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多アームコンバータ/インバータ回路とその応用に関する研究

氏名 安東 至
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博乙第126号
学位授与の日付 平成10年12月9日
学位論文の題目 多アームコンバータ/インバータ回路とその応用に関する研究

論文審査委員
 主査 教授 高橋 勲
 副査 助教授 近藤 正示
 副査 助教授 大石 潔
 副査 助教授 野口 敏彦
 副査 東京都立大学 教授 木村 軍司

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第1童序論 p.1
1.1 研究の背景 p.1
1.2 研究の目的 p.4
1.3 論文の概要 p.8
参考文献 p.10

第2章 多アームコンバータ/インバータの一般化理論 p.13
2.1 緒言 p.13
2.2 定義と電力変換器における基本回路構成 p.14
2.3 多アーム電力変換器の中性点電位制御可能範囲 p.20
2.3.1 線形計画法による中性点電位制御可能範囲 p.20
2.3.2 各アーム対称制御法による最大交流出力電圧の限界 p.26
2.3.3 各アーム非対称制御法による最大交流出力電圧の限界 p.32
2.4 中性点電位制御による主回路構成の変形 p.33
2.4.1 中性点電位制御によるアーム省略化 p.33
2.4.2 中性点電位制御による効率改善とアーム共通化 p.38
2.5 本研究の位置づけ p.48
2.6 結言 p.50
参考文献 p.51

第3章 1アーム2端子コンバータ/1ア一ム2端子インバータとその無停電電源への応用 p.53
3.1 緒言 p.53
3.2 1アーム2端子コンパータノ1アーム2端子インバータの

3.3.1 アーム2端子コンバータの制御法と実験結果 p.58
3.3.1 ヒステリシス変調方式によるコンバータ制御法と実験結果 p.58
3.3.2 入力電圧センサレスコンバータ制御法と実験結果 p.60
3.4.1 アーム2端子インバータの制御法と実験結果 p.66
3.5 フライホイール式無停電電源への応用 p.73
3.5.12 端子100Vタイプフライホイール式無停電電源の構成 p.73
3.5.2 フライホイールエネルギー貯蔵装置の構造 p.75
3.5.3 フライホイールエネルギー制御 p.77
3.5.4 無停電電源としての実験結果と評価 p.80
3.6 結言 p.84
参考文献 p.85

第4章 2アーム2端子コンバータ/1アーム2端子インバータとその電子負荷装置への応用 p.87
4.1 緒言 p.87
4.2 万能電子負荷装置に適した電力変換器の特徴と制御原理 p.88
4.3 電力回生機能を有する万能電子負荷装置への応用 p.91
4.3.1 主回路構成と制御回路 p.91
4.3.2 リアルタイム負荷シミュレータ p.93
4.3.3 万能電子負荷装置の解析 p.94
4.4 実験結果と評価 p.100
4.5 結言 p.107
参考文献 p.109

第5章 1共通アームを有する2アーム2端子コンバータ/2アーム2端子インバータとその無停電電源への応用 p.111
5.1 緒言 p.111
5.2 1共通アームを有する2アーム2端子コンパータ/2アーム2端子インバータの特徴と制御法 p.112
5.3 2アーム2端子コンバータの完全非対称制御法と実験結果 p.117
5.3.1 簡単なデジタル制御方式によるコンバータ制御法と実験結果 p.117
5.3.2 入力電圧センサレスコンバータ制御法と実験結果 p.119
5.42 アーム2端子インバータの実生非対称制御法と実験結果 p.125
5.5 フライホイール式無停電電源への応用 p.131
5.5.1 無停電電源としての主回路構成 p.131
5.5.2 フライホイールエネルギー貯蔵装置とその制御 p.131
5.5.3 制御アルゴリズム p.133
5.5.4 実験縞果 p.137
5.6 結言 p.137
参考文献 p.139

第6章 3アーム3端子コンパータ/3アーム3端子インバータとその無停電電源への応用 p.141
6.1 緒言 p.141
6.2 電解コンデンサレスコンバータ/インバータの制御原理と
6.2.1 制御原理 p.143
6.2.2 主回路構成 p.145
6.3 電解コンデンサレスコンパータ/インバータにおけるコンバータ制御方式 p.146
6.3.1 基本制御方式 p.146
6.3.2 不平衡負常時の間風点 p.148
6.3.3 線形の不平衡負荷に対する補償法 p.149
6.3.4 高調波を生じる不平衡負荷に対する補償法 p.151
6.4 電解コンデンサレスコンパータ/インバータにおけるインバータ制御方式 p.153
6.4.1 基本制御方式 p.153
6.4.2 出力電圧自動補正回路 p.155
6.5 電解コンデンサレスコンバータ/インバータの実験結果 p.157
6.6 電解コンデンサレスコンバータ/インバータの無停電電源への応用 p.167
6.6.1 主回路構成と絶縁トランスレス制御 p.167
6.6.2 ドライブ回路とスイッチング損失回収回路 p.169
6.6.3 実験結果 p.171
6.7 結言 p.171
参考文献 p.176

第7章 結論 p.177
7.1 本研究による成果 p.177
7.2 各コンバータ/インバータの比較 p.183
7.3 今後の課題 p.186
謝辞
発表論文

