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港湾荷役運搬システムの多目的最適化設計法に関する研究

氏名 金 淳
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博甲第199号
学位授与の日付 平成12年3月24日
学位論文の題目 港湾荷役運搬システムの多目的最適化設計法に関する研究
論文審査委員
 主査 教授 伊藤 廣
 副査 教授 長谷川 光彦
 副査 教授 大里 有生
 副査 教授 中村 和男
 副査 助教授 阿部 雅二朗

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記号 p.1

1.緒論 p.5
 1.1 はじめに p.5
 1.2 港湾における荷役運搬システム p.6
 1.3 港湾における荷役運搬システムに関する従来の研究 p.8
 1.4 港湾における荷役運搬システムに関する研究課題 p.11
 1.5 本研究の位置付け及び目的 p.12
 1.6 本論文の構成 p.14

2.理論解析システム p.17
 2.1 緒言 p.17
 2.2 理論解析の論理構造 p.17
 2.3 コンテナ荷役運搬システムの作業 p.18
 2.4 インテリジェント荷役作業システムのモデリング p.24
 2.5 ファジィ理論の港湾荷役運搬システムへの応用 p.29
 2.6 ニューラルネットワークの港湾荷役運搬システムへの応用 p.30
 2.7 遺伝的アルゴリズムによる荷役作業スケジューリング p.37
 2.8 荷役運搬システム能力と規模の多目的最適化アルゴリズム p.40
 2.9 動的計画法による荷役運搬システムの最適拡張計画 p.49
 2.10 結言 p.53

3.コンテナバースにおける本船作業解析 p.57
 3.1 緒言 p.57
 3.2 荷役運搬作業システムの状態評価指標 p.57
 3.3 ファジィ・ニューラルネットワークによる作業ルールの制御 p.58
 3.4 本船作業計画とフレキシブル本船作業の流れ p.60
 3.5 事例解析による妥当性検証 p.63
 3.6 結言 p.70

4.コンテナヤードにおける荷役作業解析 p.71
 4.1 緒言 p.71
 4.2 解析条件の設定 p.71
 4.3 コンテナ蔵置状態の評価指標 p.75
 4.4 コンテナ蔵置量の予測 p.75
 4.5 コンテナ積段数の調節 p.76
 4.6 最適化作業スケージュリング p.79
 4.7 解析結果及び考 p.80
 4.8 結言 p.86

5.ばら物ふ頭における荷役運搬システムのモデリング p.87
 5.1 緒言 p.87
 5.2 荷役運搬システムのモデル p.87
 5.3 荷役運搬システムの多目的評価指標 p.90
 5.4 結言 p.92

6.荷役運搬システムの最適化設計 p.93
 6.1 緒言 p.93
 6.2 ばら物ふ頭 p.93
 6.3 コンテナターミナル p.103
 6.4 結言 p.110

7.荷役運搬システムの拡張計画の最適化 p.111
 7.1 緒言 p.111
 7.2 拡張計画問題の設定条件 p.111
 7.3 拡張計画問題の定式化 p.114
 7.4 事例解析と結果及び考察 p.117
 7.5 結言 p.122

8.結論 p.123

謝辞 p.126

本研究に関する発表論文 p.127

参考文献 p.128

付録 p.133
 付録 A 港湾調査結果 p.133
 付録 B 本論文に関連する確率分布の密度関数 p.145
 付録 C 階層構造ニューラルネットワーク p.146
 付録 D 遺伝的アルゴリズム p.147
 付録 E 修正パターン探索法による多目的最適化アルゴリズム p.152
 付録 F ファジィ数理計画問題 p.159
 付録 G 動的計画法 p.162

