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Evaluation of Characteristics of Ablation Plasma Produced by Intense, Pulsed, Ion Beam

(大強度パルスイオンビーム生成アブレーションプラズマの特性評価)

氏名 康 向東
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博甲第98号
学位授与の日付 平成6年6月30日
学位論文の題目 Evaluation of Characteristics of Ablation Plasma Produced by Intense, Pulsed, Ion Beam(大強度バルスイオンビーム生成アブレーションプラズマの特性評価)
論文審査委員 主査 教授 八井 浄
 副査 教授 一ノ瀬 幸雄
 副査 教授 飯田 誠之
 副査 教授 増田 渉
 副査 助教授 升方 勝己

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Contents
Chapter1 Introduction p.1
Chapter2 Observation of Ablation Plasma Produced by IBE p.5
2.1 Ourline of IBE System p.5
2.2 Description of Experiment to Obserbve Ablation Plasma p.7
2.3 Typical Waveforms p.9
2.4 Measurement of Mass Loss of Target p.11
2.5 Effect of Ablation Plasma on Substrate p.14
Chapter3 Analytical Modeling of Ablation Plasma Produced by IBE p.17
3.1 Thermal Model for PLE p.17
3.2 One-Dimensional Hydrodynamic Model for IBE p.21
3.3 Ionization and Temperature of Target p.29
3.4 Pressure and Energy Density p.31
Chapter4 Evaluation of Characteristics of Ablation Plasma Produced by IBE p.33
4.1 Temperature Reached by IBE p.33
4.2 Energy Density of LIB Deposition p.41
4.3 Evaluation of Dynamic Pressure of Ablation Plasma Produced by IBE p.44
4.4 Summary p.46
Chapter5 Quick Depositionof ZrO2-Y2O3 Thin Films by IBE p.48
5.1 Application of LIB to Prepare ZrO2-Y2O3 Thin Films p.48
5.2 Experimental Conditions p.49
5.3 Structural Analysis and Film Deposition Rate p.50
5.4 Characteristics of Ablation Plasma in Deposition p.54
5.5 Summary p.57
Dhapter6 Conclusions p.58
Acknowledgments p.62
References p.63
Publication List p.68

 大強度パルスイオンビーム蒸着法(IBE)は、大強度のパルス軽イオンビーム(LIB)をターゲットに照射した時に生成されるアブレーションプラズマを利用した全く新しい薄膜生成法であり、本学で初めて提唱されたものである。本方法の応用に於いては、アブレーションプラズマの動特性を明らかにすることが重要な課題となっている。IBE法は、アブレーションプラズマを利用する点でレーザーアブレーション法に類似しており、部分的にはその評価手法を適用することが可能である。しかし、イオンビームは、レーザーと比較して、そのエネルギー付与過程が大きく異なる。レーザーの場合、時間的にはほぼ一定量のプラズマがターゲットから噴出する定アブレーション割合型であるのに対して、LIBではアブレーション量がイオン飛程に対応して時間的に一定となる定アブレーション型だある(dM/dt=0)。そのため、レーザーに於ける評価法をそのまま適用することができない。
 本研究の目的は、アブレーションプラズマを一次元流体近似を用いて解析し、実験及び理論的にアブレーションプラズマの動特性を解明することである。加えて、IBE法を用いて、ZrO2‐Y2O3薄膜の高速蒸着を行なうものであり、以下の6章から構成される。
 第1章「Introduction」では、IBE法の応用を概説し、アブレーションプラズマ研究の必要性や有用性を明確にするとともに、本論文の目的と意義を述べた。
 第2章「Observation of Ablation PlasmaProduced by IBE」では、IBE法による実験装置やアブレーションプラズマの計算方法について記述し、LIB発生やビーム生成ターゲットプラズマの基本特性について述べた。ここでは、バイアスイオンコレクタ(BIC)を用いてLIB収束点付近の電流密度を計測し、これを用いてLIBエネルギー面密度がLIB平均加速電圧の(5/2)乗に比例することを示した。また、アブレーションプラズマはほぼ一次元的に膨張すること、ビーム照射前後のターゲット質量の変化よりアブレーション量が~1.4mg/cm2であることを実験結果を用いて明らかにした。更に、プラズマ圧力等により、基板に~6×102dyn・s/cm2の力積が生成されることを示した。
 第3章「Analytical Modeling of Ablation Plasma Produced by IBE」では、IBEのプロセスを解明するため、プラズマ生成過程をビーム駆動膨張と断熱膨張の2段階に分け、それぞれに一次元流体モデルを用いた解析手法を提案した。ここで、ビーム駆動膨張段階では、ターゲットにLIBが照射されて内部エネルギーが増加しながらプラズマが膨張するが、この段階で、LIBのエネルギーは、イオン飛程の範囲内に付与され、アブレーションプラズマの面密度が一定と仮定した。また、断熱膨張段階では、プラズマが断熱的に真空中へ膨張すると仮定している。そして、この解析手法を用いることによりイオン流速から、プラズマの初期温度及び圧力の評価が可能であることを示した。
 第4章「Evaluation of characteristics of Ablation Plasma Produced by IBE」では、BICによるターゲットプラズマのイオン流速の計測データに、第3章の流体モデルを適用してプラズマ初期温度を評価した。その結果、Alターゲットに平均加速電圧0.7MVのLIBを照射した場合、プラズマ初期温度(T0)が1.8eVとなること、Tiターゲットに0.6~0.5MVのLIBを照射した場合、T0が1.5~2eVとなること、更にTiの場合、T0は1原子当りに付与されるエネルギーの(2/3)乗に比例して増加することを明らかにした。また、空間・時間的にプラズマ温度の変化を解析し、基板位置でのプラズマ平均電離度が1%以下となることを示した。更に、本評価法と熱モデルを用いた評価法を比較し、本評価法がIBEのプロセスに対して適切であることを示した。一方、BICとターゲット質量損失の実験データを用いて基板距離でプラズマの動圧が~1.4×108dyn/cm2となることを示した。
 第5章「Quick Deposition of ZrO2‐Y2O3 Thin Films by IBE」では、ZrO2にY2O3を1.~12mol%添加した焼結体をターゲットとし、IBEにより生成されるアブレーションプラズマを用いて、Si(100)基板上にZrO2‐Y2O3薄膜を生成し、その結晶構造、表面状態及び基板表面温度の上昇について述べた。ここで、電子顕微鏡写真の結果から成膜速度は0.2~0.3μm/shotであること、X線回折の結果からZrO2に1.1~4.5mol%のY2O3を添加したターゲットを用いた場合には正方晶の膜となり、7~12mol%のY2O3を添加した場合には立方晶の膜となることを見い出した。また、BICによるターゲットアブレーションプラズマの観測結果に一次元流体モデルを適用し、成膜時の蒸着粒子の進展速度は~106cm/s、熱流速密度は~1MW/cm2、瞬間的な蒸着速度は~5cm/sであることを示した。更に、これらのデータからSi基板の表面温度は成膜時に約500Kに上昇すると推定した。
 第6章「Conclusions」では、本研究を総括した結論を記述した。

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