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ストーカ式焼却炉における廃棄物処理の効率化

氏名 宮越 靖宏
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博甲第380号
学位授与の日付 平成18年6月30日
学位論文題目  ストーカ式焼却炉における廃棄物処理の効率化
論文審査委員
 主査 教授 門脇 敏
 副査 教授 増田 渉
 副査 教授 青木 和夫
 副査 教授 東 信彦
 副査 助教授 鈴木正太郎

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第1章 緒論 p.1
 1-1 はじめに p.2
 1-1-1 廃棄物処理の現状 p.2
 1-1-2 ストーカ式焼却炉の機能向上 p.5
 1-2 従来の研究とその概要 p.7
 1-2-1 低空気比燃焼 p.7
 1-2-2 焼却と灰溶融機能の一体化 p.10
 1.3 本研究の目的と概要 p.11

第2章 ストーカ式燃焼炉による低空気比燃焼の実現 p.13
 2-1 緒言 p.14
 2-2 高温空気燃焼技術 p.17
 2-2-1 原理と特徴 p.17
 2-2-2 ストーカ炉への適用 p.18
 2-3 試験設備および試験方法 p.21
 2-3-1 試験設備 p.21
 2-3-2 試験条件 p.24
 2-4 試験結果および考察 p.27
 2-4-1 主燃焼室の火炎形態 p.27
 2-4-2 低空気比燃焼の安定性 p.28
 2-4-3 窒素酸化物の生成抑制 p.30
 2-4-4 ダイオキシン類の排出抑制 p.31
 2-4-5 廃熱回収率の向上(ボイラ蒸発量の増加) p.32
 2-5 結言 p.33

第3章 低空気比燃焼ストーカ炉の実用化に向けた燃焼安定性向上と有害物質生成抑制のメカニズム p.34
 3-1 緒言 p.35
 3-2 燃焼安定性の改善 p.36
 3-2-1 低空気比燃焼における従来燃焼制御の問題点 p.36
 3-2-2 燃焼制御機能強化 p.37
 3-3 試験設備および試験方法 p.41
 3-3-1 試験設備 p.41
 3-3-2 試験条件 p.43
 3-4 試験結果および考察 p.44
 3-4-1 燃焼制御機能強化の効果 p.44
 3-4-2 高温混合気吹込みの効果と温度低下の影響 p.48
 3-4-3 低空気比燃焼における有害物質抑制のメカニズム p.50
 3-5 緒言 p.58

第4章 ストーカ炉と灰溶融炉の一体化による灰溶融処理の効率化 p.60
 4-1 緒言 p.61
 4-2 焼却と灰溶融の一体化 p.62
 4-3 試験設備および試験方法 p.65
 4-3-1 試験設備 p.65
 4-3-2 試験条件 p.68
 4-4 試験結果および考察 p.69
 4-4-1 灰溶融試験結果 p.69
 4-4-2 灰溶融による低空気比燃焼への影響 p.72
 4-4-3 ダイオキシン類出量 p.73
 4-4-4 灰処理燃費とエネルギー効率 p.74
 4-5 結言 p.79

