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局部順次鍛造における変形挙動に関する研究

氏名 中村 敬一
学位の種類 工学博士
学位記番号 博乙第1号
学位授与の日付 平成元年12月20日
学位論文の題目 局部順次鍛造における変形挙動に関する研究
論文審査委員
 主査 教授 小林 勝
 副査 教授 吉谷 豊
 副査 教授 矢田 敏夫
 副査 教授 梅村 晃由
 副査 教授 高田 孝次

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目次
緒論 p.1
1.研究の背景及びフレキシブルフォーミング技術の体系 p.1
2.従来技術に関する研究経過 p.4
2-1 回転鍛造に関する研究経過 p.4
2-2 局部順次間けつ鍛造に関する研究経過 p.6
3.本論文の目的及び内容 p.8
第1部 回転鍛造における変形挙動に関する研究
第1部で使用する主な記号 p.13
第1章 回転鍛造の基本加工特殊 p.14
1-1 緒言 p.14
1-2 加工原理及び上型と素材の接触状態 p.14
1-2-1 加工原理 p.14
1-2-2 上型と素材の接触面積 p.15
1-3 上型加工面の運動軌跡の解析 p.17
1-3-1 上型円錐面上の一点の運動軌跡 p.18
1-3-2 上型円錐面外の一点の運動軌跡 p.20
1-4 加工機械(ロッキングダイプレス)の概要 p.20
1-4-1 ロッキングダイプレスの構造 p.20
1-4-2 上型の運動モード p.21
1-5 基本加工特性 p.22
1-5-1 加工力 p.22
1-5-2 加工速度及び加工時間 p.23
1-6 結言 p.24
第2章 すえ込み-前方押出し同時加工における変形挙動 p.48
2-1 緒言 p.48
2-2 実験条件 p.48
2-2-1 供試材料 p.48
2-2-2 実験方法 p.49
2-3 実験結果 p.50
2-3-1 上下共潤滑条件での前方押出し部の挙動 p.50
2-3-2 他の潤滑条件での前方押出し部の挙動 p.50
2-3-3 上下共潤滑条件でのすえ込み部の挙動 p.51
2-3-4 他の潤滑条件でのすえ込み部の挙動 p.52
2-4 検討 p.52
2-4-1 高さ減少率の増加に伴う拘束条件の変化 p.52
2-4-2 上型接触面積による材料流動の解析 p.53
2-5 結言 p.53
第3章 すえ込み-前方押出し同時加工における材料流動の格子法による解析 p.71
3-1 緒言 p.71
3-2 実験条件 p.71
3-2-1 供試材料 p.71
3-2-2 実験方法 p.72
3-2-3 測定方法及びひずみの算出 p.72
3-3 実験結果と検討 p.73
3-3-1 試料形状の影響 p.73
3-3-2 高さ減少率の影響 p.73
3-3-3 一揺動当たりの送り量の影響 p.74
3-3-4 潤滑条件の影響 p.74
3-4 通常の鍛造との比較 p.75
3-4-1 加工力及び前方押出し長さ p.75
3-4-2 試料内部の変形挙動 p.75
3-5 結言 p.76
付録 p.78
第4章 すえ込み-後方押出し同時加工における変形挙動 p.91
4-1 緒言 p.91
4-2 実験条件 p.91
4-2-1 供試材料 p.91
4-2-2 実験方法 p.92
4-3 実験結果 p.92
4-3-1 上下共潤滑条件での後方押出し部の挙動 p.92
4-3-2 他の潤滑条件での後方押出し部の挙動 p.93
4-3-3 上下共潤滑条件でのすえ込み部の挙動 p.94
4-3-4 他の潤滑条件でのすえ込み部の挙動 p.94
4-4 検討 p.95
4-4-1 上型接触面積の変化 p.95
4-4-2 上型接触面積による材料流動の解析 p.96
4-5 結言 p.96
第5章 すえ込み-前後方押出し同時加工における変形挙動 p.110
5-1 緒言 p.110
5-2 実験条件 p.110
5-2-1 供試材料 p.110
5-2-2 実験方法 p.111
5-3 実験結果 p.111
5-3-1 前方押出し部及び後方押出し部の変形挙動 p.111
5-3-2 すえ込み部の変形挙動 p.112
5-3-3 潤滑条件の影響 p.113
5-4 上型接触面積による材料流動の解析 p.114
5-5 結言 p.114
第6章 実生産に対する検討 p.125
6-1 緒言 p.125
6-2 素材形状の決定方法 p.125
6-2-1 すえ込み-前方押出し同時加工 p.125
6-2-2 すえ込み-後方押出し同時加工 p.127
