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氷水混相流利用方式地域冷房システムの開発に関する研究

氏名 河田 剛毅
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博乙第181号
学位授与の日付 平成14年3月25日
学位論文題目 氷水混相流利用方式地域冷房システムの開発に関する研究
論文審査委員
 主査 教授 白樫 正高
 副査 教授 増田 渉
 副査 教授 青木 和夫
 副査 教授 東 信彦
 副査 助教授 高橋 勉
 副査 講師 上村 靖司

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第1部 序論
第1章 緒言 p.1
1.1 研究の背景 p.1
1.2 氷の潜熱を利用する地域冷房システムの概念 p.2
1.3 本研究の目的 p.3
第2章 想定するシステムの概要および本研究の概要 p.7
2.1 システムの基本方針 p.7
2.2 システムの概念設計 p.8
2.2.1 熱供給方式 p.8
2.2.2 製氷方式 p.8
2.2.3 配管方式 p.9
2.2.4 蓄熱槽 p.10
2.2.5 供給冷熱量の制御 p.10
2.2.6 需要家側熱交換方式 p.11
2.2.7 システムの基本構成 p.11
2.3 本研究の概要 p.17
2.4 本研究の実験に使用した試料粒子 p.18
第2部 氷水混相流の流動特性
第3章 氷水混相流の特徴 p.20
3.1 はじめに p.20
3.1.1 これまでの研究 p.20
3.1.2 本章の研究の目的と概要 p.21
3.2 氷水混相流の流動状態 p.23
3.2.1 実験装置・方法・試料 p.23
3.2.2 観察結果 p.24
3.3 管路の閉塞 p.28
3.3.1 管路の閉塞実験の概要 p.28
3.3.2 実験装置 p.29
3.3.3 実験方法と結果 p.32
3.3.4 閉塞実験のまとめ p.40
3.4 氷クラスターの付着力の測定 p.41
3.4.1 氷粒子円柱の圧縮降伏応力 p.41
3.4.1 氷粒子円柱の段階的荷重時の圧縮挙動 p.46
3.5 まとめ p.47
記号表 p.48
文献 p.48
第4章 直管における氷水混相流の圧力損失 p.48
4.1 はじめに p.48
4.2 実験装置と方法 p.52
4.3 水平管における圧力損失 p.55
4.3.1 圧力損失と氷分率の関係 p.55
4.3.2 粒子性状および管径の影響 p.55
4.3.3 管の材質・粗さの影響 p.55
4.4 鉛直管における圧力損失 p.59
4.5 水平円管における氷水混相流の圧力損失の予測法 p.61
4.6 最適輸送条件の検討 p.66
4.7 まとめ p.69
記号表 p.70
文献 p.70
第5章 分岐管における流動特性 p.71
5.1 はじめに p.71
5.2 分岐損失係数の定義と求め方 p.72
5.3 実験装置と方法 p.75
5.4 実験結果と考察 p.77
5.4.1 分岐損失係数 p.77
5.4.2 分配特性 p.77
5.5 まとめ p.83
記号表 p.84
文献 p.84
第3部 氷水混合体の伝熱特性
第6章 管内氷水混相流の伝熱特性 p.85
6.1 はじめに p.85
6.2 二重管式熱交換器における氷水混相流の伝熱特性 p.87
6.2.1 実験装置と方法 p.87
6.2.2 熱通過率の定義と評価法 p.88
6.2.3 実験結果 p.89
6.2.4 考察 p.94
6.3 管内氷水混相流における氷水間の熱交換特性 p.95
6.3.1 実験装置と実験条件 p.95
6.3.2 熱交換特性の評価法 p.97
6.3.3 実験結果と考察 p.98
6.4 まとめ p.101
記号表 p.103
文献 p.103
第7章 氷粒子充填層と水の直接接触における伝熱特性 p.105
7.1 はじめに p.105
7.2 実験装置と実験方法 p.106
7.3 解析方法 p.109
7.3.1 残存氷量の評価 p.109
7.3.2 熱交換特性の評価法 p.111
7.4 上向き流れの場合の実験結果と考察 p.112
7.4.1 出口水温と粒子の残存状態の関係 p.112
7.4.2 入口流速の影響 p.114
7.4.3 入口水温の影響 p.121
7.4.4 熱交換部直径の影響 p.121
7.5 下向き流れの場合の実験結果と考察 p.126
7.5.1 入口流速の影響 p.126
7.5.2 入口水温の影響 p.126
7.5.3 熱交換部直径の影響 p.126
7.6 上向き,下向き流れの場合の熱交換特性の比較 p.134
7.7 まとめ p.137
記号表 p.138
文献 p.138
第4部 機器の開発
第8章 供給冷熱量の制御技術の開発 p.138
8.1 はじめに p.138
8.2 分岐部枝管に分配する冷熱量制御装置の開発 p.140
8.2.1 制御装置の概念設計 p.140
8.2.2 制御装置の試作 p.141
8.2.3 実験結果 p.142
8.3 蓄熱槽から主管に供給する冷熱量の制御装置の開発 p.145
8.3.1 制御装置の概念設計 p.145
8.3.2 制御装置の試作 p.146
8.3.3 実験結果 p.146
8.4 まとめ p.148
記号表 p.148
第9章 蓄熱槽の開発 p.150
9.1 はじめに p.150
9.2 蓄熱槽の仕様 p.150
9.3 計量取り出し装置の性能予測 p.155
9.3.1 取り出し羽根車の氷取り出し能力 p.155
9.3.2 掻き寄せ装置の掻き寄せ能力 p.155
9.4 実験方法 p.155
9.5 実験結果と考察 p.157
9.5.1 掻き寄せ装置運転停止時の取り出し特性 p.157
9.5.2 掻き寄せ装置運転時における計量取り出し装置の運転条件の影響 p.157
9.5.3 初期投入量の影響 p.163
9.6 まとめ p.166
記号表 p.167
文献 p.167
第10章 氷水直接接触式熱交換器の開発 p.168
10.1 はじめに p.168
10.1.1 直接接触熱交換器を用いる場合の熱交換装置の構成および運転方法に関する基本方針 p.168
10.1.2 研究目的と内容 p.168
10.3 氷水直接接触式熱交換器の設計 p.172
10.4 実験装置と方法 p.174
10.5 実験結果と考察 p.176
10.5.1 定常運転の動作確認 p.176
10.5.2 氷量と器内流速の関係 p.176
10.6 地域冷房システムへの適用性の検討 p.180
10.6.1 検討概要 p.180
10.6.2 評価手順 p.181
10.6.3 評価結果 p.183
10.7 まとめ p.186
記号表 p.187
第5部 結論
第11章 本研究の総括 p.187
第12章 今後の展望と課題 p.190
12.1 構成要素についての課題 p.190
12.1.1 製氷装置 p.190
12.1.2 蓄熱槽 p.190
12.1.3 輸送 p.190
12.1.4 DCHEの最適設計 p.191
12.2 システム全体としての課題 p.191
12.3 今後の展望 p.191
本研究に関する発表論文及び学会発表 p.193
謝辞 p.195

