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e-Learning 環境の形式的記述手法の開発

氏名 森本 康彦
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博甲第398号
学位授与の日付 平成19年3月26日
学位論文題目 e-Learning 環境の形式的記述手法の開発
論文審査委員
 主査 教授 山田 耕一
 副査 教授 中村 和男
 副査 教授 淺井 達雄
 副査 教授 三上 喜貴
 副査 電気通信大学 助教授 植野 真臣

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1. 序論 p.4

2. e-Learningの形式的記述の現状 p.9
 2.1 e-Learningにおける技術標準化の動き p.9
 2.2 e-Learningに関わる標準規格 p.10
 2.3 e-Learningサイクルの各段階における形式的記述 p.20
 2.3.1 設計段階の形式的記述 p.20
 2.3.2 実施段階の形式的記述 p.21
 2.3.3 評価段階の形式的記述 p.24

3. 学習指導計画書の形式的記述手法と学習指導計画作製支援システムの開発 p.32
 3.1 はじめに p.32
 3.2 学習指導計画書データベースの現状 p.33
 3.2.1 関連研究と現状の問題点 p.33
 3.2.2 解決策 p.34
 3.3 学習指導計画書記述言語MelaTep p.36
 3.3.1 開発の概要 p.36
 3.3.2 学習指導計画書の構造の大枠 p.37
 3.3.3 記述項目の抽出 p.38
 3.3.4 記述項目間の関係抽出 p.40
 3.3.5 記述文法の定義 p.40
 3.4 システム開発 p.43
 3.4.1 システム構成 p.43
 3.4.2 利用形態 p.44
 3.5 システム評価 p.49
 3.5.1 評価の目的 p.49
 3.5.2 評価実験I p.50
 3.5.3 評価実験II p.53
 3.5.4 評価考察 p.55
 3.6 まとめ p.56

4. 学習プロセスの形式的記述手法と適応的LMSの開発 p.58
 4-1. はじめに p.58
 4-2. 学習プロセスの形式的記述 p.60
 4-2-1. e-Learningの学習プロセスにおけるインタラクション p.60
 4-2-2. SCORM,IMS-LDによる学習プロセス記述の問題点 p.61
 4-2-3.問題点の解決策 p.62
 4-3. 学習状態遷移図(LSTD) p.62
 4-3-1. 学習プロセスモデル p.63
 4-3-2. 形式的記述 p.69
 4-3-3. 記述能力の評価 p.71
 4-4. SCORM-LST p.75
 4-4-1. 概要 p.75
 4-4-2. なぜSCORMに実装するか p.76
 4-4-3. 拡張の方針 p.77
 4-4-4. SCORM-LSTスキーマ p.77
 4-4-5. 記述の流れ p.80
 4-5. SCORM-LSTのLMSへの実装(ALMS) p.81
 4-5-1. システムの特徴 p.81
 4-5-2. 状態マシンとしての実装方針 p.81
 4-5-3. システム概要 p.82
 4-5-4. システム構成 p.82
 4-5-5. 動作例 p.84
 4-5-6. LMSの評価 p.91
 4-6. まとめ p.96
 付録 【SCORM-LST記述例】 p.98

5. ポートフォリオ評価支援の形式的記述手法とポートフォリオ評価支援システムの開発 p.102
 5-1. はじめに p.102
 5-2. ポートフォリオ評価の現状 p.103
 5-2-1. 現状の問題点 p.103
 5-2-2. 先行研究 p.104
 5-3. ポートフォリオ評価支援手法開発の方針 p.105
 5-3-1. 問題を解決するための要件 p.106
 5-3-2. ポートフォリオ評価支援の青写真 p.106
 5-3-3. 形式的記述の意義 p.108
 5-4. ポートフォリオ評価支援のための関係抽出 p.108
 5-4-1. 関係抽出の方針 p.108
 5-4-2. 関係抽出の手順 p.109
 5-4-3. 関係の抽出 p.109
 5-5. 形式的記述手法の開発 p.118
 5-5-1. 開発方針 p.118
 5-5-2. 記述定義 p.119
 5-5-3. 表記法 p.120
 5-6. 形式的記述手法に基づくポートフォリオ評価支援システム(PASS)の開発 p.124
 5-6-1. システム開発の方針 p.124
 5-6-2. システムの機能 p.124
 5-6-3. ポートフォリオ集積構造 p.125
 5-6-4. システム構成 p.128
 5-6-5. PDS/PPSに基づくセマンティックス管理方法 p.129
 5-6-6. PASS動作例 p.131
 5-7. 授業実践 p.137
 5-7-1. 授業の概要 p.137
 5-7-2. 授業方法 p.138
 5-8. システムの評価 p.139
 5-8-1. 評価の目的 p.139
 5-8-2. 設計段階支援の評価 p.139
 5-8-3. 実践段階支援の評価 p.142
 5-9. まとめ p.147