6-2-3 すえ込み-前後方押出し同時加工 p.127
6-3 加工精度 p.129
6-3-1 上型加工部の加工精度 p.129
6-3-2 下型加工部の加工精度 p.131
6-4 実生産時の検討 p.131
6-4-1 連続加工実験 p.131
6-4-2 振動及び騒音 p.132
6-4-3 実製品の加工例
6-5 結言 p.134
第7章 第1部のまとめ p.154
第2部 長尺材の局部順次間けつ鍛造における変形挙動に関する研究
第2部で使用する主な記号 p.159
第1章 加工方法の概要及び実験機の開発 p.161
1-1 緒言 p.161
1-2 加工方法の概要 p.162
1-2-1 局部順次間けつ鍛造の概要 p.162
1-2-2 加工力の解析 p.163
1-3 実験装置の開発 p.167
1-4 結言 p.168
第2章 面外曲がりに関する基礎検討 p.177
2-1 緒言 p.177
2-2 実験方法 p.178
2-2-1 実験試料 p.178
2-2-2 実験工具 p.178
2-2-3 測定方法 p.179
2-3 実験結果と検討 p.179
2-3-1 1箇所加圧 p.179
2-3-2 2箇所加圧 p.180
2-4 FEMによる材料流動解析 p.182
2-5 結言 p.183
第3章 順次加工における面外曲がりにおよぼす加工条件の影響 p.197
3-1 緒言 p.197
3-2 実験方法 p.197
3-2-1 加工方法 p.197
3-2-2 実験試料 p.198
3-2-3 実験装置及び工具 p.198
3-2-4 測定方法 p.199
3-3 実験結果と検討 p.199
3-3-1 平均ポンチ面圧 p.199
3-3-2 試料の送り方向の関係 p.199
3-3-3 加工条件の影響 p.200
3-3-4 ポンチ長の影響 p.201
3-3-5 工具相対位置の影響 p.202
3-4 結言 p.202
第4章 長手方向伸びに関する検討 p.219
4-1 緒言 p.219
4-2 実験方法 p.219
4-2-1 実験試料 p.219
4-2-2 実験装置及び工具 p.220
4-2-3 測定方法及び用語の定義 p.220
4-3 実験結果と検討 p.221
4-3-1 圧縮率の影響 p.221
4-3-2 板幅/板厚比の影響 p.221
4-3-3 送りピッチ/板厚比の影響 p.221
4-3-4 送り比の影響 p.222
4-4 考察 p.223
4-4-1 伸び率予測の実験式 p.223
4-4-2 モデル実験 p.223
4-5 結言 p.224
第5章 面内曲がりに及ぼす加工条件の影響 p.237
5-1 緒言 p.237
5-2 実験方法 p.237
5-2-1 実験試料 p.237
5-2-2 平面ひずみ状態による実験 p.238
5-2-3 面内曲がり実験 p.238
5-2-4 測定方法 p.239
5-3 実験結果と検討 p.239
5-3-1 内部の相当ひずみ分布 p.239
5-3-2 加圧長の影響 p.240
5-3-3 加圧幅比の影響 p.241
5-3-4 圧縮率の影響 p.242
5-3-5 板幅/板幅比の影響 p.242
5-3-6 板幅方向の順次加工 p.243
5-4 面内曲がり抑止方法の提案 p.243
5-5 結言 p.244
第6章 順次振り加工における変形挙動 p.259
6-1 緒言 p.259
6-2 実験方法 p.259
6-2-1 実験試料 p.259
6-2-2 実験装置及び工具 p.260
6-2-3 測定方法及び用語の定義 p.260
6-3 実験結果と検討 p.261
6-3-1 圧縮率の影響 p.261
6-3-2 試料形状の影響 p.262
6-3-3 回転ピッチと送りピッチの影響 p.263
6-3-4 全加圧長さの影響 p.264
6-3-5 ポンチ長の影響 p.265
6-4 結言 p.265
第7章 蒸気タービン翼加工への適用 p.283
7-1 緒言 p.283
7-2 蒸気タービン翼の概要と局部順次間けつ鍛造の適用目的 p.283
7-3 加工プロセスの概要 p.284
7-3-1 全体のプロセスと基本要素技術の適用 p.284
7-3-2 各種形状の決定方法の概要 p.286
7-4 実機による加工 p.286
7-4-1 蒸気タービン翼加工装置の開発 p.286
7-4-2 実作番の加工及び加工品 p.287
7-5 結言 p.288
第8章 第2部のまとめ p.295
結論 p.300
1.研究のまとめ p.300
2.今後の展開 p.302
謝辞 p.303
参考文献 p.305
著者の学術研究業績 p.310

