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Generation of Intense Pulsed Light-Ion Beam and Its Interaction with Targets

(大強度パルス軽イオンビームの高輝度化とビーム・ターゲット相互作用)

氏名 江 偉華
学位の種類 工学博士
学位記番号 博甲第44号
学位授与の日付 平成3年3月25日
学位論文題目 Generation of Intense Pulsed Light-Ion Beam and Its Interaction with Targets(大強度パルス軽イオンビームの高輝度化とビーム・ターゲット相互作用)
論文審査委員
 主査 教授 八井 浄
 副査 教授 伊藤 猷顯
 副査 教授 作田 共平
 副査 助教授 升方 勝己
 副査 教授 一ノ瀬 幸雄
 副査 東京工業大学 名誉教授 丹生 慶四郎

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Contents
Abstract
Chapter 1 introduction p.1
Chapter 2 Analysis of Applied-B Ion-Beam Diode Behavior p.5
2.1 Concept of Magnetical Insulation p.5
2.2 One-Dimensional Self-Consistent Laminar Flow Model p.7
2.3 Experimental Problems and Recent Theories p.13
2.4 Behavior of Ion Diode in Response to Accumulation of Electrons in the Gap p.15
2.5 Discussions with Applied-B Ion Diode p.21
Chapter 3 Optimization of "Plasma Focus Diode" p.23
3.1 "Plasma Focus Diode" p.23
3.2 Typical Experimental Results of PFD p.25
3.3 Analytical Calculations with Laminer Flow Model p.27
3.4 Analytical Calculations with Non-Laminar Flow Model p.33
3.5 Optimization of PFD Behavior p.39
3.6 Experimental Results of Tapered PFD p.44
Chapter 4 Ion Beam-Target Interaction PFD p.48
4.1 Ion Energy Loss in Target p.48
4.2 Experimental Arrangement and Diagnostics p.49
4.3 Experimental Results p.52
Chapter 5 Simulation of Proton Energy Loss in Aluminium Target
5.1 Temperature Effect of Proton Energy Deposition p.55
5.2 One-Dimensional Hydrodynamic Model p.59
5.3 Simulation Results p.60
Chapter 6 Conclusions and Discussions p.63
Acknowledgements p.67
References p.68
Publication List p.73

 大強度パルス軽イオンビームは、慣性核融合のエネルギードライバーの有望な候補と考えられている。大強度イオンビームの発生には、イオンビームダイオードのインピーダンスの制御及びダイオード動作の安定性について種々の問題点があり、ダイオード動作過程について解明することが必要である。一方、ターゲットの爆縮過程の評価には、イオンのエネルギー付与機構、特にイオンビームと高温ターゲットの相互作用におけるターゲットの電離によるイオンエネルギー損失の増大について詳細に理解することが非常に重要である。本論文は、以上の問題点の解決を目的として、イオンビームの大電力化及びイオンビーム・ターゲット相互作用について研究を行ったもので、以下の6章から構成される。
 第1章では、大強度パルス軽イオンビーム慣性核融合の概念を示すと共に、これを実現するために必要な課題と問題点を述べ、本論文の目的と意義を明確化している。
 第2章では、イオンビームダイオードの磁気絶縁原理を説明し、一次元ラミナー流モデルを用いて外部磁場絶縁イオンビームダイオードにおけるギャップ中の電子数に対するダイオード状態の変化を調べた。解析計算の結果、虚陰極の移動を示す一方、従来一定と考えられてきた有効ギャップ間の磁束が変化することを初めて提唱した。磁束の変化は、イオン電流の増大、及び電子の陽極への接近等の実験事実を説明するのに有効である。
 第3章では、同軸円筒型自己磁場絶縁"プラズマ・フォーカス・ダイオード"(PlasmaFocus Diode, PFD)の最適化について述べている。PFDの動作を理解するために解析計算を行い、ラミナー流及び非ラミナー流モデルを用いたPFDの内部状態の解析結果の比較を行っている。非ラミナー流モデルを用いた計算結果が実験値と良く一致することから、PFDの内部電子流は非ラミナー流であることを示している。又、内部電子層を安定させるために、電子層の表面で電子の瞬時速度の向きが軸方向になる必要があることが判明し、これらの知見に基づいてPFDをtapering電極を用いた形状に改良する事を提案している。更に、改良したPFDを用いて実験を行い、形状の改良がダイオード動作の安定化及びイオン電力密度の向上に有効である事を実証している。
 第4章では、高収束型PFDを用いて、プロトンのアルミニウムターゲット中でのエネルギー損失に関する実験結果について述べている。高温ターゲットのイオンに対する阻止能の変化を調べるために、~0.1TW/cm2のイオンビームを用いてターゲットフォイルに照射し、これを通過するプロトンのエネルギー損失を時間分解型トムソン・パラボラ・イオンエネルギー分析器を用いて計測した結果を示している。7μmアルミニウムフォイルをターゲトとして用いた場合、プロトンのエネルギー損失が常温ターゲット中での損失より増大すること、及びその増大率が時間的に上昇し、最大値~1.5に達することを示している。
 第5章では、第4章で示した実験結果を理解するために、イオンビーム・ターゲット相互作用シミュレーションを行い、実験結果と比較している。プロトンのエネルギー損失機構として、束縛電子と自由電子の阻止能を考慮した。ターゲットの状態は一次元流対力学モデルによって定め、各エネルギーレベルの電子数はSaha方程式で計算した。又、ターゲット中の熱伝導と放射を考慮した。ダイオード電圧及びイオン電流の時間変化は、実験波形を用いた。イオン電流が立ち上がってから40nsの間に対するシミュレーションの結果、プロトンエネルギー損失の時間変化の計算値が実験値とよく一致することが判明し、プロトンのターゲットへのエネルギー付与が束縛電子と自由電子の阻止能を考慮することによって説明できることを示している。更に、エネルギー付与のターゲット温度や密度に対する依存性を示し、エネルギー付与機構におけるプラズマ効果について考察している。
 第6章では、以上各章の成果を要約し、本論文の結論としている。

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