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Evaluation of silicon nitride powder surfaces by temperature programmed desorpton

(昇温脱離による窒化ケイ素粉末表面の評価)

氏名 河本 充
学位の種類 工学博士
学位記番号 博甲第48号
学位授与の日付 平成3年6月30日
学位論文題目 Evaluation of silicon nitride powder sufaces by temperature
programmed desorption(昇温脱離による窒素ケイ素粉末表面の評価)
論文審査委員
 主査 助教授 石崎 幸三
 副査 教授 植松 敬三
 副査 教授 井上 泰宣
 副査 助教授 鎌田 喜一郎
 副査 助教授 小松 高行
 副査 教授 高田 雅介

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Contents
1.GENERAL INTRODUCTION p.8
1.1 Silicon nitride p.9
1.2 Processing of silicon nitride power p.10
1.3 Surface chemistry of silicon nitride power p.15
1.4 Temperature programmed desorption(TPD) p.19
1.5 Scope of this thesis p.21
References p.23
2.DESIGN OF TPD SYSTEM p.28
2.1 Introduction p.29
2.2 Vacuum chamber p.31
2.3 Furnace p.33
2.4 Control system p.35
2.5 Summary p.35
References p.37
3.EVALUATION OF COMMERCIALLY AVAILABLE SILICON NITRIDE POWDER SURFACES BY TPD p.38
3.1 Introductoin p.39
3.2 Experimental procedure p.39
3.2.1 Silicon nitride powders p.39
3.2.2 TPD p.44
3.2.3 Calculation of the numbers of desorbed molecules p.45
3.3 Results and Discussion p.45
3.3.1 TPD spectral patterns p.45
3.3.2 Amounts of desorbed molecules patterns p.54
3.3.3 Relationships between the H2, N2, and NH3 desorption quantities p.57
3.3.4 Relationship between desorbed amounts of water molecules and the powders' oxygen content p.65
3.4 Relationship between the amounts of desorbed CO2 molecules and the powders' carbon contents p.65
3.5 Conclusions p.67
References p.69
4.AQUEOUS SOXHLET WASHING OF SILICON NITRIDE POWDERS p.70
4.1 Introduntion p.71
4.2 Experimental procedure p.71
4.2.1 Aqueous Soxhlet washing p.71
4.2.2 Changes in the washing water p.72
4.2.3 TPD anlyses p.73
4.2.4 Conventional anlyses p.75
4.3 Results and Discussion p.75
4.3.1 Changes in the washing water p.75
4.3.2 Changes in the powders' oxygen and carbon contents p.77
4.3.3 Surface changes studied by conventional methods p.77
4.3.4 TPD spectral pattern changes p.78
4.3.5 Changes in the amounts of desorbed molecules p.84
4.3.6 Individual TPD peak changes for desorbed H2O, NH3、aND CO2 molecules p.88
4.3.7 Relationship between the powders'oxygen content and desorbed species changes p.88
4.4 Conclusions p.106
References p.107
5.EFFECTS OF THE SURFACE CHEMISTRY ON PHYSIAL PROPERTIES p.109
5.1 Introsuction p.110
5.2 Experimental procedure p.110
5.2.1 Physical properties p.110
5.2.2 Particle size analysis p.112
5.3 Results and Discussion p.112
5.3.1 Accumulation height p.112
5.3.2 Accumulation density p.113
5.3.3 Particle size distribution p.115
5.3.4 Relationship between the powders chemical surface and physical properties changes p.118
5.4 Conclusions p.123
References p.124
6.SUMMARY, CONCLUSIONS AND RECOMMENDATIONS p.126
6.1 Summary and Conclusions p.127
6.2 General conclusions p.130
6.3 Recommendations p.131
Appendix p.132