 本論文は「局部順次鍛造における変形挙動に関する研究」と題し、第1部7章、第2部8章の2部から構成されている。
 緒論では、フレキシブル・フォーミング技術の体系化を図ると共に、従来の研究について概説し、特にバルク材の圧縮変形を対象とした鍛造は、板材の場合と比較して実用的な技術の開発が不足していることを明らかにしている。そして、本研究の目的が加工力の低減による設備の小形化、あるいは大幅な金型費の削減を実現できる大形多種小量品の加工に適した、実用的な鍛造技術の開発にあることを述べている。
 第1部は、局部的な加工を連続的に累積して全体を成形する局部順次連続鍛造の一種である回転鍛造の実用的な基礎データの提供を目的としている。実製品に多数見受けられるボス部とフランジ部から構成された形状品を対象として、鍛造の基本変形様式であるすえ込み、前方押出し、後方押出しの3要素を取り上げ、それらを組合せ加工したときの回転鍛造における材料の変形挙動を明らかにした。
 第1章では、この加工方法を特徴づけている基本的な事柄及び加工特性等についての検討結果について述べる。上型と素材の接触状態応及び揺動運動する上型の運動軌跡の解析を行い、上型で複雑な形状を加工する際の金型設計上のデータを提供する。また、実験に用いたポーランド製の加工機械であるロッキングダイプレスを紹介する。
 第2章では、フランジ部とボス部から構成された部品を、フランジ部は上型によってすえ込み加工し、ボス部は下型中央部の押出し穴へ前方押出しして加工する場合の、材料の変形挙動に及ぼす加工条件の影響を、通常の鍛造との比較において明らかにする。
 第3章では、半割り円柱の一方に格子線をけがき、外周リングで拘束した試料を用いて、回転鍛造及び通常の鍛造におけるすえ込み-前方押出し同時加工の実験を行い、格子線ひずみ解析法により回転鍛造の変形挙動の特徴を内部での流動状態から明らかにする。
 第4章では、すえ込みと円錐状上型加工面の中央穴への後方押出しとを同時加工した場合の変形挙動について、回転鍛造と通常の鍛造との比較検討を行う。
 第5章では、材料をすえ込むと同時にその一部を前方に押出しながら後方にも押出す、すえ込み-前後方押出同時加工における、材料の変形挙動に及ぼす試料材質、試料寸法及び潤滑条件の影響等について検討する。
 第6章では、回転鍛造の実生産への適用上の課題について検討する。特に第5章までの結果から、基本的な変形様式における最適な素材形状の決定方法を示す。また、加工精度及びロッキングダイプレスの実稼動における問題点の検討を行うとともに、実製品の加工例を簡単に紹介する。
 第7章は第1部のまとめである。
 第2部では、従来の自由鍛造が加工力の低減のみならず、金型費を大幅に削減できることに着目して、単純形状の工具を用いて素材を局部的かつ間けつ的に順次加工し、材料流動を制御して3次元曲面を加工する局部順次間けつ鍛造技術の開発を目的として、長尺材を対象とした面外、面内での曲げ加工及び長手方向での捩り加工に関する検討を行い、その結果を蒸気タービン翼の加工へ適用する。
 第1章では、局部順次間けつ鍛造の着眼点、第2章以降で検討する材料流動制御に関する基本的な要素技術、摩擦を考慮した上界法による加工力の解析、並びに試作した実験機について述べる。
 第2章では、局部加工した場合に発生する面外曲がりについて、1箇所のみ加圧した場合の加圧条件と曲がり角の関係、及び2箇所を加圧した場合の塑性域の相互干渉等に関する基礎検討を行う。
 第3章では、前章の面外曲がりの基礎検討に引き続き、単純形状をした一対の工具で長尺材を長手方向に順次加工して面外で曲げることを試みる。
 第4章では、長手方向に形状不連続部を有する長尺材を精度良く加工することを目的に、従来の自由鍛造では検討がなされていない送り比(a/w0)が小さな範囲(0.1~0.4)で、局部順次間けつ鍛造する場合の、長手方向の伸びに関する基礎実験を行う。
 第5章では、ポンチによる加圧面積を面外で曲げ加工よりさらに小さくし、板幅方向の一方の端部を局部的に順次加圧しながら長尺材を面内で曲げる方法について検討する。
 第6章では、長尺材を対象とした局部順次間けつ鍛造の基本要素技術である、長手方向の捩り加工(順次捩り加工)における加工条件と捩り精度について検討する。
 第7章では、上記の基本的な要素技術を蒸気タービン翼の加工へ適用した零について述べる。
 第8章は2部のまとめである。
 結論では、本研究の総括を行うと共に今後の展開について述べる。

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