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On the Development of a Novel Bio-Assay System with Fractal Analyses (フラクタル解析を用いた新規バイオアッセイシステムの開発に関する研究)

氏名 NIMKERDPHOL KITTIWANN
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博甲第509号
学位授与の日付 平成21年3月25日
学位論文題目 On the Development of a Novel Bio-Assay System with Fractal Analyses (フラクタル解析を用いた新規バイオアッセイシステムの開発に関する研究)
論文審査委員
 主査 教授 中川 匡弘
 副査 教授 渡邉 和忠
 副査 准教授 北谷 英嗣
 副査 准教授 岩橋 政宏
 副査 准教授 石原 康利

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ACKNOWLEDGEMENTS p.I
ABSTRACT p.III
LIST OF ABBREVIATIONS p.VIII
LIST OF FIGURES p.IX
LIST OF TABLES p.XIII
CHAPTER 1 p.1
INTRODUCTION p.1
 1.1 NEED OF BIOASSAY p.1
 1.2 MOTIVATION p.2
 1.3 GENERAL INFORMATION AND RESEARCH BACKGROUND p.2
 1.3.1 Fish in Bioassays p.2
 1.3.2 Fish physiology in opposition to water pollution p.4
 1.3.3 Computer Vision System for acquiring behavioral endpoint of a testing organism p.11
 1.3.4 Biosignal Analyses p.21
 1.3.5 Evaluation of Biosignal Analysis Methods p.36
 1.4 CONTRIBUTION OF THE DISSERTATION p.40
CHAPTER 2 p.41
APPLICATION OF NONELECTRICAL BIOSIGNAL ANALYSIS OF FISH SWIMMING p.41
 2.1 INTRODUCTION p.41
 2.1.1 Selection of fish species p.42
 2.1.2 Holding of fish p.43
 2.1.3 Selection of test solution p.44
 2.2 EXPERIMENTAL PROCEDURES p.44
 2.3 ACQUIRING PHYSIOLOGICAL MOVEMENT OF TESTING ORGANISM p.45
 2.3.1 Template extraction p.47
 2.3.2 Visual tracking using image differencing with static template p.48
 2.3.3 Three-dimension coordinate computation with perspective correction p.51
 2.3.4 Evaluate the proposed perspective correction equation, 3DCCPC. p.53
 2.4 FRACTAL ANALYSIS USING CRITICAL EXPONENT METHOD p.56
 2.5 SWIMMING TRAJECTORIES OF THE FISHES WITH DIFFERENT CONCENTRATION OF NACLO CONSTRUCTED USING 3DCCPC p.57
 2.6 RESULTS AND DISCUSSIONS p.59
 2.7 CONCLUSION p.64
CHAPTER 3 p.65
APPLICATION OF ONLINE ESTIMATION OF NONELECTRICAL BIOSIGNAL OF GOLDFISH p.65
 3.1 INTRODUCTION p.65
 3.2 EXPERIMENTAL PROCEDURES p.66
 3.3 DATA ACQUISITION p.66
 3.4 SIGNAL ANALYSIS p.68
 3.5 DISCUSSION p.71
 3.5.1 Quantify behavioral response using fractal dimension methods p.71
 3.5.2 Effect of the stressor to the test organism p.73
CHAPTER 4 p.73
APPLICATION OF ONLINE MEASURING ELECTRICAL BIOSIGNAL OF MEDAKA EXPOSED TO ACUTE STRESS p.73
 4.1 INTRODUCTION p.73
 4.2 PROPOSED SCHEME p.75
 4.3 ELECTRICAL BIOSIGNAL ACQUISITION p.75
 4.4 EXPERIMENTAL SETUP p.77
 4.5 EXPERIMENTAL PROCEDURES p.77
 4.6 RESULTS p.78
 4.7 DISCUSSION p.82
 4.7.1 Testing organism p.82
 4.7.2 Experimental setup and analysis method p.82
 4.7.3 Physiological response of fish and experimental results p.83
 4.8 CONCLUSION p.83
CHAPTER 5 p.85
DISCUSSION p.85
 5.1 BEHAVIORAL ALTERATION OF FISH p.85
 5.2 PH SWING IN TOXICITY EXPERIMENT p.86
 5.3 3D COORDINATE EXTRACTION p.86
 5.4 ELECTRICAL VS. NON-ELECTRICAL BIOSIGNAL p.86
 5.5 IS THERE ANY NOISE EXISTING IN THE BIOELECTRICAL SIGNAL SENSOR SYSTEM? p.87
 5.5.1 Run without water p.87
 5.5.2 Run with dechlorinated tab water at room temparature p.87
 5.5.3 Run with 200ppm sodium aqueous solution at room temperature p.90
 5.5.4 Run with fish using water from raising aquarium at 26'C p.90
CHAPTER 6 p.93
CONCLUSION AND FUTURE STUDY p.93
 6.1 SUMMARY p.93
 6.2 FUTURE STUDY p.94
BIBLIOGRAPHY p.95
APPENDICES p.107
 A.1 HIGUCHI'S FRACTRAL DIMENSION ALGORITHM p.107
 A.2 VARIANCE FRACTAL DIMENSION ALGORITHM p.110
 A.3 GENERALIZED SCALING PROPERTIES OF VARIANCE p.111
 A.4 CMOS SINGLE-CHIP SENSOR (DP301B) p.112
 A.5 SIGNAL AMPLIFIER p.119
LIST OF PUBLICAGTIONS p.121
 JOURNAL ARTICLES p.121
 CONFERENCE PROCEED AND POSTERS p.121