6. 結論 p.150

 印刷公表の方法および時期 p.154

 一般に,e-Learningは,LMS(Learning Management System)と呼ばれる学習管理システムによって管理されるが,現在のほとんどのLMSは,学習履歴やテスト結果などの学習データを管理しているに過ぎず,学習そのものをマネジメントしていないといえる.e-Learningの学習を効率よく有効的にマネジメントするためには,LMSが,協調学習,コンテンツ提示,評価活動等を組み合わせ,学習者にタイミングよく提示したりすることにより,学習者の自律的な学習を誘発できることが望まれる.本論文では,このようなマネジメントを実現するためにLMSの振る舞いをコントロールする手段を新たに提案・開発した.具体的には,e-Learningの設計,実施,評価の各段階において,形式言語理論に基づくe-Learning環境の形式的記述手法を提案・開発した.形式言語理論を用いることで,数理的かつ精確で矛盾のない形式記述を可能にした.さらに本論文では,形式記述を入力することにより,その記述内容に基づいて学習者の状態に適応的にe-Learning環境が動作するシステムを開発した.そして,実際にシステムを実行させ,形式言語理論に基づくe-Learning環境の形式的記述手法とその形式記述に基づき動作するシステムの有効性を示した.
 本論文は6章より構成されており,各章の詳細は次の通りである.
 第1章では,本研究の背景と目的について述べた.
 第2章では,e-Learningの技術標準化の動きについて概説し,e-Learningの形式的記述の現状について議論した.
 第3章では,e-Learningの設計段階において,学習指導計画書の形式的記述手法と学習指導計画書作成支援システムの開発を行った.ここでは,学習指導計画書の記述文法の表現に拡張BNFを導入した.具体的には,学習指導計画書作成のための記述文法を定義し,学習指導計画書記述言語(MelaTep)を開発した.さらに, MelaTepに基づいた学習指導計画書の作成とデータベース管理の統合支援システム(Tepports)を開発した.記述文法に拡張BNFを導入し,解析木情報を用いることにより,学習指導計画書の共有・再利用が容易に行え,さらに,構造に柔軟性を持たせながら,記述項目の出現順序や記述項目間の関係が矛盾なく整合性のとれた構造(健全性)の学習指導計画書を作成することを可能にした.Tepportsの実践・評価から,MelaTepに基づいて作成された学習指導計画書は,構造に柔軟性と健全性を持つことが示され,さらにデータベース化による学習指導計画書の共有・再利用の実現の容易性が明らかになった.
 第4章では,e-Learningの実施段階において,学習プロセスの形式的記述手法と適応的LMSの開発を行った.ここでは,学習の誘導等のLMSの振る舞いの表現に状態遷移図を導入した.具体的には,学習プロセスの形式的記述手法として学習状態遷移図(LSTD)の開発を行った.さらに,本手法による形式記述の枠組みをSCORMに追加したSCORM-LSTと,そのインタプリタとして動作するLMS(ALMS)を開発した.ALMSの実践・評価から,SCORM-LSTの記述に合わせてタイミングよく適応的にインタフェースを変えて動作し学習をマネジメントするLMSの実現と,その有効性が示された.
 第5章では,e-Learningの評価段階において,ポートフォリオ評価支援の形式的記述手法とポートフォリオ評価支援システムの開発を行った.ここでは,ポートフォリオ群の関係記述に集合論をベースとした独自の形式的記述手法を適用した.具体的には,授業形式と収集すべきポートフォリオとの関係(PDS)と,評価活動と収集されたポートフォリオとの関係(PPS)を抽出して明らかにし,その関係を形式的に記述する手法を開発した.さらに,PDSとPPSの形式記述に基づいて動作するシステム(PASS)を開発した.PASSの実践・評価から,PDSとPPSの形式記述に基づいたポートフォリオ評価の設計と実践段階の支援の実現と,その有効性が示された.
 第6章では,本論文の成果と今後の課題を総括した.

