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差動方式光強度変換型変位計の作動特性評価

氏名 菅沼 富久生
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博甲第222号
学位授与の日付 平成13年3月26日
学位論文題目 差動方式光強度変換型変位計の作動特性評価
論文審査委員
 主査 教授 田中 紘一
 副査 教授 秋山 伸幸
 副査 教授 久曽神 煌
 副査 教授 柳 和久
 副査 助教授 明田川 正人

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目次

1 緒論 p.1
1.1 はじめに p.1
1.2 光ファイバ変位計の歴史 p.4
1.3 各章の概要 p.7

2 差動方式光ファイバ変位計の作動特性 p.17
2.1 はじめに p.18
2.2 差動方式光ファイバ変位計の原理 p.19
2.3 実験装置 p.26
2.4 結果と考察 p.29
2.4.1 変位計の感度 p.29
2.4.2 測定対象物の影響 p.31
2.4.3 変位計の雑音レベル p.33
2.4.4 変位計の安定性 p.35
2.5 まとめ p.36

3 ガラス表面を測定対象とした変位測定 p.39
3.1 はじめに p.40
3.2 原理 p.41
3.3 実験方法 p.46
3.4 結果と考察 p.47
3.5 まとめ p.48

4 多層化した板ガラスを用いた差動方式光強度変換型変位計 p.51
4.1 はじめに p.52
4.2 検出原理 p.52
4.3 実験装置 p.58
4.4 結果と考察 p.60
4.4.1 基本特性 p.60
4.4.2 測定対象物の影響 p.61
4.5 まとめ p.63

5 差動方式光強度変換型変位計による表面形状計測 p.69
5.1 はじめに p.70
5.2 動作原理 p.73
5.3 実験方法 p.78
5.4 結果と考察 p.78
5.4.1 板ガラス方式変位計による段差測定 p.78
5.4.2 光ファイバ方式変位計による段差測定 p.79
5.5 ガラス引っかき試験機への応用 p.79
5.6 まとめ p.83

6 結論 p.91

 非接触で微小な変位を計測することへの要求は常に高いものであり, 様々な方式とアプローチが探求されてきた. 本研究では光ファイバ変位計の導波路の構成を改めることによって測定対象物の反射率変化による感度誤差の影響を除去し, 作動距離の拡張が可能な差動方式光強度変換型変位計を試作し, その動作確認を行うとともに理論的な解析を行った.
 第1章では本研究の背景となる強度変換型光ファイバ変位計を含む非接触微小変位計測器の原理・特徴を述べ, 光ファイバを用いた変位計の開発経緯や変遷について簡単に触れ, 今日まで得られている結果を通して本研究の目的を明らかにした.
 第2章では低価格で耐久性に優れ, 他の測定装置への組込みが容易な光ファイバを導波路として用い, 光ファイバ束の中央に位置する照射部とそれを環状に二重に取り囲む受光部で構成したプローブからなる新方式の光ファイバ変位計の動作原理を示し, 幾何光学的な解析と実験による特性評価を行った. 本変位計の特性を解析した結果, 照射部中央から各受光部境界までの距離の増加に伴い作動範囲は拡張し, 無次元感度は1に収束することを明らかにした. 変位計を試作して実験した結果, 従来方式に比べ測定範囲は2倍, 作動距離は4倍, 感度は2倍にそれぞれ向上し,反射率の異なる3種の測定対象物で測定した結果,出力は反射率に依存しないことを明らかにした. さらに光源にスーパールミネッセントダイオードを用いることにより, B=10kHzの広帯域で0.006nm/√Hzの雑音レベルと, 2nm/℃の高い安定性を達成した.
 第3章では差動方式光ファイバ変位計による透明ガラス表面を対象とした変位測定について調べた. 透明な測定対象に対する差動方式光ファイバ変位計の挙動を幾何光学解析した結果測定対象物表面からの反射光のみを検出するために必要なプローブ構成と測定対象物の板厚の関係を明らかにし, 表面検出に必要な最小板厚は, 測定対象物内の屈折角と照射部中央から受光部境界までの距離に依存することを明らかにした. 本装置を用いて実験を行った結果, 解析で予測したように薄板透明ガラスの表面検出が可能であることを明らかにした.
 第4章では導波路に3枚の薄板ガラスを用いることにより小型・軽量化が可能な非接触小型光学式変位計を試作し, その動作確認を行った. 本変位計の特性を幾何光学解析した結果, 光ファイバ方式に比べ作動距離の拡張と直線性の向上が可能であり, これらはそれぞれ照射部中心から各受光部境界までの距離と光源の入射スポットに依存することを明らかにした. 厚さ0.5mmの薄板ガラスを導波路に用いて実験した結果, 光ファイバ方式に比べ感度の低下が見られたが, 薄板ガラスの厚さを光ファイバの直径と同程度にすることができれば, 作動範囲は2倍に拡張し, 差動方式光ファイバ変位計と比較可能な感度にまで向上することを示した.
 第5章では第2章および第4章で試作した各変位計による表面形状測定について検討するために, 段差表面に対する板ガラス方式変位計の特性を幾何光学的に解析して,実験結果との比較・検討を行った.段差測定における出力の変動は段差側面反射の影響によるものであることを明らかにし, その量は段差量, 導波路端面と測定対象物間の距離および段差の向きに依存することを示した. 導波路に光ファイバを用いた差動方式光強度変換型変位計についても同様な実験を行った結果, 板ガラス方式変位計の場合と同一の結果が得られ, 段差表面上の変位計測における出力変動の内容が明らかとなった. また本装置をガラス引っかき試験機に応用して圧子と試料間の相対距離を測定することにより, 試料の傾きやコンプライアンスの影響を除去できることを示した.
 第6章では本研究で得られた結果について要約を記述し, 総括とした.

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