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定荷重送り機構研削盤によるセラミックスの高能率、低欠陥加工と加工特性

(Reduction of Machining defects and Grinding Properties in Ceramic Materials by Regulated Force Feeding Grinding System)

氏名 金 賢眞
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博甲第331号
学位授与の日付 平成17年3月25日
学位論文題目 定荷重送り機構研削盤によるセラミックスの高能率、低欠陥加工と加工特性 (Reduction of Machining defects and Grinding Properties in Ceramic Materials by Regulated Force Feeding Grinding System)
論文審査委員
 主査 教授 石崎 幸三
 副査 教授 齋藤 秀俊
 副査 教授 鎌土 重晴
 副査 助教授 田辺 郁男
 副査 助教授 南口 誠

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概要 p.i
論文目録 p.iii

第1章 緒論-研究の背景とその目的 p.1
 1-1 研究の背景 p.1
 1-2 研削砥石及び研削加工の歴史 p.1
 1-3 セラミックスの研削加工の必要性 p.3
 1-4 本研究の目的と研究計画 p.4

第2章 定荷重送り研削盤の開発 p.7
 2-1 はじめに p.7
 2-2 定荷重送り機構研削盤の作製 p.8
 2-2-1 砥石の形状改良 p.10
 2-2-2 チャックの改良 p.12
 2-2-3 リニアスライダーの問題点とエアースライダーの開発 p.14
 2-2-4 研削液の方向による被研削材表面状態変化 p.16
 2-2-5 切り込み方向の決定 p.18
 2-3 超平坦加工が可能な加工原理 p.21
 2-4 まとめ p.21

第3章 定荷重送り機構研削盤によるセラミックスの研削特性評価 p.23
 3-1 はじめに p.23
 3-2 実験方法 p.24
 3-3 アルミナ、シリコンウェハーの研削加工結果 p.25
 3-3-1 テーブル送り機構(加工方法)の変化による研削力とテーブル送り速さの変化 p.27
 3-3-2 被研削材の違いによる研削力とテーブル送り速さの変化 p.29
 3-3-3 切り込み深さ変化による砥石の磨耗量変化 p.29
 3-3-4 SEM、レーザー顕微鏡による研削表面観察 p.34
 3-4 比研削エネルギー変化 p.39
 3-4-1 研削加工方法の違いによる比研削エネルギーの変化 p.40
 3-4-2 材料の物質特性の違いによる比研削エネルギーの変化 p.40
 3-5 まとめ p.43

第4章 定荷重送り機構研削盤によるセラミックスの加工損傷評価と定欠陥研削加工技術の確立 p.45
 4-1 はじめに p.45
 4-2 破壊強度の変化による加工損傷の推定 p.46
 4-2-1 切り込み深さの変化による破壊強度変化 p.48
 4-2-2 ワイブル係数による加工損傷の推定 p.50
 4-3 顕微鏡による加工欠陥の大きさ評価 p.53
 4-4 まとめ p.57

