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Field Emission Property of Conductive Zinc Oxide Whiskers (導電性酸化亜鉛ウイスカーの電界放射特性)

氏名 鷲尾 司
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博甲第474号
学位授与の日付 平成20年6月30日
学位論文題目 Field Emission Property of Conductive Zinc Oxide Whiskers (導電性酸化亜鉛ウイスカーの電界放射特性)
論文審査委員
 主査 教授 齋藤 秀俊
 副査 教授 植松 敬三
 副査 准教授 内田 希
 副査 准教授 伊藤 治彦
 副査 准教授 岡元 智一郎

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Table of contents p.i
List of publications and meetings p.v
List of figures p.xiii
Acknowledgments p.xviii
CHAPTER 1 General introduction p.1
 1.1 Overview p.1
 1.2 Literature survey p.3
 1.2.1 Zinc oxide p.3
 1.2.2 Ceramic whiskers p.4
 1.2.3 Materials for field emitter p.5
 1.2.3.1 Amorphous carbon and related films p.5
 1.2.3.2 Magnesium oxide p.6
 1.3 Statement of problem p.6
 1.3.1 Material selection for best emission p.6
 1.3.2 Quantifying of emitter geometry p.7
 1.4 Objective of this study p.8
 1.5 Outline of this thesis p.9
 References p.11
CHAPTER 2 Field Emission Property of ZnO:Al Whiskers Modified by Amorphous Carbon and Related Films p.14
 2.1 Introduction p.15
 2.2 Experimental p.17
 2.3 Results and Discussion p.19
 2.4 Summary p.27
 References p.83
CHAPTER 3 Electric Field Enhancement of Whisker-Type Emitters p.29
 3.1 Introduction p.89
 3.2 Experimental p.31
 3.3 Results and Discussion p.32
 3.4 Summary p.38
 References p.39
CHAPTER 4 Surface Damage of Whisker-Type Cold Emitter after Overload Test p.40
 4.1 Introduction p.41
 4.2 Experimental p.42
 4.3 Results and Discussion p.42
 4.4 Summary p.46
 References p.47
CHAPTER 5 Steady-State Performance of Whisker-Type Cold Emitter and Field Emission Divice p.48
 5.1 Introduction p.49
 5.2 Experimental p.49
 5.3 Results and Discussion p.50
 5.4 Summary p.57
 References p.58
CHAPTER 6 Work Function of Amorphous Carbon Nitride with Various Functional Groups p.59
 6.1 Introduction p.60
 6.2 Experimental p.62
 6.3 Results and Discussion p.63
 6.3.1 Determination of geometric field enhancement factor p.63
 6.3.2 Wrok function of a-CNx:H p.66
 6.4 Discussion p.70
 6.5 Summary p.72
 References p.73
CHAPTER 7 Modification of MgO/ZnO:Al Hetero-Junction Whiskers Used for Cold Emitter p.75
 7.1 Introduction p.76
 7.2 Experimental p.77
 7.3 Results and Discussion p.78
 7.4 Summary p.84
 References p.85
CHAPTER 8 Field Emission Propertied of ZnO:Al Whisker-Type Emitter Operated in Gas Ambient p.87
 8.1 Introduction p.88
 8.2 Experimental p.89
 8.3 Results and Discussion p.90
 8.4 Summary p.101
 References p.102
CHAPTER 9 Triode Field-Emission Device forPhotoemission Constructed by Ceramic Cold Emitter p.103
 9.1 Introduction p.104
 9.2 Experimental p.106
 9.3.1 Emitter fabrication p.106
 9.3.2 Anode fabrication p.107
 9.3.3 Assembly of FED device p.107
 9.3 Results and Discussion p.109
 9.4 Summary p.113
 References p.114
CHAPTER 10 General conclusions p.116

