Study on Belt Skew(ベルトのスキューに関する研究)
氏名 程 輝
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博乙第176号
学位授与の日付 平成13年6月20日
学位論文題目 Study on Belt Skew(ベルトのスキューに関する研究)
論文審査委員
主査 教授 矢鍋 重夫
副査 教授 久曽神 煌
副査 教授 古口 日出男
副査 教授 金子 覚
副査 助教授 永澤 茂
副査 助教授 太田 浩之
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Acknowledgments p.I
Abstract p.III
Contents p.V
Chapter 1 Introduction p.1
1.1 Background of the Reserch Topic p.1
1.2 Review of Studies on Belt Skew p.2
1.3 Definition of Terms p.4
1.4 Objectives and Construction of the Present Study p.6
1.5 Nomenclature p.8
Chapter 2 Experiments on Belt Skew p.11
2.1 Experimental Apparatus p.11
2.2 Experimental Method p.14
2.3 Pre-Experiments p.16
2.3.1 Belt elongation property p.16
2.3.2 Coefficient of friction p.16
2.3.3 Geometric configuration of belt edges p.19
2.4 Experimental Results of Belt Skew p.20
2.5 Summary p.22
Chapter 3 Simulation of Belt Skew p.23
3.1 Introduction to FEM Analysis on Belt Skew p.23
3.1.1 MARC and Mentat software p.23
3.1.2 Introduction of non-linearity p.24
3.1.3 Contact and friction p.25
3.1.3.1 Contact p.25
3.1.3.2 Coulomb friction model p.26
3.1.4 Calculation method p.28
3.1.4.1 Handling method in simulation p.28
3.1.4.2 Method of solving nonlinear equations p.29
3.2 Simulation Method p.30
3.2.1 FEM model p.30
3.2.2 Simulation procedure p.32
3.2.3 Other specifications p.32
3.2.3.1 Element type and output parameters p.32
3.2.3.2 Other parameters p.34
3.3 Simulated Results p.35
3.3.1 Discussion on precision of FEM model p.35
3.3.2 Belt slip p.35
3.3.3 Belt skew p.37
3.4 Other Results p.38
3.4.1 Trace of belt node p.38
3.4.2 Friction force between the belt and rollers p.41
3.4.3 Tensile stress of the belt p.43
3.5 Belt Skew at Out-of-plane Angular Misalignment α p.44
3.6 Summary p.45
Chapter 4 Effects of Main Parameters on Belt Skew p.47
4.1 Misalignment Angle p.47
4.2 Initial Belt Tension p.49
4.3 Coefficient of Friction p.49
4.4 Size of Belt p.52
4.5 Young's Modulus of Belt p.54
4.6 Roller Diameter p.56
4.7 Rotational Velocity p.56
4.8 Skew Rate and Summary p.59
Chapter 5 Discussion on Belt Skew Mechanism p.61
5.1 Shape of Deflected Belt p.61
5.1.1 Shape of the belt centerline p.61
5.1.2 Belt centerline on expanded roller surface p.64
5.2 Mechanism of Belt Skew p.64
5.2.1 Simple method to calculate the belt deflection p.64
5.2.2 Mechanism of belt skew p.67
5.2.3 Energy consideration of the belt skew p.69
5.3 Discussion on Out-of-plane Angular Misalignment α p.70
5.4 Summary p.73
Chapter 6 Skew Prevention by Tension Roller p.75
6.1 Introduction p.75
6.2 FEM Model with A Tension Roller p.76
6.3 Simulated Results p.78
6.3.1 Effects of tension roller on belt skew p.78