第5章 結論 p.58
 5-1 本研究で得られた結論 p.58
 5-2 今後の研究指標と本研究内容の利用方法 p.61

参考文献 p.62

本研究に関する公表論文と研究活動 p.71

謝辞 p.74

セラミックスの需要拡大を図るため、研削加工での課題は加工寸法を一定にする高精度加工、生産性を向上する高能率加工、加工コストを低減する低コスト加工であり、ここに加えて最も重要な事は加工欠陥を減らす加工、すなわち、低欠陥加工を同時に実現できる技術の開発が要求されている。そこで、本研究では研削加工の環境によって研削テーブルの送り速さが変化する定荷重送り機構研削盤(Regulate Force Feeding Grinding System)を開発し、今までの研削加工の問題点であった研削加工表面の加工損傷を最小化する研削加工技術の確立を目指すと共に多様な材料の研削最適化パラメーターの確定方法を提案する。
加工欠陥を減少させるために、平面研削盤の研削テーブルの送り機構を従来の定速送り機構から定荷重送り機構とした研削盤を開発した。RFFには、新たな高能率砥石、多孔質セラミックス製真空チャック、低摩擦エアー浮上スライダーを作製し加えた。この研削テーブルは低摩擦エアー浮上スライダーを用いてテーブルの移動時発生する摩擦を最小化した。このようなテーブル送り機構は砥石表面状態の変化、切り込み深さの変化や研削抵抗の変化により、研削テーブルの送り速さが自動的に制御される。また、より効率的な加工をするため、研削液(冷却水)を砥石の外側及び内側で噴射しながら研削し、研削加工時削り出された切りくずを外・内側の冷却水が除去し、切りくずによる被研削材表面の損傷をなくした。さらに、切り込みをインフィード・アウトフィードの両方向共に行うことで研削力が安定し、削時間も1/2に短縮した。
開発したRFFによる研削特性を被研削材として半導体の基盤に最も多く使用されているシリコンウェハーと代表的なファインセラミックスであるアルミナ焼結体を用いて検討した。RFFを利用したシリコンウェハーの研削では、切り込み深さの増加に対し切り込み30μmまでは研削抵抗か増加したが切り込み深さがさらに増加すると研削抵抗は減少した。また、アルミナ焼結体の研削では、研削抵抗は切り込み深さの増加に対し研削抵抗も続けて増加した。被研削材の最大表面粗さは、テーブル送り機構や切り込み深さが変化しても一定の値を示した。比研削エネルギーは、RFF加工の場合、切り込み深さが10μm/pass以上の領域で一定になってシリコンウェハーの場合約7 GJ/m3を示し、アルミナ焼結体は約17 GJ/m3を示した。切り込み深さが増加すると加工抵抗が増加するが、送り速さが低下し、比研削エネルギーが一定になった。一方、定速さ送り機構研削加工の場合は切り込み深さが増加するとテーブルの送り早さが一定のため被研削材を除去する力だけではなく、無駄な力が加わり研削力が急増加するため比研削エネルギーも増加する。RFF加工では0.5 mmの厚みを持っていたシリコンウェハーや1 mmの厚みのアルミナ焼結体を40μmまで研削することが可能であり、研削加工時間は切り込み深さが1 μ/passの場合でも加工時間はアルミナ焼結体の場合約50 minであり非常に短時間で加工することが可能となった。
被研削材の加工損傷を曲げ強度の変化から推定し、ワイブル係数を利用し加工損傷の原因を推定した。また、研削面や破断面の欠陥を直接観察し、欠陥の大きさを観察した。定速さ送り機構研削盤で加工した試験片の曲げ強度は切り込み深さが増加すると共に低下する傾向を示したが、RFFを用いた加工試験片では切り込み深さが増加しても一定な値を示した。定速さ送り機構研削加工は、切り込み深さが30 μm/passの場合、切り込み1 μm/passの場合に比べ平均約10 %の強度低下が発生した。また、破壊確率分布の結果からRFFで加工した試験片は強度の低い値(約295 MPa)から高い値(約350 MPa)までの広い領域で分布してウェイブル係数は切り込み1μm/passとほぼ同じ値を示し、RFFの場合は、破壊源は加工による欠陥ではなく研削前の潜在的欠陥の影響による破壊であると考えられる。一方、定速さ送り機構研削盤で加工した試験片は曲げ強度値は前半的に定荷重送り機構研削盤で加工した試験片の強度値より低い値(約295 MPa以下)かつ、大きなウェイブル係数を示し、加工時に導入された加工損傷が主な破壊源と考えられる。研削面や破断面の欠陥を直接観察した結果、RFF加工サンプルの欠陥の大きさは50μm以下であり、定速さ送り機構研削盤による欠陥の約200μmに比べ非常に小さい。
以上の結論を総括すると、定荷重送り機構研削盤は切り込み深さの変化にともないテーブル送り速度が変化され、研削抵抗を制御し、比研削エネルギーが一定になった。これは研削加工にかかる研削エネルギーの変化がない状態で研削を行う事を示した。この研削加工により520μmの単結晶シリコンウエハーや1mmのアルミナ焼結体を厚さ40μmまで研削加工だけで超平坦、薄膜加工することが可能であった。しかもこの研削加工は1μm/passの場合でも50分で加工することが可能であった。アルミナ焼結体の曲げ試験により定荷重送り機構研削盤による研削加工は被研削材に無駄な加工損傷が非常に少ないことを明らかにした。また、研削面や断面のプロファイルは研削加工における欠陥が非常に少ない状態であった。この研削加工の開発によって、上記に記載したセラミックスの高精度、高能率、低コスト及び低欠陥加工を同時に実現することが可能になった。

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