Pattern Formation in Growth of Metal Oxide Crystals Occurring in Surface Kinetic Process (表面動力学過程に支配された酸化物結晶の形態形成)
氏名 田中 教雄
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博甲第187号
学位授与の日付 平成11年3月25日
学位論文の題目 Pattern Formation in Growth of Metal Oxide Crystals Occurring in Surface Kinetic Process(表面動力学過程に支配された酸化物結晶の形態形成)
論文審査委員
主査 教授 植松 敬三
副査 助教授 斎藤 秀俊
副査 教授 石崎 幸三
副査 教授 小松 高行
副査 無機材質研究所総括無機材料研究官 加茂 睦和
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Abstract p.ii
Table of contents p.iv
List of publications p.vii
List of figures p.viii
Acknowledgements p.xii
Chapter 1. General Introduction p.1
1-1. Overview p.1
1-2. Literature survey p.2
1-2-1. Metal oxide crystals prepared in this study p.2
1-2-1-1. YBa2Cu3O7-x p.2
1-2-1-2. Zinc oxide p.4
1-2-1-3. Titanium dioxide p.4
1-2-2. Epitaxy techniques p.6
1-2-2-1. Chemical vapor deposition p.6
1-2-2-2. Sputtering p.7
1-2-2-3. Pulsed laser deposition p.8
1-2-2-4. Laser MBE p.9
1-2-3. Adsorbed water on surface of metal oxide p.9
1-3. Statement of problem p.11
1-3-1. Micro- or submicro-structual control p.11
1-3-2. Surface kinetic process p.13
1-3-3. Objectives of this study p.15
1-3-4. Outline of the thesis p.15
1-3. Reference p.16
Chapter 2. Complex beam epitaxy of metal oxide films p.18
2-1. Introduction p.19
2-2. Experimental p.20
2-2-1. Target preparation p.20
2-2-2. Film formation p.21
2-2-3. Characterization p.22
2-3. Results and discussion p.23
2-3-1. Y-Ba-Cu-O films on YSZ substrate p.23
2-3-1-1. Structure p.23
2-3-1-2. Elemental composition p.25
2-3-1-3. Surface morphology p.26
2-3-2. Y-Ba-Cu-O films on (100)SrTiO3 substrate p.28
2-3-2-1. Epitaxial relation p.28
2-3-2-2. Elemental composition p.30
2-3-2-3. Surface morphology p.31
2-4. Conclusions p.35
References p.36
Chapter 3. Crystal growth of highly oriented zinc oxide by complex beam epitaxy p.38
3-1. Introduction p.39
3-2. Experimental p.40
3-2-1. Target preparation p.40
3-2-2. Film formation p.40
3-2-3. Characterization p.41
3-3. Results and discussion p.43
3-3-1. Epitaxial relation p.43
3-3-2. Crystal orientation p.45
3-3-3. Surface morphology p.46
3-3-4. Photoluminescence p.48
3-4. Conclusions p.49
References p.50
Chapter 4. Preferential orientation of titanium dioxide polycrystalline films using atmospheric CVD technique p.51
4-1. Introduction p.52
4-2. Experimental p.52
4-2-1. Film formation p.52
4-2-2. Characterization p.53
4-3. Results and discussion p.54
4-3-1. Preferential orientation of the films p.54
4-3-2. Surface morphology of growth front p.58
4-3-3. Possible mechanism of preferential orientation p.60
4-4. Conclusions p.63
References p.64
Chapter 5. Epitaxial growth mechanism of chemical-vapor-deposited anatase on strontium titanate substrate p.65
5-1. Introduction p.66
5-2. Experimental p.68
5-2-1. Preparation of epitaxial substrate p.68
5-2-2. Preparation and characterization of films p.69
5-3. Results p.70
5-3-1. Epitaxial growth of the films p.70
