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アスファルト舗装の路面特性とタイヤ/路面騒音の関係に関する研究

氏名 井原 務
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博乙第230号
学位授与の日付 平成17年3月25日
学位論文題目 アスファルト舗装の路面特性とタイヤ/路面騒音の関係に関する研究
論文審査委員
 主査 教授 丸山 暉彦
 副査 教授 鳥居 邦夫
 副査 助教授 宮木 康幸
 副査 助教授 下村 匠
 副査 中央大学 理工学部教授 姫野 賢治

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目次

第1章 序論
 1.1 研究の背景 p.1
 1.2 研究の目的 p.4
 1.3 本論文の構成 p.5
 参考文献 p.6

第2章 アスファルト舗装の騒音に関する既往の技術
 2.1 総説 p.7
 2.2 道路交通騒音とタイヤ/路面騒音 p.10
 2.2.1 道路交通騒音の現状 p.10
 2.2.2 道路交通騒音に関する測定および予測の現状 p.11
 2.2.3 舗装路面の騒音特性評価のための測定方法 p.12
 2.3 低騒音舗装の位置づけ p.16
 2.3.1 自動車騒音の発生要因 p.16
 2.3.2 低騒音の舗装種 p.18
 2.4 既往の低騒音化技術 p.20
 2.4.1 排水性舗装の開発当初の低騒音化技術 p.20
 2.4.2 騒音低減に及ぼす要因 p.23
 2.5 まとめ p.25
 参考文献 p.26

第3章 表層の空隙特性とタイヤ/路面騒音の関係
 3.1 総説 p.30
 3.2 試験舗装の概要と測定結果 p.31
 3.2.1 試験舗装の概要 p.31
 (1) 舗装の種類 p.31
 (2) 測定方法 p.31
 3.2.2 測定結果 p.32
 3.3 空隙特性とタイヤ/路面騒音の関係 p.33
 3.3.1 試験舗装における空隙率および空隙量とタイヤ/路面騒音の関係 p.33
 3.3.2 アスファルト舗装における空隙率および空隙量とタイヤ/路面騒音の関係 p.34
 3.4 まとめ p.39
 参考文献 p.40

第4章 路面テクスチャの測定方法の開発とタイヤ/路面騒音の測定装置
 4.1 総説 p.41
 4.2 路面テクスチャの測定方法 p.44
 4.2.1 測定方法の開発 p.44
 (1) 特殊パテによる路面凹凸の型取り p.44
 (2) 路面凹凸の測定装置 p.45
 4.2.2 テクスチャの評価方法 p.46
 (1) 測定データのトレンド処理 p.46
 (2) 路面の凹凸波形 p.48
 (3) 路面テクスチャの評価方法 p.49
 (4) 路面テクスチャ評価のための測定データ数 p.51
 4.3 タイヤ/路面騒音の測定装置 p.54
 4.3.1 路面騒音測定車 p.54
 4.3.2 タイヤ/路面騒音の測定装置の導入 p.55
 (1) 新規測定車 p.55
 (2) 測定用タイヤの選定 p.57
 4.4 まとめ p.60
 参考文献 p.61

第5章 路面テクスチャとタイヤ/路面騒音の関係
 5.1 総説 p.62
 5.2 排水性舗装の路面テクスチャとタイヤ/路面騒音の関係 p.63
 5.2.1 従来の評価値とタイヤ/路面騒音の関係 p.63
 5.2.2 累計延長比RALdとタイヤ/路面騒音の関係 p.64
 5.2.3 測定車の違いにおける路面テクスチャとタイヤ/路面騒音の関係 p.65
 5.2.4 試験舗装における路面テクスチャとタイヤ/路面騒音の関係 p.66
 5.3 密粒度アスファルト舗装の路面テクスチャとタイヤ/路面騒音の関係 p.69
 5.4 まとめ p.72
 参考文献 p.73

第6章 タイヤ/路面騒音とパワースペクトル密度PSDの関係
 6.1 総説 p.74
 6.2 路面の凹凸波形のパワースペクトル密度PSD p.75
 6.2.1 排水性舗装のパワースペクトル密度PSD p.75
 6.2.2 密粒度アスファルト舗装のパワースペクトル密度PSD p.76
 6.3 タイヤ/路面騒音の周波数分析 p.78
 6.4 PSDと音圧レベルの関係 p.79
 6.5 まとめ p.82
 参考文献 p.83

第7章 タイヤ/路面騒音と複合特性値との関係
 7.1 総説 p.84
 7.2 排水性舗装における特殊タイヤのタイヤ/路面騒音と複合特性値との関係 p.86
 7.2.1 測定データの概要 p.86
 7.2.2 空隙量および累計延長比RAL2とタイヤ/路面騒音の関係 p.87
 (1) 単回帰分析の結果 p.87
 (2) 空隙率と累計延長比RAL2の独立した変数の検討 p.87
 7.2.3 特殊タイヤのタイヤ/路面騒音と複合特性値との関係 p.89
 7.3 アスファルト舗装における一般タイヤのタイヤ/路面騒音と複合特性値との関係 p.90
 7.3.1 測定データの概要 p.90
 7.3.2 空隙量および累計延長比RAL2とタイヤ/路面騒音の関係 p.91
 7.3.3 一般タイヤのタイヤ/路面騒音と複合特性値との関係 p.92
 7.4 まとめ p.95
 参考文献 p.96