 本論文は昇温脱離(TPD)法を窒化ケイ素粉末表面の分析に応用し、その分析技術を確立するとともに窒化ケイ素粉末表面の定性および定量的評価をすることを目的とする。窒化ケイ素粉末表面はその成型体や焼結体の性質に非常に大きな影響を与える因子であるが、その組成や構造の詳細については不明な点が多く、特に定量的な分析については報告が少ない。本研究では、はじめてTPD法により窒化ケイ素粉末表面の分析を行い、特に定性そして、定量的な評価を行った。第1章「緒論」では、窒化ケイ素についてのあらましを述べるとともに、窒化ケイ素粉末表面について、現在までの研究概要とその問題点を示した。またTPD法による評価の意義を述べた。第2章「装置の設計」では、従来のTPD装置を改善した、高感度TPD装置の設計について説明した。本装置の特徴は、1)試料交換と移動が容易で速い、2)脱離炉がコンパクトで、超高真空装置の中に設置してあるので、温度制御が正確にできる、3)高いコンダクタンスと超高真空のため、スペクトル分離能が高い、4)全ての脱離分子の情報を同時に分析できてデータ処理も速い、5)吸着実験も可能である、等である。
 第3章「市販窒化ケイ素粉末表面のTPDによる評価」では、異なる製造方法(主に3種類)で製造された11種類の市販窒化ケイ素粉末表面の評価をTPD法により行った。製造方法は、A)イミド熱分解法(2種類)、B)シリカ還元法(2種類)、および、C)直接窒化法(7種類)である。その結果、主な脱離分子は全ての粉末において、H2、NH3、H2O、質量数28の分子およびCO2であった。質量数28については、ほとんどの粉末において主にN2分子だと考えられる。脱離挙動は全ての粉末においても異なっており、たとえ同じ製造法の粉末でも異なった挙動を示した。H2と質量数28の脱離スペクトルが非常に似ていることから、両者の間には相関があると考えられる。また脱離量に関しても相関がみられ、NH2=0.8+0.40(±0.07)NN2、NH=0.09+0.39(±0.04)NN(NH2、NN2、NH、NNは各々H2、N2、H、Nに換算したnm2当りの脱離量)という関係が得られた。
 また、粉末に含まれる酸素量と脱離したH2O分子量の間に正比例の関係があることが明らかになった。直接窒化法におよびイミド熱分解法による粉末は同じ直線上にあったが、シリカ還元法の粉末だけは、H2O脱離量に比べ、酸素含有量が多く、その直線からはずれることが判明した。
 第4章「ソックスレーによる窒化ケイ素粉末の洗浄」では、ソックスレー中でイオン交換水によって3種類の粉末(各製法について1種類)を洗浄し表面状態の変化をTPD法により分析した。その結果、主な脱離分子の種類は洗浄前と同じH2、NH3、H2O、質量数28の分子およびCO2であった。H2と質量数28の脱離スペクトルは再び非常に良く似ていたが、脱離量は粉末B1(シリカ還元法)とC3(直接窒化法)の粉末について変化がみられた。また洗浄によって粉末の酸素量の減少が見られ、その変化はH2OとNH3の高温側の脱離ピークの減少に相関があった。NH3の脱離については、中温域での脱離の増加があり、これは、OH基がNH3基に代わったことによると考えられる。
 第5章「粉末の物理的性質に及ぼす表面化学特性の影響」では、第4章で述べた洗浄による表面変化と粉末の流動性と堆積密度の関係を調べた。3種類の粉末全てについて洗浄によって流動性、体積密度とともに向上した。粉末A1(イミド熱分解法)については粒度分布(凝集分布)に洗浄による大きな変化が見られたが、他の粉末については、大きな変化は見られなかったため、粉末の物理的性質に及ぼす因子は、粒度分布の変化よりは表面的化学特性の洗浄による変化であると考えられる。TPD法による表面の化学的変化の分析により、堆積密度を向上させる要因としてOH基の減少が、流動性についてはOH基とNH2基が関係していることが明らかになった。
 第6章「総括、結論、提言」では、本研究の総括を述べ、全体をまとめてTPD法が原料粉末の表面解析に有効な手段であることを述べ、窒化ケイ素原料粉末を水洗により、安価で安全に原料粉末の性質を向上させることを提案した。

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