剤安定処理(CAE)路盤が適用可能であることを見出している。

第4章「浸透施設の設計例」では、ポーラスアスファルト混合物を使用した表層、および廃棄バラストを用いた透水型上層路盤の設計・施工を実施している。神戸貨物ターミナル駅構内ほか2駅において降雨を透水型路盤内に一時貯留し、浸透トレンチ、浸透桝、浸透井戸の洪水抑制効果について検討している。

第5章「貯留浸透性舗装機能の検証」では、金沢貨物駅での施工例から、透水性舗装と浸透井戸による洪水流遅延およびピークカット効果を把握するために、強制散水負荷試験を実施し、貯留性舗装や浸透施設の排水能力の検証を行っている。これにより、提案した排水施設設計法の妥当性を確認している。

第6章「結論」では、本論文の結論と、透水性舗装と浸透型排水施設に関する今後の展望を示している。

以上、本論文は広領域舗装施設における透水性舗装と浸透施設について実用的な設計法および施工法を示しており、都市型洪水災害の軽減に寄与するものである。よって、本論文は工学上及び工業上貢献するところが大きく、博士(工学)の学位論文として十分な価値を有するものと認める。

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