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A STUDY ON IMPROVEMENTS OF TRANSMISSION PERFORMANCES IN ULTRA-WIDE BANDWIDTH(UWB) SYSTEMS (超広帯域(UWB)信号の伝送特性の改善に関する研究)

氏名 Toh Keat Beng
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 甲第484号
学位授与の日付 平成20年8月31日
学位論文題目 A STUDY ON IMPROVEMENTS OF TRANSMISSION PERFORMANCES IN ULTRA-WIDE BANDWIDTH(UWB) SYSTEMS(超広帯域(UWB)信号の伝送特性の改善に関する研究)
論文審査委員
 主査 准教授 太刀川 信一
 副査 教授 島田 正治
 副査 教授 荻原 春生
 副査 教授 吉川 敏則
 副査 准教授 中川 健治

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Chapter 1 Introduction
 1.1 Research Background p.1
 1.2 Research Objective p.4
 1.3 Research Overview p.4
Chapter 2 Spread Spectrum Communication
 2.1 Sepread Spectrum (SS) Communication Scheme p.6
 2.2 Modulation Shemes of Spread Spectrum Communications p.7
 2.2.1 Direct-Sequence Spectrum Sheme (DS-SS) p.7
 2.2.2 Frequency Hopping Spread Spectorum Sheme (FH-SS) p.10
 2.2.3 Time Hopping Spread Spectorum sheme (TH-SS) p.11
 2.3 PAKE Recever p.12
 2.3.1 Multipath Channel p.12
 2.3.2 Structure of RAKE Receiver p.13
 2.3.3 Selective RAKE receiver p.15
 2.4 Multiple Accessing Schemes and Direct Sequence-Code Division Multiple Access (DS-CDMA) p.17
Chapter 3 UWB Communication Scheme
 3.1 UWB communication Scheme p.20
 3.2 UWB Channel Model and Inter-Symbol Interference (ISI) p.22
 3.3 Mono-cycle Pulse p.25
 3.4 DS-UWB Scheme p.27
Chapter 4 Combination of Equalizer and LMS-RAKE Combining Scheme for DS-UWB System
 4.1 Introduction p.28
 4.2 System Model p.30
 4.2.1 Transmitter p.30
 4.2.2 Channel Model p.30
 4.2.3 Receiver p.31
 4.2.4 LMS-RAKE comviner Receiver p.33
 4.3 Adaptive Equalizer's Structure p.34
 4.4 Simulation Results p.35
 4.5 Conclusion and Discussion p.45
Chapter 5 Recieved Response Code Sequence for DS-UWB System
 5.1 Introduction p.46
 5.2 System Model p.48
 5.2.1 Transmitter p.48
 5.2.2 Channel Model p.48
 5.2.3 Receiver p.49
 5.3 Received Response Code Sequence p.50
 5.3.1 Received Response Code Sequence p.50
 5.3.2 Generation method of Received Response Code Sequence p.51
 5.4 Simulation Results p.54
 5.4.1 Compatison of equalization gain with BER performance for MF reception and MF-Equalizer reception p.56
 5.4.2 Compatison of equalization gain with BER performance for MF-RAKE reception and MF-Equalizer-RAKE reception p.60
 5.5 Conclusion and Discussion p.67
Chapter 6 Conclusion
 6.1 Introduction p.68
 6.2 System Model p.70
 6.2.1 Transmitter p.70
 6.2.2 Channel Model p.71
 6.2.3 Receiver p.71
 6.3 Received Response Code Sequence p.72
 6.3.1 Received Response Code Sequence p.72
 6.3.2 Generation method of Received Response Code Sequence p.73
 6.4 Simulation Results p.77
 6.4.1 Compatison of RR code sequence effectiveness with conventional binary code sequence using BER performance for MF reception p.77
 6.4.2 Compatison of RR code sequence effectiveness with conventional binary code sequence using BER performance for MF-RAKE reception p.80
 6.4.2.1 Compatison of RR code sequence effectiveness with conventional binary code sequence using BER performance for MF-RAKE reception in CM1 and CM4 when the number of users = 2, 4 p.80
 6.4.2.2 Compatison of RR code sequence effectiveness with conventional binary code sequence using BER performance for MF-LMS-RAKE reception and MF-MRC-RAKE in CM1 and CM4 p.84
 6.5 Conclusion and Discussion p.88
Chapter 7 Conclusion
 7.1 Summary p.89
 7.2 Future Research p.91
References p.92
Acknowledgements p.96
Publication List p.97