5-3-2. Initial growth process p.73
5-4. Discussion p.76
5-4-1. Step structure model p.76
5-4-2. Growth model of anatase on SrTiO3 p.78
5-5. Conclusions p.79
References p.80
Chapter 6. Biaxial rapid epitaxy of titanium dioxide crystals p.81
6-1. Introduction p.82
6-2. Experimental p.84
6-2-1. Film preparation p.84
6-2-2. Characterization p.84
6-3. Results p.85
6-3-1. Growth rate p.85
6-3-2. Crystal orientation p.88
6-3-2-1. Anatase crystals p.88
6-3-2-2. Rutile crystals p.93
6-3-3. Surface morphology p.95
6-4. Discussion p.101
6-4-1. Surface kinetic analysis of titania p.101
6-4-2. Morphological changing p.106
6-5. Conclusions p.108
References p.109
Chapter 7. General Conclusions p.110
機能性セラミックスの特徴的な物性は,電子スピン構造,不定比構造,結晶歪構造およびバルク欠陥構造に支配される。このことは,物性を支配するこのような構造を人工的に最適化することにより,セラミックスのさらなる高機能化が可能であることを示唆している。本研究ではセラミックス高機能化への新展開として,高度な規則性配列を有する酸化物構造体の形態形成を提案する。
本研究では次の段階を経て問題解決を行った。第1段階は高度な規則性配列を有する酸化物構造体の形態形成手法の確立である。手法確立のための基本的な技術としてエピタキシーと過飽和度制御が挙げられる。具体的には錯体線エピタキシー法および大気開放型化学気相析出(CVD)法を試料作製に用いた。第2段階は初期および安定成長期間における結晶成長過程を解析することである。解析手法として,氷の結晶形態解析に用いられる表面動力学解析法を金属酸化物結晶の成長解析に初めて適用した。以上の2段階を経て酸化物結晶の形態形成を最適化し,その結果を以下に示す7章からなる論文にまとめた。
第1草「General Introduction」では,本研究の背景として気相成長した酸化物薄膜に関するこれまでの研究をまとめ問題点を明らかにし,本研究の背景,目的および本論文の構成を示した。
第2章「Complex beam epitaxy of metal oxide films」では,酸化物結晶のナノ構造制御を実現するために,新たに考案した錯体線エピタキシー法により(100)SrTiO3単結晶基板上に成長したYBa2Cu3O7-x膜の組成制御性を検討した。本方法によれば異常粒成長を抑制しつつ多元素酸化物膜のエピタキシーが可能であることがわかった。さらに,ターケット-基板間距離を適切に保ではターゲット組成が膜組成へ良好に転写されることを見いだした。すなわち,本法は電子スピン構造や不定比構造を最適化するのに有効であるといえる。
第3章「Crystal growth of highly oriented zinc oxide by complex beam epitaxy」では,Frank-van der Merwe過程によるIIa型の酸化物構造体を実現するために,錯体線エピタキシー法により高配向酸化亜鉛(ZnO)の結晶成長を試みた。エピタキシャル成長基板には格子ステップの有無による2種類の(0001)Al2O3単結晶を用いた。格子ステップのない基板上に成長したZnOは多核成長を示した。一方,格子ステップ基板上に成長したZnOはステップに沿った層状成長を示した。IIa型の酸化物構造体を作製するためには,結晶表面上にステップが必要となることが確認された。
第4章「Preferential orientation of titanium dioxide polycrystalline films using atmospheric CVDtechnique」では,酸化物結晶の高速成長機構を明らかにするために,大気開放型CVD法によりガラス基板上に高速成長した二酸化チタン(TiO2)結晶の成長先端の解析を行った。安定成長過程において,<100>および<211>方向に配向成長したTiO2膜は,原子レベルで平坦なF面(101)および多数のステップが存在する2つのS面(110)で囲まれた成長先端もつことがわかった。高速成長するためには,成長先端に成長速度の速いS面が必要となることがわかった。
第5章「Epitaxial growth mechanism of chemical-vapor-deposited anatase on strontium titanate substrate」では,F面上での成長単位を明らかにするために,大気開放型CVD法により格子ステップを持つ(100)SrTiO3単結晶基板上にエピタキシャル成長したアナターゼ型TiO2の初期成長過程の解析を行った。微傾斜面上に成長したアナターゼ結晶は,核形成段階では沿面成長により結晶成長が開始し,途中で多核成長に移行するStranski-Krastanov型の成長様式をとることがわかった。このとき,沿面成長の臨界膜厚が平均0.6nmで制限されることから,F面上のステップ成長単位がMO6八面体となることが明らかになった。
第6章「Biaxial rapid epitaxy of titanium dioxide crystals」では、酸化物構造体の形態形成現象を明らかにするために,MO6八面体を使って表面動力学的解析を試みた。高過飽和条件では気相前駆体の構造により優先成長の特異面が決定され,結晶形態は特異面が1つでウィスカー構造のI型,特異面が2つで立体平板型構造のIIb型となることがわかった。S面およびF面についてに表面動力学的に解析した結果,特異面の成長速度が付着係数によって決定されることがわかった。以上のことから金属酸化物構造体の成長が表面動力学過程に支配されると結論した。
第7章「General Conclusions」では,各章の結果を詳細に検討し,本研究の目的に対して次の結論を得た。(1)錯体線エピタキシー法および大気開放型CVD法により,酸化物構造体の形態形成の最適化が可能となる。(2)酸化物の結晶成長が任意の成長単位からなる表面動力学過程に支配されている。