6.3.1.1 Position of the tension roller p.78
6.3.1.2 Out-of-plane angular misalignment α of the tension roller p.81
6.3.1.3 Effects of other parameters p.82
6.3.2 Friction force distribution and belt deformation p.83
6.3.2.1 Friction force in skew direction p.83
6.3.2.2 Shape of belt centerline p.83
6.4 Some Experimental Results p.86
6.4.1 Experimental apparatus p.86
6.4.2 Experimental results p.88
6.5 Mechanism Analysis p.88
6.6 Summary p.90
Chapter 7 Skew Prevention by Crowning Roller p.93
7.1 Introduction p.93
7.2 FEM Model with Crowning Rollers p.94
7.3 Simulated Results p.95
7.3.1 Skew starting from a deviated position p.95
7.3.2 Skew starting from the central position p.97
7.4 Discussion and Conclusions p.99
7.4.1 Configurations of belt centerline p.99
7.4.2 Conclusions and works in the future p.100
Chapter 8 Conclusions p.101
Appendixes p.105
Appendixe A Example of A Data File p.105
Appendixe B Calculation of Belt Deformation by means of Beam Theory p.110
Bibliography p.112
現在、カラープリンタ、複写機、ATM、郵便区分機、自動改札機などの事務機器、省力化機器が高度に発達し、広く利用されている。これらの機器では、平ベルトがカラープリンタのトナー像の搬送や、紙幣、郵便、切符などの搬送に用いられるため、ベルトの運動挙動の詳細な把握が機器の開発・設計に不可欠である。
本論文は、偏角をもつ2円筒ローラ間を走行する平ベルトのスキューに関して、実験による特性解明、シミュレーション法の構築を行うとともに、主要パラメータの影響、スキュー発生のメカニズム、テンションローラなどによるスキュー低減効果について検討している。本論文は「ベルトのスキューに関する研究」と題し、8章より成っている。
第1章「緒論」では、研究の背景を説明するとともに従来の研究を概観し、本研究の目的および意義について述べている。
第2章「ベルトスキューの実験」では、偏角をもつ2円筒ローラ間を走行するベルトのスキューを実測し、ベルトはスキューがゆるやかに変動する過渡スキューからスキューが時間と共にほぼ直線的に増加する定常スキューへ移行すること、スキューレート(定常スキュー時のスキュー量/ベルト走行距離)はローラの偏角にほぼ比例し、ベルト・ローラ間の摩擦係数の影響は小さいことなどを明らかにしている。
第3章「ベルトスキューのシミュレーション」では、シミュレーションに用いた汎用有限要素法解析ソフトMARC/MENTAT、接触時のクローン摩擦モデル、実験系のFEMモデル、シミュレーション法などについて説明した後、シミュレーション結果の代表例を示し、ベルト上の節点の移動軌跡、ローラ上の摩擦力の分布、ベルト張力の変化などについて説明している。
第4章「主要パラメータの影響」では、主要パラメータの値を2-3通りに変化させてシミュレーションを行い実験と比較したところ、得られたスキュー-ベルト走行距離曲線が実験とよく一致すること、スキューレートは従動ローラ偏角、ローラ直径、ベルト張力、摩擦係数の増加とともに大きくなり、ベルト幅の増加に対して減少することなどを明らかにしている。
第5章「ベルトスキューのメカニズムについての考察」では、シミュレーション結果を用いて、スキュー時のベルト中心線の変位および変形形状の変化および定常スキュー時における駆動・従動ローラ上でのベルト中心線の巻きつき状態を調べている。このことから、ベルトは両ローラ表面にほぼらせん状に巻きついていること(傾き角をリード角と呼ぶ)、さらに、ベルトはほとんどすべらずに各ローラとともに回転し、その結果、ベルト側端がローラ軸方向へ変位し、これがスキューとして観測されることを明らかにした。簡単な幾何学的考察から、リード角はスキューレートに等しいことがわかる。
第6章「テンションローラによるスキュー防止」では、実験系にテンションローラを加え、テンションローラの設置位置、偏角、直径、回転・非回転、摩擦係数がスキューに及ぼす影響をシミュレーションおよび実験で調べている。その結果、回転自由なテンションローラをベルトのゆるみ側の中央に偏角なしで置いた場合、スキューレートがほぼゼロになりスキュー防止効果が極めて高いこと、テンションローラをベルトの張り側に設置したり、テンションローラの回転を拘束した場合は、スキュー防止効果が無いかまたは悪くなることなどを明らかにしている。これらの結果は、ベルトがすべらずにローラとともに回転する傾向をもつと考えることにより、ある程度説明できる。
第7章「クラウニングローラによるスキュー防止」では、FEMモデルの駆動・従動ローラをクラウニングローラとし、従動ローラに偏角がなくベルト初期位置を平行にずらした場合および従動ローラに偏角がありベルト初期位置にずれがない場合についてシミュレーションを行っている。その結果、クラウニングローラは、ベルトにセルフセンタリング機能を与えること、また、ベルトスキューを大きく低減することを明らかにしている。
第8章「結論」では、本研究で得られた結論を要約している。