 本論文では,電力変換器における従来の基礎変換理論を拡張した,中性点電位に着目した多アームコンバータ/インバーターの一般化理論を確立するとともに,その理論に基づいて得られたコンバータ/インバータ回路を検討し,それぞれの制御法と応用について検討した。
 従来の電圧形電力変換器の基礎変換理論は,スイッチングを考慮しない理想電力変換器においてはハーフブリッジ電力変換器を基本にDC中点電位と交流側中性点電位が同電位であり,それを基準電位として理論展開されている。したがって,電力変換器の各アーム出力電圧は直接出力相電圧に相当することとなり,正弦波の対称X相線間正弦波出力電圧を得る場合,各アーム出力電圧は2π/X(rad)の位相差を有する対称正弦波相電圧を出力する必要がある自しかし,対称X相線間正弦波出力電圧を得る条件の下では必ずしも相電圧は正弦波である必要はなく,二相変調方式や3次高調波注入方式などの制御法が開発されている。これらの制御方式は,従来の基礎変換理論を基本に,それぞれ独立に理論の展開がなされており,統一した一般化理論として説明することができなかった。したがって,開発される回路構成と制御手法も各々単独に検討されるものがほとんどであり,統一した一般化理論が確立されれば従来の各回路構成における制御手法はその特定の場合の一つとして捕らえることができ,一般化理論に様々な条件を与えることで様々な回路構成や制御手法が自動的に導出できるなどの利点が考えられる。
 一方,電力変換器の応用面においては小形軽量化、長寿命および高性能化が望まれているコンピュータ機器が普及した近年では,高品質電源である無停電電源装置の需要が大幅に伸びている。無停電電源装量はその信頼性,ランニングコストおよび環境問題から長寿命化と出力電圧の低歪み化が要求されている。また,電子機器による電源系統における高調波電流低減に関しても省エネルギーと環境問題より重要視され,PWMコンバータの使用が急務とされてきた。また,低コストや信頼性の面からそのセンサレス化も重要な検討事項の一つとして開発がなされている。さらに,これら電力変換装置の試験機器として使用される負荷は、各々の試験条件に応じて用意され,試験用として消費される電力の有効利用も省エネルギーやコストの面から改善が望まれていた。
 以上のような背景から,本論文では従来の基礎変換理論を拡張した一般化理論の確立を行い,それより得られた回路構成から無停電電源装置および電子負荷装置に適した回路構成を選出し,実際の制御手法を開発するとともに実験およびシミュレーションなどを通じてその有効性を実証した。
 本論文は7章より構成されており,各章の内容は次の通りである。
 第1章では,序論として電力変換技術の歴史的背景と技術的問題点を明らかにするとともに,本研究の目的と目標について述べた。
 第2章では,中性点電位に着目した多アームコンバータ/インバータの一般化理論について検討を行った。電力変換器を統一的に表現する目的から端子数とアーム数により分類し,対称多相線間正弦波出力電圧を得る条件の下で交流出力側中性点電位の制御可能範囲を線形計画法により明確化した。これにより,従来の基礎変換理論は中性点電位を0Vに制御した特別な場合であることを明らかにし,電力変換器の統一した一般化理論を確立した。また,各電力変換器の有する最大出力電圧を簡単に得ることができることも示した。さらに,一般化理論に基づき,アーム省略およびアーム共通による主回路構成の変形と導出が自動的に行えることを明らかにした。
 第3章では,第2章より得られた1アーム2端子コンバータ/1アーム2端子インバータの制御手法を開発するとともに,電源異常時のエネルギー源に長寿命フライホイールを用いた単相100Vタイプ無停電電源装置に応用した。その結果,正弦波PWMコンバータにおいては簡単な電源電圧センサレス手法を開発でき,また、現在求められている無停電電源装置の基本機能をすべて満足するとともに,絶縁トランスレスの小形軽量および低コストを実現した有効な回路構成および制御手法であることが実証された。
 第4章では,第2章より得られた2アーム2端子コンバータ/1アーム2端子インバータを電子負荷装置に応用する場合の制御手法を開発するとともに,実験によりその有効性を実証した。開発した電子負荷装置はリアルタイム負荷シミュレータを有し、過渡現象も含めた様々な負荷を模擬することができ,電力回生機能による省エネルギー効果も認められた。
 第5章では,第2章より得られた1共通アームを有する2アーム2端子コンバータ/2アーム2端子インバータの制御手法を開発するとともに,単相200Vタイプフライホイール式無停電電源装置に応用した。その結果,コンバータにおいては電源電圧センサレス手法の高調波特性を明らかにするとともに,無停電電源装置としての基本機能の達成を確認し,小形軽量の面からも本回路構成の有効性が実証された。
 第6章では,第2章より得られた3アーム3端子コンバータ/3アーム3端子インバータを用いた三相電解コンデンサレスコンバータ/インバータの提案を行い、制御手法を開発するとともに三相フライホイール式無停電電源装置に応用した。電解コンデンサレス手法の原理と問題点を明らかにし,絶縁トランスレス制御、不平衡負荷補償法,出力電圧自動補正回路などを提案し,問題解決を行った。これにより、30年以上の長寿命無停電電源装置の実現が可能であることを実証した。
 第7章では本論文の結論として各章の総括を行うとともに、回路構成の比較を行った。また,本研究の今後の課題についても述べた。

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