 本論文は「e-Learning環境の形式的記述手法の開発」と題し,6章より構成される. 第1章では,e-Learningの定義やe-Learning利用の現状,開発動向など,本研究の背景と目的について述べる.
 第2章「e-Learningの形式的記述の現状」では,現在のe-Learningの標準規格の現状について述べ,その問題点をe-Learningの設計,実施,評価の段階ごとに明らかにする.
 第3章「学習指導計画書の形式的記述手法と学習指導計画書作成支援システムの開発」では,設計段階の問題点の解決のため,学習指導計画書を形式的に記述する手法の開発について述べる.ここでは,学習指導計画書の記述文法の表現に拡張BNFを導入する.具体的には,学習指導計画書作成のための記述文法を定義し,学習指導計画書記述言語(MelaTep)開発について述べる.さらに, MelaTepに基づいた学習指導計画書の作成とデータベース管理の統合支援システム(Tepports)開発について述べる.記述文法に拡張BNFを導入し解析木情報を用いることにより,学習指導計画書の共有・再利用が容易に行え,構造に柔軟性を持たせながら記述項目の出現順序や記述項目間の関係が矛盾なく整合性のとれた構造(健全性)の学習指導計画書を作成することが可能になる.Tepportsの実践・評価から,MelaTepに基づいて作成された学習指導計画書は構造に柔軟性と健全性を持つことが示され,データベース化による学習指導計画書の共有・再利用の実現の容易性が明らかになった.
 第4章「学習プロセスの形式的記述手法と適応的LMSの開発」では,実施段階の問題点の解決のため,即時的な学習支援(ファシリテーション)を伴うe-Learningによる学習を形式的に記述する手法の開発について述べる.ここでは,学習におけるe-Learningシステムの振る舞いの表現に状態遷移図を導入した.具体的には,学習者のアクションと学習状態およびファシリテータまたはe-Learningシステムによるファシリテーションを基にした学習状態遷移図であるLSTDと,LSTDを形式的に記述する手法を開発した.さらに,本手法による形式記述の枠組みをSCORMに追加したSCORM-LSTと,そのSCORM-LSTのインタプリタであるLeSTeSを開発した.LeSTeSの実践・評価から,e-Learning上での即時的なファシリテーションを伴う学習の実現とその有効性が示されている.
 第5章「ポートフォリオ評価支援の形式的記述手法とポートフォリオ評価支援システムの開発」では,評価段階の問題点の解決のためポートフォリオ評価の設計と実践を支援するための形式的記述手法について述べる.ここでは,ポートフォリオ群の関係記述に集合論をベースとした独自の形式的記述手法を適用した.具体的には,授業形式と収集すべきポートフォリオとの関係(PDS)と,評価活動と収集したポートフォリオとの関係(PPS)を抽出して明らかにし,その関係を形式的に記述する手法を開発した.また,PDSとPPSの形式記述に基づいて動作するシステム(PASS)を開発した.PASSの実践・評価から,PDSとPPSの形式記述に基づいたポートフォリオ評価の設計と実践の支援の実現とその有効性が示された.第6章「結論」では,本論文の成果と今後の課題を総括する.
 よって、本論文は工学上及び工業上貢献するところが大きく、博士(工学)の学位論文として十分な価値を有するものと認める.

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