 熱陰極からの脱却は21世紀技術における至上命題である。Fowler-Nordheim式に従うトンネル効果電界放射素子は、熱陰極にかわる冷陰極の中核技術を担うとされている。実用化に耐えうる同素子の開発が急がれている。
 本研究では、導電性酸化亜鉛ウイスカー群で冷陰極を構成し、電界放射を得て、電界放射パラメーターである同群の構造因子および仕事関数を議論した。ウイスカー群の電界放射特性はFowler-Nordheim式に従うトンネル効果に支配されており、同式を構成する構造因子と見かけの仕事関数が、ウイスカー先端局所構造と先端材料によって変化することを見出した。得られた知見をもとに実用的な電界放射発光素子を試作した。
 以上の結果を以下に示す10章からなる論文にまとめた。
 第1章「General Introduction」では、電界放射素子の電界放射現象に関するこれまでの研究をまとめ、問題点を明らかにし、本研究の背景、目的および本論文の構成を示した。
 第2章「Field Emission Property of ZnO:Al Whiskers Modified by Amorphous Carbon and Related Films」では、アルミニウム添加酸化亜鉛(ZnO:Al)ウイスカーのみで構成された冷陰極とアモルファス炭素系膜を電子放射先端としたZnO:Alウイスカーで構成された冷陰極より電界放射を得ることができることを確認した。また電界放射特性を比較し、効率のよい電界放射特性を得るためには、電界放射パラメーターを最適化する必要があることを明らかにした。
 第3章「Enhancement Electric Field of Whisker-Type Emitters」では、電極間距離を精密に変化することにより、ウイスカー冷陰極先端における局所的な電界を求めることができ、さらにウイスカーの構造因子の有効範囲が把握できた。これまで互換性がなかった2種類の構造因子を統括的に再定義し、2種類の構造因子を精密に求めることにより、構造因子を最適化することができることを明らかにした。
 第4章「A Surface Damage of Whisker-Type Cold Emitter after Overload Test」では、ウイスカー冷陰極を過負荷な条件下で連続動作させることにより、突発的なサージ電流でウイスカー冷陰極が損傷を受けることを明らかにした。
 第5章「Steady-State Performance of Whisker-Type Cold Emitter and Field Emission Display」では、ウイスカー冷陰極を長時間連続動作させることにより、動作雰囲気中でイオン化したガス分子・原子のイオン衝撃でウイスカー冷陰極が損傷を受けることを明らかにした。ウイスカー冷陰極が損傷すると、電子放射先端材料が変質し、電子放射先端の曲率半径が増大する。
 第6章「Work Function of Amorphous Carbon Nitride with Various Functional Groups」では、終端構造を積極的に変化させたアモルファス炭素系膜を電子放射先端としたウイスカー冷陰極より得られた電界放射特性の解析を行い、冷陰極の構造因子および仕事関数を決定した。電子放射先端をアモルファス炭素系膜で被覆することで見かけの仕事関数は0.64eVから3.81eVになること、電子放射先端被覆の最表面部が電気的に局在化することで仕事関数が小さくなることを明らかにした。
 第7章「Modification of MgO/ZnO:Al Hetero-Junction Whiskers Used for Cold Emitter」では、2章および5章で明らかにしたウイスカー冷陰極に求められる基本条件に従って、耐スパッタ性が高く、電子親和力が比較的小さいMgO薄膜を電子放射先端とした、MgO/ZnOヘテロ接合ウイスカーを合成した。その冷陰極は動作中に大きな損傷を受けなかった。
 第8章「Field emission properties of ZnO:Al whisker-type emitter operated in gas ambient」では、電界放射電流の周波数解析を行い、ウイスカー冷陰極の電界放射特性が冷陰極表面に吸着するガス原子・分子に対して敏感であることを確認した。
 第9章「Triode Field-Emission Display Constructed by Ceramic Cold Emitter」では、ウイスカー冷陰極を用いた発光素子を試作し動作させた。ウイスカー冷陰極を用いた発光素子は十分な輝度の発光を示した。ウイスカー冷陰極は脱熱陰極型発光素子への応用に耐えうると結論した。
 第10章「General Conclusions」では、各章の結果を検討し、次の結論を得た。ZnO:Alウイスカーで電界放射素子を構成すると、Fowler-Nordheim式を構成する構造因子は10^7m-1であること、電子放射先端をアモルファス炭素系膜で被覆することで見かけの仕事関数は0.64eVから3.81eVになることを明らかにした。電界放射パラメータを最適化することで、ZnO:Alウイスカー冷陰極は脱熱陰極型発光素子への応用に耐えうると結論する。

 本論文は「Field Emission Property of Conductive Zinc Oxide Whiskers」と題し、10章から構成されている。
 第1章「General Introduction」では、電界放射素子の電界放射現象に関するこれまでの研究をまとめ、問題点を明らかにし、本研究の背景、目的および本論文の構成を示している。
 第2章「Field Emission Property of ZnO:Al Whiskers Modified by Amorphous Carbon and Related Films」では、アルミニウム添加酸化亜鉛(ZnO:Al)ウイスカーのみで構成された冷陰極アモルファス炭素系膜を電子放射先端としたZnO:Alウイスカーで構成された冷陰極の電界放射特性を比較し、効率のよい電界放射特性を得るためには、電界放射パラメーターを最適化する必要があることを明らかにしている。
 第3章「Enhancement Electric Field of Whisker-Type Emitters」では、電極間距離を精密に変化することにより、2種類の構造因子を統括的に再定義し、2種類の構造因子を精密に求めることにより、構造因子を最適化することができることを明らかにしている。
 第4章「A Surface Damage of Whisker-Type Cold Emitter after Overload Test」では、ウイスカー冷陰極を過負荷な条件下で連続動作させることにより、突発的なサージ電流でウイスカー冷陰極が損傷を受けることを明らかにしている。
 第5章「Steady-State Performance of Whisker-Type Cold Emitter and Field Emission Display」では、ウイスカー冷陰極を長時間連続動作させることにより、動作雰囲気中でイオン化したガス分子・原子のイオン衝撃でウイスカー冷陰極が損傷を受けることを明らかにしている。
 第6章「Work Function of Amorphous Carbon Nitride with Various Functional Groups」では、電子放射先端をアモルファス炭素系膜で被覆することで見かけの仕事関数は0.64eVから3.81eVになること、電子放射先端被覆の最表面部が電気的に局在化することで仕事関数が小さくなることを明らかにしている。
 第7章「Modification of MgO/ZnO:Al Hetero-Junction Whiskers Used for Cold Emitter」では、2章および5章で明らかにしたウイスカー冷陰極に求められる基本条件に従って、耐スパッタ性が高く、電子親和力が比較的小さいMgO薄膜を電子放射先端とした、MgO/ZnOヘテロ接合ウイスカーを合成している。その冷陰極は動作中に大きな損傷を受けなかったことを明らかにしている。
 第8章「Field emission properties of ZnO:Al whisker-type emitter operated in gas ambient」では、電界放射電流の周波数解析を行い、ウイスカー冷陰極の電界放射特性が冷陰極表面に吸着するガス原子・分子に対して敏感であることを確認している。
 第9章「Triode Field-Emission Display Constructed by Ceramic Cold Emitter」では、ウイスカー冷陰極を用いた発光素子を試作し動作させている。ウイスカー冷陰極を用いた発光素子は十分な輝度の発光を示したことから、ウイスカー冷陰極は脱熱陰極型発光素子への応用に耐えうると結論している。
 第10章「General Conclusions」では、本論文の内容を簡潔に要約している。
 本論文は工学上及び工業上貢献するところがきわめて大きく、博士(工学)の学位論文として十分な価値を有するものと認める。

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