 本研究は,まず,港湾における荷役運搬システムを対象に,高度に情報化された港湾運営管理によるインテリジェント化荷役運搬作業の理論解析モデルを構築した.また,シミュレーション手法と最適探索法を融合して荷役運搬システムの能力と規模を多目的最適化する設計法を確立した.さらに,本設計法を用いて,コンテナターミナルとばら物ふ頭における荷役運搬システムの合理的な規模,すなわちバース数,荷役機械の能力などについて考察した.本論文の主な内容は以下の通りである.
 第1章は,緒論である.港湾における荷役運搬システムに関する従来の研究を総説する.港湾物流の自動化と情報化が推進されている社会背景を示す.港湾における荷役運搬作業の解析とシステムの能力と規模の設計に関する課題を明らかにした.続いて,本研究の目的,意義及び研究概要を述べた.
 第2章は,本論文の第3,4章に提案するインテリジェント化荷役作業モデルと第6,7章に検証する荷役運搬システム規模の多目的最適化設計法に関する基礎理論を示す.はじめに,コンテナターミナルにおける本船とヤードの荷役作業及び情報管理モデルを示す.さらに,港湾運営管理の情報化を荷役作業の前提として,船舶の待ち時間の短縮化と作業コストの最小化を目指す最適作業を実現するために,(1)システム状態の判断と学習,(2)状態の予測,(3)荷役作業スケジュールの計画,(4)荷役作業の実行という四つの段階を含むインテリジェント化荷役作業モデルを構築した.(1)と(2)には,ファジィ理論とニューラルネットワークを用いる.(3)には、遺伝的アルゴリズムを導入する.(1)(2)(3)の結果により,(4)は実行される.また,経済性,作業効率とヤード利用率の目標を最適に達成する荷役運搬システムを設計するために,シミュレーション手法に最適探索法を融合したファジィ多目最適化のアルゴリズムを確立する.なお,複数年にわたる期間に港湾荷役量の増加に対応して,コンテナターミナルにおける荷役運搬システムの拡張について,動的計画法に基づく最適設計のアルゴリズムを確立する.
 第3章は、コンテナバースにおける本船作業のインテリジェント化荷役作業モデルの妥当性を検討する.策2章に示した荷役運搬作業のモデリング手法を応用し,本船作業の状態評価指標を設立し,コンテナ本船作業に対する荷役作業ルールを動的に制御する.このモデルは,フレキシブルな荷役作業機能を実現でき,船舶待ち時間など作業効果を向上することを明らかにする.
 第4章は,船舶の待ち時間の短縮化と作業コストの最小化を目的に,第2章に示したコンテナヤードのモデリング手法を実際のコンテナヤードを対象に応用する.ヤードの状態評価指標を定め,ファジィ・ニューラルネットワークを用いたヤードにおけるコンテナ蔵置量の予測方法及びコンテナ積段数の制御方法を構築する.遺伝的アルゴリズムを導入したシミュレーション手法を用いて,ヤードにおけるトランスファクレーンなどの最適作業スケジューリングを求める.
 第5章は,ばら物ふ頭における荷役運搬システムを対象に,荷役作業モデルを構築し,システムの荷役作業,経済性とヤード利用率に関する各要素を検討する.これにより,システムの作業効率,経済性とヤード利用率に関する多目的評価指標を確立する.
 第6章は,第2章に提案した荷役運搬システム能力と規模の多目的最適化設計法の妥当性を検討する.はじめに,ばら物ふ頭を対象に,第5章に確立した荷役運搬システムの経済性,作業効率、ヤード利用率の評価指標に基づいて,提案した最適化アルゴリズムの妥当性と有用性を明らかにする.なお,ふ頭の荷役量の変動が最適設計結果に及ぼす影響も検討する.次に,コンテナターミナルを対象に,第3,4章に確立したインテリジェント化荷役作業モデルに基づいて,船舶待ち時間とバース利用率を目標に荷役運搬システム規模の最適化設計法を示す.
 第7章は,複数年にわたるにコンテナ物流量の増加に対応して,コンテナターミナルにおける荷役運搬システムの規模の拡張に関する拡張時期と拡張順序の設計法について検討する.解析期間における各年度の荷役作業効果に対する総合満足度の和を目標に,動的計画法を用いて規模拡張の最適化問題を定式化する.実際のコンテナ荷役運搬システムの規模拡張を対象に事例解析を行い,本最適設計法の妥当性を明らかにする.
 第8章は,本研究の結論をまとめる.
 本研究で提唱した港湾における荷役運搬システムの能力と規模の多目的最適化設計法は,システム荷役作業の多目的評価による設計法を確立する.また,港湾における荷役運搬作業が高度に情報化されている現在,コンテナターミナルに本研究で示したインテリジェント化荷役運搬作業を導入すれば,システム作業効率を向上とコストを削減し,荷役作業スケジュールを適切に計画することができる.さらに,システムの荷役設備能力の余裕度を明確に判断できる.

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