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ファジィ推論を用いた有限要素自動メッシュ生成法

氏名 杉田 尚男
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博乙第165号
学位授与の日付 平成13年3月26日
学位論文の題目 ファジィ推論を用いた有限要素自動メッシュ生成法
論文審査委員
 主査 教授 鳥居 邦夫
 副査 助教授 宮木 康幸
 副査 教授 林 正
 副査 教授 丸山 暉彦
 副査 教授 小林 昇治

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目次

1 序文 p.1

2 自動要素分割の種類 p.4
(1) 自動要素分割の種類 p.4
(a) ブロック分割法 p.4
(b) 四分木法・八分木法 p.5
(c) アドバンシングフロント法 p.6
(d) Delaunay 三角分割法 p.7

3 Voronoi 理論 p.10
(1) Voronoi 理論の概略 p.10
(2) 最大空円問題 p.12
(a) 最大空円問題の概念 p.12
(b) 最大空円とVoronoi 図 p.12

4 初期要素生成 p.16
(1) 入力データ p.16
(2) 母点配置 p.17
(a) 仮想母点による格子状配置 p.17
(b) 境界近似 p.22
(c) 平滑化 p.23
(3) 節点生成 p.24
(4) 要素生成 p.28

5 高速要素生成 p.34
(1) 高速要素生成 p.34
(a) 入力データ p.34
(2) 初期モデル作成 p.34
(a) データ入力 p.34
(a) データ形式 p.35
(3) メッシュ空間生成 p.37
(a) 母点、節点配置 p.37
(b) 要素生成 p.37
(4) 合成処理 p.41
(a) 内外判定 p.41
(b) 頂点移動 p.43
(c) 辺移動 p.43
(d) 面移動 p.43
(e) 不要点消去 p.47

6 ファジィ推論による応力集中部の特定 p.54
(1) はじめに p.54
(2) 領域間応力勾配 p.56
(3) 領域内応力勾配 p.59
(4) ファジィ推論 p.61
(a) MAX-MIN 合成重心法 p.61
(b) 領域間応力勾配メンバーシップ関数 p.66
(c) 領域内応力勾配メンバーシップ関数 p.66
(d) 結果出力メンバーシップ関数 p.67

7 要素再分割 p.69
(1) はじめに p.69
(2) ファジィパターン母点配置 p.70
(3) 格子パターン母点配置 p.70
(4) 母点の重ね合わせ p.72

8 適用例 p.74
(1) 解析モデルの詳細 p.74
(2) 初期要素配置 p.76
(3) ファジィ推論結果 p.77
(4) 最適要素配置 p.78
(5) 応力集中係数の検討 p.81

9 複数集中部における要素再分割 p.82
(1) 応力集中部と準応力集中部 p.82
(a) 円孔近傍における応力分布 p.82
(b) 準応力集中部とは p.83
(c) ファジィ推論結果と応力集中部との関係 p.84
(2) メンバーシップ関数の制御 p.84
(a) 最適メンバーシップ関数 p.84
(b) 基準メンバーシップ値と応力集中影響内メンバーシップ関数 p.85
(3) 応力集中影響内母点配置 p.86
(a) 境界上母点配置 p.86
(b) メンバーシップ値での重ね合わせの原理 p.87
(4) 応力集中影響外母点配置 p.87
(a) 段階的母点配置法 p.88

10 複数集中部における要素再分割適用例 p.97
(1) 解析モデルの詳細 p.97
(2) 要素配置 p.99
(3) ファジィ推論結果 p.99
(4) 応力集中係数の検討 p.104

11 三次元体における要素再分割適用例 p.105
(1) 解析モデルの詳細 p.105

12 結論 p.110

謝辞 p.113

参考文献 p.114

 近年のコンピュータの飛躍的な性能の向上によって、有限要素法における解析モデルは大型化・複雑化してきている。そのため、解析のポストプロセッサ部による計算時間よりも、解析の入力データの準備に多大な時間を費やすことになる。それらに対処するために様々な自動メッシュ分割法が提案されているが、要素数、要素形状、連続的な要素配置などにおいて、必ずしも最適化されたとは言い難い。特に応力集中部分に関する要素分割においては、未だ解析者の判断にゆだねる部分が多く、信頼性の低下を引き起こすことがある。
 本学位論文は、従来の応力集中部への要素分割に解析者の経験的な判断によって信頼性の優劣が生じることに着目し、その判断のプロセスをファジィ理論を用いて論理的に表現した。そしてファジィ理論による評価と従来の自動メッシュ生成法とを組み合わせることにより、応力集中部分に対して有効な要素分割法を確立した。その手法は、Voronoi 理論により初期要素生成を行い、FEM解析結果から応力勾配を算出し、その応力勾配を利用してファジィ推論による応力集中部の特定を行った後、要素の再分割を行うという4段階より成り、解析対象の応力集中部分の評価とともに初期の段階での最適な要素分割を可能とするものである。これは、解析者が対象物の格子状の要素配置を行い、FEM解析を行った後、応力分布状態を確認しながら応力集中部の判定を行い、理論的知識や過去の経験などから持っている要素分割イメージを解析対象に当てはめるというプロセスを表している。
 本論文の構成は、第1章から第5章までを第1部(基本理論)、第6章から第12章までを第2部(応用)とした。前半部は、従来のメッシュ生成法の基礎に重みを置き、後半部はファジィ推論によるメッシュ生成法への応用法に力点を置いた。
 本論文の第1章では、メッシュ生成法の発展に関する背景とその有用性および妥当性について述べる。
 第2章では、主な自動メッシュ生成法を示す。自動メッシュ生成法には、半自動メッシュ生成法と完全自動メッシュ生成法の2手法に分類することができる。現在、多用されている完全自動メッシュ生成法の背景とその有用性について述べる。
 第3章では、対象領域を要素形状のよい規則的なメッシュ生成を行うために Voronoi 理論を用いたメッシュ生成を示す。Voronoi 理論の特性により節点情報を容易に把握できるため事後処理におけるアルゴリズムの簡略化が可能であるが、その一方で数値誤差や節点グループの定義順により同一の外接円上に4つ以上の点が存在する Degeneracy 現象を引き起こす可能性がある。それらに対処するために最大空円理論を用いた生成法も示す。
 第4章では、対象領域におけるメッシュ生成、特に任意形状における要素生成法について述べる。
 第5章では、境界近似と平滑化を考慮しながら、高速メッシュ生成を行うモデリング手法について述べる。
 第6章では、FEM解析後応力勾配を算出し、MAX-MIN 合成重心法を用いたファジィ推論から応力集中部を特定する手法について述べる。応力勾配の算出については、過少評価を避けるためにVoronoi 理論により定義した2つの領域間よりなる応力勾配算出法を用いた。
 第7章では、応力集中部推論からのメッシュ再配置法について述べる。
 第8章では、ファジィ推論結果を用いた最適要素配置を示す。
 第9章では、多数の応力集中部が存在した場合の推論法とメッシュの再配置法について述べる。
 第10章では、多数の応力集中部が存在した場合の最適要素配置を示す。
 本研究で得られた研究結果の総括を第11章にまとめた。

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