斜板式アキシアルピストンモータの励起・微速時特性に関する研究
氏名 松本 和幸
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博甲第50号
学位授与の日付 平成3年9月30日
学位論文題目 斜板式アキシアルピストンモータの起動・微速時特性に関する研究
論文審査委員
主査 教授 池谷 光栄
副査 教授 吉谷 豊
副査 教授 久曽神 煌
副査 助教授 金子 覚
副査 横浜国立 大学教授 山口 惇
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目次
第1章 緒論 p.1
1.1 研究の背景 p.1
1.2 従来の研究ないし現状 p.2
1.3 本研究の目的および概要 p.6
第2章 起動・微速時特性の評価方法 p.8
2.1 緒言 p.8
2.2 評価方法 p.9
2.3 摩擦損失特性 p.21
2.4 漏れ流量特性 p.24
2.5 トルク並びに流量変動特性 p.27
2.6 本章の総括 p.30
第3章 球継手部の摩擦特性 p.31
3.1 緒言 p.31
3.2 実験装置および方法 p.31
3.3 実験結果および考察 p.37
3.4 本章の総括 p.47
第4章 ピストン部の摩擦特性 p.48
4.1 緒言 p.48
4.2 実験装置および方法 p.48
4.3 実験結果および考察 p.52
4.4 本章の総括 p.60
第5章 スリッパ部の挙動と特性 p.61
5.1 緒言 p.61
5.2 実験装置および方法 p.61
5.3 実験結果および考察 p.68
5.4 本章の総括 p.77
第6章 シリンダブロック部の挙動と特性 p.78
6.1 緒言 p.78
6.2 実験装置および方法 p.78
6.3 実験結果および考察 p.84
6.4 漏れ流量の変動要因について p.93
6.5 本章の総括 p.103
第7章 シリンダブロック部の油膜厚さと漏れ流量変動に関する理論解析 p.105
7.1 緒言 p.105
7.2 シリンダブロックに作用する力 p.105
7.3 油膜厚さと漏れ流量 p.116
7.4 圧力分布 p.118
7.5 スプライン結合部の影響 p.121
7.6 ピストン摺動抵抗の影響 p.128
7.7 本章の総括 p.131
第8章 結論 p.132
8.1 研究結果の総括 p.132
8.2 研究成果の活用と今後の展望 p.136
謝辞 p.140
文献 p.141
本論文は斜板式アキシアルピストンモータ(以下斜板式モータ)の起動・微速時性能の解明と改善に関する研究について述べる。一般に苛酷な条件の下で使用される機械装置の自動化には油圧駆動方式が適合し、アクチュエータとして、斜板式モータが広く採用される。この種のモータは、高効率、高出力密度、複合化設計容易等の特長から、その性能を支配するスリッパ~斜板間、弁板~シリンダブロック間等、主要摺動部の摩擦、漏れ特性、特にそこでの起動時あるいは微速時の特性解明が強く要請されている。
本研究は、このため各摺動部に関して市販品実桟寸度適用の模型実験装置を案出、制作、詳細な実験を行い、更に弁板~シリンダブロック間について理論的検討をも加え、斜板式モータの実務的な設計指針を明らかにした。
本論文は8章から構成し、第1章では研究の背景と従来の研究に対する概説を通して、斜板式モータの起動および微速時の詳細な挙動解析が重要であることを指摘し、本研究の位置付け、意義、目的を明確にする。
第2章では、斜板式モータ全体の起動・微速時における摩擦および漏れ流量特性とその評価方法の考察に主眼をおいている。まず斜板式モータの起動特性に関して、供給圧力上昇法、負荷トルク減少法、出力軸固定法、微速性能評価法の4方法で同一斜板式モータを比較評価し、微速性能評価法の妥当性を確認する。同評価法により斜板式モータの起動・微速時特性を計測した結果、これらの特性が回転数および回転位相角J3 Kbytes/sec)7.32 秒で転送しましたsjis (133.44.10.4,1755).MITED 1993
第6章では、シリンダブロック部の挙動と摩擦・漏れ流量特性について、シリンダブロック~弁板間の摩擦トルク、漏れ流量並びにこれらの特性に影響を及ぼす静圧軸受の寸法諸元あるいは供給圧力・回転数等の作動条件との関係を明らかにする。更にシリンダブロックの傾きや最小油膜厚さの方法角度、漏れ流量の変動とその要因を明確にする。実験の結果、高圧側ピストン本数の切換わりとピストン摺動抵抗が要因となる1回転中18回の変動と、スプライン結合部の精度が要因となる1回転中1回の変動が特に顕著であることが分かる。
第7章では、これ迄述べてきた4つの摺動部のうち特に重要なシリンダブロック部における漏れ流量と、その変動に大きな影響を及ぼすピストン~シリンダボア間の摺動特性、シリンダブロックとモータ軸とのスプライン結合部精度を考慮して理論的検討を加える。これにより微速時性能改善のための具体的な設計指針を得ている。
第8章ではこれらの結果を総括し、研究成果の活用について一部の有効な実施例を紹介して今後の研究課題とその方向付けについて展望を述べる。