 近年、情報通信分野において、従来の有線通信から無線通信へと多様なサービスが広がり、無線通信システムはめざましく発展してきている。特に、携帯電話や無線LAN/PANなどの急速な普及に伴い、無線通信システムのさらなる高速化や高容量化などに対する要求が高まってきている。これらの要求を満たす短距離の超高速無線通信方式として広く注目を集めているのが、超広帯域(Ultra Wide Bandwidth : UWB)通信方式である。UWB通信方式は、高速データ伝送が可能となるが、数ナノ秒(ns)オーダーのパルス幅のインパルスであり、そのため、壁や障害物などの反射により、非常に多くの遅延を持ったマルチパスが発生する。また、それらは、データ時間幅に比べて長い遅延のマルチパスであり、次のデータ検出点での復調信号に干渉を及ぼす符号間干渉(Inter-Symbol Interference : ISI)を引き起こし,受信性能が劣化してしまうという問題点がある。一方、スペクトル拡散(Spread Spectrum : SS)システムの変調方式の1つである直接拡散(Direct Sequence : DS)方式にUWBを適用したものにDS-UWB方式があり、この方式を利用することでマルチパス環境下において分散した複数の信号のピークをひとつに集め(パスダイバーシチ合成)信号対雑音比を上げるRAKE受信が可能となる。
 そこで、本論文では、まず、シングルユーザにおいて、UWBシステムの伝送特性の改善と符号間干渉を抑制するために,受信機での適応等化器とRAKE受信の信号合成に用いる重み係数を最小2乗平均(Least Mean Square : LMS)アルゴリズムにより決定するLMS-RAKE方式を組み合わせた受信機システムを提案している。また、従来の拡散符号系列よりも、符号間干渉をさらに抑制できる新しい拡散符号系列を用いて、さらなる伝送特性の改善を行っている。また、マルチユーザの場合においても、伝送特性の改善と多元接続干渉(Multiple Access Interference: MAI)を抑制できる送受信システムを提案している。本論文は7章より構成している。
 第1章では、序論として、超広帯域(Ultra Wide Bandwidth : UWB)通信方式特に、直接拡散(Direct Sequence : DS)方式を適用したDS-UWB方式に関して、その研究背景、研究目的を示し、本論文の概要を述べている。
 第2章では、SS通信方式の基本機能と特徴を述べている。ここでは、超広帯域通信の変調方式としても用いられている3つの代表的な変調方式、すなわち、直接拡散SS(Direct Sequence-SS : DS-SS)方式、周波数ホッピングSS(Frequency Hopping-SS : FH-SS)方式と時間ホッピングSS(Time Hopping-SS : TH-SS)方式の概要を説明している。また,本論文において、重要な位置づけの受信技術であるRAKE受信についての説明を行っている。さらに、本論文でも検討する直接拡散符号分割多元接続(Direct Sequence-Code Division Multiple Access : DS-CDMA)方式の概要を述べている。
 第3章では、UWB通信方式の概要を示し、UWB通信路モデルと符号間干渉について述べている。また、UWB通信方式で用いられている送信パルスの形状を示し、DS-UWB通信方式について述べている。
 第4章では、シングルユーザの場合、UWBマルチパス通信路チャネルモデルを用いて、受信機における適応等化器と、その後に最小2乗平均(Least Mean Square : LMS)アルゴリズムによるLMS-RAKE方式を組み合わせた方式を提案し、その改善効果を示している。提案システムはマルチパスが多く存在する通信路において、高速伝送を行う場合、適応等化器により、符号間干渉を抑えそして、LMS-RAKE受信方式により、マルチパスから生じた劣化を抑圧し、パスダイバーシチ合成による利得を得ている。これらにより、従来方式と比較して、UWBシステムの受信性能を大幅に改善できることを示している。
 第5章では、シングルユーザの場合、符号間干渉をさらに抑圧できる新しい拡散符号系列、受信レスポンス(Received Response: RR)符号系列を、適応等化器、LMS-RAKE方式に用い、その伝送特性の改善を行なっている。UWBシステムにおいて、従来の拡散符号系列を利用した場合には、余分な符号間干渉が発生するという問題がある。その問題を解決するために、RR符号系列で余分な符号間干渉を減らし、推定した通信路情報よりRAKE合成した信号成分を高め、受信性能の改善を図っている。
 第6章では、多元接続通信、 マルチユーザにそれらの方式を適用することにより、多元接続干渉(Multiple Access Interference: MAI)が抑圧され、通信品質の向上が図れることを示している。RR符号系列は“0”値を含めた3値拡散符号系列であり、“0”値を符号系列に入れることにより、多元接続干渉を抑圧することができること、また、RAKE受信も有効に働くことを明らかにしている。
 最後に第7章では、UWB信号の伝送特性の改善に関する研究で得られた結果をまとめ、
今後の課題などを述べ、本論文を総括している。

