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Formation Mechanism of Process-Related Pore Defects and Their Relevance to the Mechanical Properties in Sintered Ceramics (セラミックス焼結体におけるプロセス依存気孔欠陥と 機械的特性との関連及び、欠陥の形成メカニズムに関する研究)

氏名 篠原 伸広
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博乙第178号
学位授与の日付 平成13年9月19日
学位論文題目 Formation Mechanism of Process-Related Pore Defects and Their Relevance to the Mechanical Properties in Sintered Ceramics(セラミックス焼結体におけるプロセス依存気孔欠陥と機械的特性との関連及び、欠陥の形成メカニズムに関する研究)
論文審査委員
 主査 教授 植松 敬三
 副査 教授 石崎 幸三
 副査 教授 武藤 睦治
 副査 教授 小松 高行
 副査 助教授 内田 希

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Acknowledgments p.ii
Abstracts p.iv
Table of Contents p.ix
List of Published Literature Regarding on This Study p.xiii
List of Other Published Literature p.xiv
List of Other Writings p.xviii
List of Figures p.xix
List of Tables p.xxiv
Chapter 1 Introduction p.1
1.1 Background p.1
1.2 Purpose and scope of this thesis p.2
1.3 References of Chapter 1 p.5
Chapter 2 Literature Survey p.6
2.1 The behavior of pores during powder compaction p.6
2.1.1 Granulation by spray-drying p.6
2.1.2 Consolidation behavior of granules p.8
2.1.3 Change of pore structure in green bodies during compaction p.12
2.2 The behavior of pores during sintering in the past studies p.15
2.2.1 Pore growth at the initial stage of sintering p.15
2.2.2 Thermodynamic model of pore's densification p.16
2.2.3 Densification of large pores in the real system p.19
2.3 Direct observation of pore structure in green and sintered bodies p.21
2.4 References of Chapter 2 p.24
Chapter 3 Formation Mechanisms of Processing Defects in Ceramics - I
- Formation Mechanism of Processing Defects and Their Relevance to the Strength in Alumina Ceramics Made by Powder Compaction Process - p.30
3.1 Introduction p.30
3.2 Experimental procedure p.32
3.3 Results p.35
3.4 Discussion p.42
3.5 Conclusion p.46
3.6 References of Chapter 3 p.48
Chapter 4 Formation Mechanism of Processing Defects in Ceramics - II
- Morphological Changes in Process-Related Large Pores of Granular Compacted and Sintered Alumina - p.51
4.1 Introduction p.51
4.2 Experimental procedure p.53
4.3 Results p.54
4.4 Discussion p.62
4.5 Conclusions p.68
4.6 References of Chapter 4 p.69
Chapter 5 Influence of the Manufacturing Conditions on the Microstructure and Properties of Ceramics - I
- Effects of Seasons on Density and Strength of Alumina - p.72
5.1 Introduction p.72
5.2 Experiment p.73
5.3 Results p.74
5.4 Discussion p.79
5.5 Summary p.81
5.6 References of Chapter 5 p.82
Chapter 6 Influence of the Manufacturing Conditions on the Microstructure and Properties of Ceramics - II
- Seasonal variation of Microstructure and Sintered Strength of Dry-Pressed Alumina - p.84
6.1 Introduction p.84
6.2 Experimental procedure p.86
6.3 Results p.87
6.4 Discussion p.92
6.5 Conclusion p.97
6.6 References of Chapter 6 p.98
Chapter 7 Influence of the Manufacturing Conditions on the Microstructure and Properties of Ceramics - III
- Variation of the Microstructure and Fracture Strength of Cold Isostatically Pressed Alumina Ceramics with the Alteration of Dewaxing Procedures - p.101
7.1 Introduction p.101
7.2 Experimental procedure p.103
7.3 Results p.104
7.4 Discussion p.110
7.5 Conclusion p.113
7.6 References of Chapter 7 p.115
Chapter 8 Influence of the Manufacturing Conditions on the Microstructure and Properties of Ceramics - IV
- Optical Characterization of Strength-Limiting Flaws in Silicon Nitride Ceramics Prepared with Different Slurry Flocculation Conditions - p.118
8.1 Introduction p.118
8.2 Experimental procedure p.120
8.3 Results p.123
8.4 Discussion p.131
8.5 Conclusion p.134
8.6 References of Chapter 8 p.135
Chapter 9 Influence of the Manufacturing Conditions on the Microstructure and Properties of Ceramics - V
- Origin of Strength Variation of Silicon Nitride Ceramics with CIP Condition in a Powder Compaction Process - p.139
9.1 Introduction p.139
9.2 Experimental procedure p.141
9.3 Results p.142
9.4 Discussion p.149
9.5 Conclusion p.151
9.6 References of Chapter 9 p.152
Chapter 10 Summary and Conclusion p.154

