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コンテナターミナルにおける物流システムの最適設計に関する研究

氏名 濱田 秀樹
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博乙第148号
学位授与の日付 平成12年3月24日
学位論文題目 コンテナターミナルにおける物流システムの最適設計に関する研究
論文審査委員
 主査 教授 伊藤 廣
 副査 教授 松本 昌二
 副査 教授 長谷川 光彦
 副査 教授 大里 有生
 副査 助教授 阿部 雅二朗

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第1章 緒論 p.1
1.1 緒言 p.1
1.2 コンテナターミナルの物流システムとその変遷 p.2
1.3 コンテナターミナルに関する従来の研究 p.13
1.4 本研究の目的 p.15
1.5 本研究の特徴 p.17
1.6 本論文の構成 p.19

第2章 トラックゲートの最適配置と運用計画 p.21
2.1 緒言 p.21
2.2 トラックゲート p.22
2.3 構成要素のモデリング p.24
2.4 シミュレーションモデル p.32
2.5 解析結果および考察 p.36
2.6 コンテナターミナルへの適用 p.43
2.7 結言 p.46

第3章 トラックゲートの自動化計画 p.47
3.1 緒言 p.47
3.2 トラックゲートにおけるシステム化の対象 p.48
3.3 トラックゲートにおける自動化の方法 p.48
3.4 トラックゲートの自動化例 p.51
3.5 運用結果および考察 p.56
3.6 結言 p.58

第4章 ストラドルキャリア・ヤードの最適配置と運用計画 p.59
4.1 緒言 p.59
4.2 ストラドルキャリアによる荷役運搬システム p.60
4.3 ストラドルキャリア方式のモデリング p.64
4.4 解析結果および考察 p.67
4.5 結言 p.74

第5章 トランスファクレーン・ヤードの最適配置と運用計画 p.75
5.1 緒言 p.75
5.2 トランスファクレーンによる荷役運搬システム p.76
5.3 トランスファクレーン方式のモデリング p.79
5.4 シミュレーションモデル p.82
5.5 解析結果および考察 p.86
5.6 結言 p.95

第6章 機器の荷役量の変動と干渉を考慮した最適配置と運用計画 p.97
6.1 緒言 p.97
6.2 コンテナターミナルの機器配置と評価指標 p.98
6.3 ストラドルキャリア待ち時間のモデリング p.106
6.4 解析結果および考察 p.109
6.5 結言 p.115

第7章 結論 p.117

謝辞 p.121

本研究に関連した発表論文 p.122

本研究に関連したその他論文 p.124

参考文献 p.125

付録A. ストラドルキャリア方式の解析結果 p.129
付録B. トランスファクレーン方式のシミュレーション結果 p.137
付録C. トラックゲートのシミュレーションモデル(基本モデル) p.147
付録D. トランスファクレーンのシミュレーションモデル(基本モデル) p.163

 本研究では,コンテナターミナルに対する効率化の問題を物流システムの最適設計という面からとらえ,コンテナターミナルの構成要素であるトラックゲート,蔵置ヤードおよびエプロンにおける荷役機械,機器および人員の配置,運用方法を最適に決定する実用的技術を確立した.
 まず実地調査を行ってターミナルにおける作業手順,人と機械の動き,作業時間および機能を詳細に分析し,その調査結果に基づいてモデリングを行った.次に,トラックゲートでは作業時間の分析を中心に機器,通行レーン数および人員の配置を主たる対象として検討した.蔵置ヤードでは最も代表的な荷役方式であるストラドルキャリア方式とトランスファクレーン方式について機械の作業時間の分析を中心に,機械とコンテナの配置,運用方法を主たる対象として検討した.さらにエプロンの作業とトラックゲート作業を関連させてコンテナターミナルにおける物流システム全体の最適な機器配置を検討した.
 作業が独立しており,相対的な比較によってその特性が表現できるストラドルキャリア方式の荷役作業については,作業時間について解析式を導出して検討した.作業時間の変動と相互関係が問題となるトラックゲート作業,トランスファクレーン方式の荷役作業については,シミュレーションを用いて解析を行い,その結果を解析式で表現して検討を加えた.
 以下に各章ごとの概要を示す.
 第1章では,国際海上コンテナ輸送と関連研究の歴史を概観し,本研究の対象と目的を明らかにした.さらに本研究の特徴と本論文の構成について述べた.
 第2章では,トラックゲート方式をシングル,プリおよびマルチの3方式に分類し,シミュレーションによって作業時間と,通行レーン数,人員配置およびゲート方式との関係を検討して,関係式を導出した.それにより,新たに提案したマルチゲート方式は,シングルゲート方式の2倍の速度があり,ゲート方式別に最適となるレーン数と人員配置が存在することを示した.さらに実在のターミナルへ適用し実用性を確認した.
 第3章では,トラックゲートの自動化計画について検討した.トラックゲートの機能,システム化の対象およびその方法を整理し,自動化例と作業実績を分析した.その結果,プリゲート方式の採用と1人の作業員で複数レーンを担当することによって,作業効率はシングルゲート方式の2倍から3倍に向上すること,コンテナ番号の自動認識率は,省力化の目的で実用的な確度を持つことを実作業において示した.
 第4章では,ストラドルキャリア方式の蔵置ヤードを対象に検討し,作業時間,走行方式,コンテナの配置および積段数の関係を明らかにした.それにより,搬出作業では,コンテナの配置に関わらず,スイッチバック走行方式が効率的で,本船作業では,岸壁線と垂直なコンテナの配置でスイッチバック走行方式が効率的であることを示した.また,搬出作業では,蔵置コンテナ数が多くなると,グランドスロットを広げるよりも積段数を上げる方が効率的であることを示した.
 第5章では,トランスファクレーン方式の蔵置ヤードを対象に,トランスファクレーン方式の隘路作業といわれる搬出作業についてシミュレーションを用いて検討した.まず,トランスファクレーンの平均作業時間,コンテナの積段数および1台のトランスファクレーンが担当する蔵置コンテナ数の関係を明らかにした.それにより3段積みが最も効率的であることを示した.さらに最大作業時間に着目して,搬出作業におけるトレーラとトランスファクレーンの運用状態を評価する指標として待ち時間評価指数δqを新たに定義した.δqが1以下の場合トレーラに作業待ち時間が蓄積せず,円滑な運用が可能になることを示した.
 第6章では,コンテナターミナル全体として最適な機器配置の決定方法について検討した.トラックゲートと蔵置ヤードの作業時間の関係,蔵置ヤードとエプロンの作業時間の関係から,ストラドルキャリア,トランスファクレーンの各荷役方式について,作業ごとに荷役機械の必要台数の関係を整理した.また,コンテナターミナルの効率を表す指標として年間回転率,用地利用率および運用効率を用いて,ストラドルキャリア方式とトランスファクレーン方式の特徴を整理できることがわかった.さらにストラドルキャリア方式の限界作業量についてモデリングを行い,ストラドルキャリアの投入台数がある値を超えるとキャリア同士の干渉による待ち時間が増加し,作業効率が低下することを示した.
 第7章では,本論文における検討結果を総括した.

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