 本論文は、「A STUDY ON IMPROVEMENTS OF TRANSMISSION PERFORMANCES IN ULTRA-WIDE BANDWIDTH(UWB) SYSTEMS(超広帯域(UWB)信号の伝送特性の改善に関する研究)」と題し、7章より構成されている。
 第1章では、序論として、新たな高速無線通信システムとして期待されている超広帯域(Ultra Wide Bandwidth : UWB)通信方式、特に、直接拡散(Direct Sequence : DS)方式を適用したDS-UWB方式に関して、その研究背景、研究目的を示し、本論文の概要を述べている。
 第2章では、本論文の基本となるスペクトル拡散(Spread Spectrum : SS)通信方式の基本機能と特徴を述べている。特に、超広帯域通信の変調方式にも用いられている直接拡散SS(DS-SS)方式等の概要を説明している。また、本論文において、重要な位置づけの受信技術であるRAKE受信や、直接拡散符号分割多元接続(Direct Sequence-Code Division Multiple Access : DS-CDMA)方式の概要を説明している。
 第3章では、UWB通信方式の概要を示し、UWB通信路モデルと符号間干渉について述べている。また、UWB通信方式で用いられている送信パルスの形状を示し、DS-UWB通信方式について述べている。
 第4章では、シングルユーザの場合、UWBマルチパス通信路チャネルモデルを用いて、受信機における適応等化器と、その後に最小2乗平均(Least Mean Square : LMS)アルゴリズムによるLMS-RAKE方式を組み合わせた方式を提案し、その改善効果を示している。提案システムはマルチパスが多く存在する通信路において、高速伝送を行う場合、適応等化器により、符号間干渉を抑え、そして、LMS-RAKE受信方式により、マルチパスから生じた劣化を抑圧し、パスダイバーシチ合成による利得を得ている。これらにより、従来方式と比較して、UWBシステムの受信性能を大幅に改善できることを示している。
 第5章では、シングルユーザの場合、符号間干渉をさらに抑圧できる新しい拡散符号系列、受信レスポンス(Received Response: RR)符号系列を、適応等化器、LMS-RAKEに用い、その伝送特性の改善を行っている。UWBシステムにおいて、従来の拡散符号系列を利用した場合には、余分な符号間干渉が発生するという問題がある。その問題を解決するために、RR符号系列で余分な符号間干渉を減らし、推定した通信路情報よりRAKE合成した信号成分を高め、受信性能の改善を図っている。
 第6章では、多元接続通信、マルチユーザにそれらの方式を適用することにより、多元接続干渉(Multiple Access Interference: MAI)が抑圧され、通信品質の向上が図れることを示している。RR符号系列は“0”値を含めた3値拡散符号系列であり、“0”値を符号系列に入れることにより、多元接続干渉を抑圧することができること、また、RAKE受信も有効に働くことを明らかにしている。
 第7章では、UWB信号の伝送特性の改善に関するこれらの研究成果を要約している。
 これらの成果は工学的のみならず実用的にも役立つ多くの知見を得ている。よって、本論文は工学上及び工業上貢献するところが大きく、博士(工学)の学位論文として十分な価値を有するものと認める。

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