第8章 路面テクスチャの室内での設計
 8.1 総説 p.97
 8.2 累計延長比RAL2の室内での関係 p.98
 8.3 PSDにおける室内での関係 p.100
 8.4 設計事例 p.101
 8.5 まとめ p.103
 参考文献 p.104

第9章 結論 p.105
 謝辞 p.107

 用語一覧

 社会基盤の整備では,良好な生活環境の保全・創造が求められている.道路整備においても環境にかかわる問題が顕在化してきており,取り組むべき重要な課題となっている.
 舗装においては,平成10年度以降の舗装工事の一部には,性能規定への移行に併せ,騒音に関する性能規定工事が発注され,低騒音舗装として実績のある排水性舗装が適用されている.また,その更なる低騒音化には,粗骨材の小粒径化,2層式排水性舗装等が効果的であることが明らかにされてきている.しかし,低騒音化に関する路面テクスチャとの関係の検討が,また,タイヤ/路面騒音に影響を及ぼす空隙率や層厚も影響することは周知であるものの,表層の設計等に活かせるような複合的な特性との関係の検討が少ない現状にある.
 そこで,本研究は,道路のアスファルト舗装について,これまでに自動車走行騒音に影響するとされている空隙率と層厚も考慮した空隙量の空隙特性に関して,タイヤ/路面騒音との関係を確認し,新たな路面凹凸の測定方法やその評価指標も含めた路面テクスチャとその騒音との関係を検討し,タイヤ/路面騒音の予測方法の構築を目的とした.
 本研究では,まず空隙特性の空隙量はタイヤ/路面騒音を検討するにあたっての有効な特性値であることを示し,次に,路面テクスチャに関して,その騒音に影響を及ぼすとされる表層混合物の骨材の並び方を定量的に評価する累計延長比の測定方法と評価方法を開発し,タイヤ/路面騒音と路面テクスチャの関係から累計延長比の適用性を検討した.また,アスファルト舗装の騒音特性や排水性舗装の更なる低騒音化の開発や設計時の検討のためのタイヤ/路面騒音の予測式を空隙量と累計延長比による重回帰式から検討した.
 本研究は,第1章から第9章で構成される.以下に,各章の概要と得られた主な知見を述べる.
 第1章では,研究の背景として,環境,道路交通および自動車の騒音対策の変遷と現状を概括して示し,それから道路交通騒音の低減効果のある排水性舗装を中心としたアスファルト舗装の騒音特性の解明において,現在かかえている各種の課題を述べ,本研究の目的を明確にしている.
 第2章では,道路交通騒音に関連する測定・予測技術とこれまでの舗装の低騒音化技術について整理し,排水性舗装の低騒音化に関して,空隙に関した複合的な指標や路面テクスチャとの関係が把握されていないことを明らかにし,本研究の課題を示した.
 第3章では,排水性舗装の空隙率と層厚を考慮した空隙量とタイヤ/路面騒音の関係について試験舗装の測定データから検討した.その結果,空隙量はその騒音特性の検討にあたっての有効な特性値であること,また,その結果に密粒度アスファルト舗装等を含めても空隙特性とタイヤ/路面騒音とは相関性が認められることを明らかにした.
 第4章では,路面テクスチャの測定方法の開発とタイヤ/路面騒音の測定車の導入に関する検討を行った.その結果,特殊パテによる路面の型取りから路面凹凸がある程度再現できるが,フィルタ処理が必要であることを示した.また,タイヤ/路面騒音に影響する排水性舗装の骨材の並び方を定量的に評価する累計延長比を考案した.
 第5章では,路面テクスチャの評価値とタイヤ/路面騒音の関係について検討した結果,排水性舗装では,路面の凹凸波形での凹凸量2mmにおける累計延長比RAL2とタイヤ/路面騒音に相関性があり,その騒音の検討にあたって,その累計延長比は有効な特性値であることを明らかにした.
 第6章では,路面のプロファイルの評価に用いられているパワースペクトル密度(PSD)に着目して,それとタイヤ/路面騒音との関係について検討した.路面凹凸量の波形から解析されるPSDは,同一の混合物種間でのタイヤ/路面騒音に関する路面テクスチャの一評価指標になることを明らかにした.
 第7章では,タイヤ/路面騒音を目的変数に,空隙量と累計延長比RAL2を説明変数にして重回帰分析した.それらの回帰式および説明変数は,タイヤ/路面騒音の予測に有効であることをF検定およびt検定により明らかにした.また,これらの回帰式から計画段階でのタイヤ/路面騒音に対する事前の設計検討が可能になる方法を提示した.
 第8章では,排水性混合物の骨材選定も考慮した室内試験でのテクスチャと実路の路面テクスチャとの関係を検討した.累計延長比RAL2は砕石の選定やタイヤ/路面騒音の目標値に対する確認の指標となることを明らかにした.また,排水性舗装の低騒音化を目的として,室内試験レベルでの凹凸量の測定した波形からPSDによる検討も可能である.
 第9章では,本研究の結論を述べている.
 以上,空隙率と層厚の積から計算される空隙量と路面テクスチャの累計延長比RAL2は,タイヤ/路面騒音に関して有効な特性値であることを,その空隙量と累計延長比による重回帰式は,タイヤ/路面騒音の予測に有効であることを明らかにすることができた.

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