 本研究は開発途上にある氷水混相流利用方式の地域冷房システムの開発を目的に,関連する氷水混合体の流動・伝熱特性の解明と,機器の開発を行ったものである.本論文は大きく分けて5部編成の全12章から構成されている.
 第1部「序論」では第1章「緒言」で研究の背景を述べた後,第2章「想定するシステムの概要と研究課題」で省エネ,経済性等を考慮した基本方針の基に氷水混相流利用方式地域冷房システムを概念設計し,その実現化のために必要とされる技術開発を目的に実施された研究課題を明確にしている.ここで想定したシステムの特徴は輸送冷熱媒体として水以外に混じり物がない氷を用いること,および配管方式として往復2管式を用いて戻り水の温度をなるべく高くすることにより冷熱輸送密度を最大限高めることである.
 第2部「氷水混相流の流動特性の解明」(第3~5章)は冷熱輸送時に関連する管内氷水混相流の流動特性を調べている.第3章「流動状態の特徴」では水平円管内氷水混相流を観察して流動状態の分類を行うとともに,閉塞が発生しやすいと考えられる管路要素としてエルボにより水平管に接続された鉛直下降管と分率調整器における閉塞の発生過程と発生条件について調べている.次に氷粒子円柱の圧縮試験を行うことにより氷粒子の付着力を定量的に評価し,付着力と氷水混相流の流動現象の関係について考察している.第4章「直管における氷水混相流の圧力損失」ではまず,水平管と鉛直管における氷水混相流の圧力損失を測定し,粒子性状,管の径・材質・粗さが圧力損失に与える影響を明らかにしている.次に氷クラスターと管壁の間の摩擦係数を測定し,この摩擦係数を考慮して任意の氷と管の組み合わせに対する圧力損失を予測する方法について提案している.第5章「分岐管における流動特性」では冷熱を各熱需要家に分配するために使用される水平な主管からこれより口径の小さい枝管に分岐する管路における流動特性として,分岐による圧力損失と主管から枝管への氷分配特性について調べ,それらに与える氷性状,分岐方向,主管内氷分率・流速の影響について明らかにしている.
 第3部「氷水混合体の伝熱特性の解明」(第6~7章)は冷熱輸送時および需要家での冷熱受け入れ時に現われる氷水混合体の伝熱現象に関連する伝熱特性を調べている.第6章「管内氷水混相流の伝熱特性」では配管を通しての熱損失評価および需要家冷熱受け入れ用熱交換装置として氷―水隔壁式熱交換器を用いる場合の熱交換性能評価に必要となる混相流と管壁の間の熱伝達特性,および混相流における氷水間の熱伝達特性について調べ,それらに与える管内流速・氷分率の影響を明らかにしている.第7章「氷粒子充填層と水の直接接触における伝熱特性」では需要家冷熱受け入れ用熱交換装置として第10章の研究で開発する新しい方式の熱交換器を用いる場合に現われる氷充填層とそこを通過する水の間の熱伝達に着目し,それに影響する因子の検討を行うことにより,熱交換器の設計指針を得ている.
 第4部「機器の開発」(第8~10章)は想定したシステム実現のために必要となる新しい機器の開発を行っている.第8章「供給冷熱量の制御技術の開発」ではまず,蓄熱槽から輸送主管に供給する氷水混相流,および主管から分岐部枝管に分配する氷水混相流の氷分率と流量を調整する装置を既存の機器の組み合わせにより概念設計し,次いで,それぞれについて具体的に分率をより高い値に調整する装置を試作し,その機能の有効性を確認するための実験を行っている.第9章「蓄熱槽の開発」では輸送主管への連続的な氷計量取り出し機能を有する蓄熱槽を試作し,その取り出し性能評価のための実験を行い,機能の有効性の確認および粒子性状が取り出し性能に与える影響について考察している.第10章「氷水直接接触式熱交換器の開発」では氷水混相流利用式システムにおける需要者側熱交換装置として実用的と考えられる氷水直接接触式熱交換器を試作し,その定常運転動作の確認を行うとともに交換熱量と必要寸法の関係について検討している.
 第5部「結論」(第11~12章)では第11章「本研究の総括」で本研究の成果として,想定した地域冷房システムの設計指針となる重要な知見をまとめ,第12章「今後の展望・課題」で,そのシステムを実現化に向けて今後さらに必要となる研究課題と将来展望について述べている.

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