 本研究は、セラミックスを製造する過程で形成される欠陥、特に粗大気孔欠陥の生成メカニズムを解明するとともに、それらがセラミックスの機械的性質に及ぼす影響を明らかにすることを目的として行ったものである。セラミックスとしては固相焼結、液相焼結を示すセラミックスとして代表的なアルミナと窒化ケイ素を対象とし、代表的な粉体プロセスであるCIP法を用いて得られた成形体、焼結体について、内部直接観察法など種々のキャラクタリゼーション手法を適用して検討を行った。結果の概要を以下に示す。
 顆粒を用いて製造されたアルミナセラミックスの内部構造を直接観察法によって観察した結果、焼結体中に多くの粗大気孔が分布していることが見出された。浸液透光法によって観察した成形体内部構造との比較の結果、顆粒中に存在する窪みと、充填時に形成される顆粒間の隙間が原因となって成形体中に残留した亀裂状の空隙が粗大気孔の原因であると結論された。さらに焼結途中の各段階で得られた焼結体の内部構造を詳細に検討することにより、焼結の後期段階でこれらの亀裂状空隙が周囲の微細気孔を吸収、合体するとともに、空隙近傍に存在する局所的な密度分布に起因した不均一収縮が原因となって亀裂が拡大、成長し、粗大気孔が形成されることが明らかとなった。粗大気孔の成長は開気孔が消滅した焼結の後期段階で粒成長に伴って進行しており、気孔の合体~粗大気孔の成長が熱力学的により安定な状態をもたらすとしてそのメカニズムを説明できた。また、一度形成された粗大気孔を常圧焼結で除去することは極めて困難であることも示され、気孔収縮の駆動力が極めて小さいことが示唆された。
 これらの知見を基に、異なる条件下で製造されたセラミックスの特性が変動する原因を調査した。本研究では、(1)製造時の季節による変動(アルミナ)、(2)CIP前後での成形体熱処理の影響(アルミナ)、(3)噴霧乾燥用原料スラリーの分散状態の影響(窒化ケイ素)、(4)CIP圧力の影響(窒化ケイ素)、の4条件がセラミックスの組織構造や特性に及ぼす影響について検討した。
 同一の製造条件で約1年間にわたって作製したアルミナ焼結体の特性変化を詳細に調査した結果、焼結体の密度と強度が季節に依存して変化することが示された。内部構造観察の結果、これらの機械的特性の変化は焼結体中に形成された粗大気孔欠陥の濃度分布の差によって説明できることが明らかにされた。焼結体の粗大気孔分布に差が生じたのは、夏と冬の温度と湿度の差が顆粒の圧縮特性に影響し、成形体中の残留空隙の大きさや濃度が変動したことが原因であると推察された。
 同様の粗大気孔濃度と破壊強度との関係は、熱処理をCIP前後の成形体に行って圧密時の顆粒特性を変化させた場合でも認められ、金型を用いて成形した予備成形体を熱処理により脱脂してからCIPを行った場合に焼結体中の粗大気孔の濃度が減少し、強度が増加することが示された。一個顆粒の破壊挙動の観察から、熱処理~脱脂を経た顆粒は脆性的に破壊する様子が認められ、顆粒の圧縮特性の変化が成形体中の亀裂状空隙の大きさや濃度に影響を及ぼし、焼結体の破壊強度を変動させた原因であることが明らかとなった。
 顆粒の圧縮特性と焼結体強度との関係は、分散状態を変えた原料スラリーから噴霧乾燥によって調整した顆粒を用いて作製した窒化ケイ素焼結体の場合でも認められ、凝集スラリーから製造した焼結体において明らかに高い強度を示した。内部構造の観察の結果、アルミナセラミックスと同様に焼結体中に粗大気孔が形成されており、強度の変動が粗大気孔の濃度分布差によるものであると結論された。この結果から、液相によって焼結する窒化ケイ素の場合でも顆粒内部・顆粒間の空隙に起因して粗大気孔が形成されるとともに、粗大気孔の大きさや濃度が成形体中の亀裂状空隙の大きさや濃度の変化に伴って変動し、焼結体強度に影響を及ぼすことが明らかとなった。さらに窒化ケイ素焼結体中の粗大気孔の大きさや濃度が成形時のCIP圧力に依存して変化することが示され、CIP圧力の増加に伴って焼結体強度が向上する原因が成形体中に残留する亀裂状空隙の減少に伴う焼結体中の粗大気孔濃度の減少によるものであることも明らかにされた。
 本研究の結果、焼結体特性、特に破壊強度の制御には微細組織や組成分布など焼結体を代表する組織構造だけでなく、粗大気孔分布のような欠陥構造を制御することが重要であることが示された。粗大気孔欠陥の形成、成長は、成形体に導入された亀裂状空隙や粉末粒子の不均一充填に起因していることから、信頼性の高いセラミックスを得るための指針として成形体組織構造の不均質性制御の重要性が示唆された。

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