第5章 結論 p.80

謝辞 p.83

文献 p.84

付録 p.89

 わが国における廃棄物処理施設は,現代社会に不可欠な社会基盤として我々の生活に定着しているが,今後の循環型社会の構築に向けた取り組みの中で,廃棄物の焼却処理に求められる役割は単なるごみの衛生的な減容処理から,環境保全や資源回収(熱,物質)へと高度多様化しつつある.
 わが国で現在採用されている一般廃棄物の処理方式は「ストーカ式焼却炉(以下,ストーカ炉)と灰溶融炉の併用」と「ガス化溶融炉」の2種類に大別される.「ガス化溶融炉」は前述のような社会的ニーズに応えるため,焼却と灰溶融機能を一系列に統合して低空気比燃焼により廃棄物を高温燃焼させることにより灰の溶融処理を可能にした画期的な新しい処理システムである.そのため,長期運転に伴う操業安定性や耐久性,また運転経費を含む経済性など,その実用性については今後の継続的な調査による適正な評価が待たれるところである.一方,実績豊富な既存技術の組み合わせである「ストーカ炉と灰溶融炉の併用」方式は,技術的信頼性は高いものの,ストーカ炉の燃焼装置としての構造上,廃棄物の低空気比燃焼が難しいことや別置式の独立型灰溶融炉では大量の外部エネルギーを必要とすることなどから,新型炉である「ガス化溶融炉」に比べ非効率なシステムになることは避けられないのが現状である.
 このような観点から,本研究では廃棄物処理における環境保全性の向上と包括的な処理の高効率化をより経済的に図るため,技術完成度の高い既存のストーカ炉で「低空気比燃焼」と「焼却と灰溶融の一体化処理」を実現する工学的手法を実験的に追及している.本論文は,『ストーカ式焼却炉における廃棄物処理の効率化』と題し,以下の5章より構成されている.
 第1章『緒論』では,本研究の社会的背景と工学的意義を述べ,優れた社会資本である従来型ストーカ炉の性能向上を図るための手立てを明示するとともに,本論文の目的を明らかにしている.
 第2章『ストーカ式焼却炉による低空気比燃焼の実現』では,まず環境保全と廃熱回収率の向上に資する「低空気比燃焼」を,従来型のストーカ炉で実現するための要素技術である「高温空気燃焼技術」の概要と,これを実際のストーカ炉に適用するための独自の手法について説明している.次いで,「高温空気燃焼技術」を応用した当該独自手法の実効性を実炉による低空気比燃焼試験により確認するとともに,低空気比燃焼による排ガスおよび有害物質の排出量低減,熱回収率向上の効果を従来燃焼との比較により明らかにしている.
 第3章『低空気比燃焼ストーカ炉の実用化に向けた燃焼安定性向上と有害物質生成抑制のメカニズム』では,「高温空気燃焼技術」を応用した本手法による「低空気比燃焼」の操業安定性とエネルギー効率を実用化レベルに到達させるための工学的手法について検討するとともに,実炉試験によりその効果を確認している.さらに,実炉試験より得られた燃焼温度や排ガス成分等のプロセスデータを分析することにより,本方式による低空気比燃焼のおける有害物質抑制のメカニズムについて考察を加えている.
 第4章『ストーカ炉と灰溶融炉の一体化による灰溶融処理の効率化』では,前章で低空気比燃焼を実現したストーカ炉に灰溶融炉を直結して低空気比燃焼と灰溶融の一体化運転を行い,その実用性を確認している.実炉試験の結果より「焼却と灰溶融の一体化」による灰溶融の燃料消費および廃熱回収率の向上効果について従来燃焼との比較による評価を行い,本方式の有益性を示している.
 第5章「結論」では,本研究の各章で得られた結言を総括している.

 本論文は、「ストーカ式焼却炉における廃棄物処理の効率化」と題し、5章より構成されている。
 第1章「緒論」では、本研究の社会的背景と工学的意義を述べ、優れた社会資本である従来型ストーカ炉の性能向上を図るための手立てを明示するとともに、本論文の目的を明らかにしている。
 第2章「ストーカ式焼却炉による低空気比燃焼の実現」では、「低空気比燃焼」を従来型のストーカ炉で実現するための要素技術である「高温空気燃焼技術」の概要を述べ、これを実際のストーカ炉に適用するための独自の手法について説明している。また、「高温空気燃焼技術」を応用した当該独自手法の実効性を実炉による低空気比燃焼試験により確認するとともに、低空気比燃焼による排ガスと有害物質の排出量低減、及び熱回収率向上の効果を、従来燃焼との比較により明らかにしている。
 第3章「低空気比燃焼ストーカ炉の実用化に向けた燃焼安定性向上と有害物質生成抑制のメカニズム」では、「低空気比燃焼」の操業安定性とエネルギー効率を実用化レベルに到達させるための工学的手法について検討するとともに、実炉試験によりその効果を確認している。また、実炉試験より得られた燃焼温度や排ガス成分等のプロセスデータを分析することにより、本方式の低空気比燃焼における有害物質抑制のメカニズムについて考察を加えている。
 第4章「ストーカ炉と灰溶融炉の一体化による灰溶融処理の効率化」では、低空気比燃焼を実現したストーカ炉に灰溶融炉を直結して低空気比燃焼と灰溶融の一体化運転を行い、その実用性を確認している。実炉試験の結果より「焼却と灰溶融の一体化」による灰溶融の燃料消費および廃熱回収率の向上効果について、従来燃焼との比較による評価を行い、本方式の有益性を示している。
 第5章「結論」では、本研究の各章で得られた結言を総括している。
 以上のように、高温空気燃焼技術を応用した低空気比燃焼を、実炉試験により実証し、有害物質排出量の低減や廃熱回収率の向上効果を明らかにしている。また、同実炉に灰溶融炉を直結した焼却と溶融の同時処理試験により、灰溶融処理の燃費改善と廃熱回収の向上効果を明らかにし、本手法の実効性を示している。
 よって、本論文は工学上及び工業上貢献するところが大きく、博士(工学)の学位論文として十分な価値を有するものと認める。

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