 環境保全における重要な技術の一つとして,バイオアッセイが国内外で広く研究されている.とりわけ,水質汚染の評価手法として,致死量以下の環境負荷にさらされた魚の泳動軌跡の変化を解析する方法が水源において広く採用されている.しかしながら,このような手法はカメラ計測を必要とするため装置が大型となり,濁水や流れの中での計測が困難であり,さらに泳動に影響しないような微量な環境負荷の影響を検出することは困難である.
 そこで,本研究では,水槽中において,致死量以下の環境負荷を暴露された魚の生体信号を解析することにより,簡便で実用的な水質評価システムを開発することを目的とする.具体的には, 環境負荷下にある魚の泳動を2台のビデオカメラにより撮影し,3次元の泳動軌跡をコンピュータで再構成した後,その軌跡動態のフラクタル解析により環境負荷の影響を定量化した.さらに,濁水や流れのある現場での計測を実現とするため, 生体信号計測による新規手法を提案した.具体的には,水槽容器を囲んで取り付けた複数個のアクティブ電極を有する増幅器を用い,有害因子にさらされた魚の生体信号を計測し,同様にその生体信号のフラクタル性の環境負荷依存性を論じた.本論文は,全6章からなり,以下にその要旨を述べる.
 まず,第1章では,バイオアッセイ技術の研究背景と必要性について論じ,本研究の意義と目的を明確にした.
 次いで,第2章では,2台のカメラ計測による魚の3次元泳動軌跡の再構成手法について述べる.さらに,その軌道のフラクタル解析により,泳動軌跡の複雑性の環境負荷濃度に対する依存性を調べた.その結果,泳動軌跡は自己相似性を有し,50ppm程度のNaClOの環境負荷において,pH値の増加と共に軌道の複雑性の尺度であるフラクタル次元が上昇する傾向が見出された.このことから,フラクタル次元により致死量以下の環境負荷の影響を定量的に検出可能であることが明らかにされた.
 次いで,第3章では濁水でも適用可能な水質評価手法を確立するために,水槽中の魚の生体信号を計測し,そのフラクタル性の環境負荷依存性について論じた.具体的には,水槽に配置した複数の電極から計測される生体信号の複雑性をフラクタル次元により定量化することにより,泳動軌跡の変化として現れないような極微量な環境負荷の影響を検出するシステムを構築した.本研究の結果,生体信号の複雑性は,NaClOの100ppmの暴露に対して,0.15程度低下することが見出された.本研究の結果,生体信号の複雑性を指標としたバイオアッセイの基盤技術が確立された.
 さらに,第4章では,第3章の成果に基づいて,実用化に向けたリアルタイム計測を可能とする小型水質評価システムを構築しその基本性能を検証し,さらに,第5章で臨床実験における計測感度を調査した.本研究の結果,生体信号のフラクタル解析を用いた新規手法は,即応性の高い水質評価システムに適用可能であることが示唆された.
 最後に,第6章では,フラクタル理論に基づいたバイオアッセイ技術の総括と今後の課題について述べた.
 上記のように,本研究の結果,魚の生体信号に及ぼす環境負荷の影響が高感度に検出可能であることが見出され,さらに,リアルタイム水質モニタリングシステムを構築することにより,可搬型オンライン環境リスク・アセスメント・システムに応用可能であることが示された.

 環境保全・評価における重要な技術の一つとして、バイオアッセイ技術が国内外で広く研究されている。とりわけ、水質汚染の評価手法として、致死量以下の環境負荷にさらされた魚の泳動軌跡の変化を解析する方法が水源において広く採用されている。しかしながら、このような手法はカメラ計測を必要とするため装置が大型となり、また、濁水や流れの中での計測は極めて困難である。
 そこで本論文では、水槽中において、致死量以下の環境負荷に曝露された魚の生体信号を解析することにより、簡便で実用的な水質評価システムを開発することを目的として研究を進めている。具体的には、 環境負荷下にある魚の泳動を2台のビデオカメラにより撮影し、3次元の泳動軌跡をコンピュータで再構成した後、その軌跡動態のフラクタル解析により環境負荷の影響を定量化している。 さらに、濁水や流れのある現場での計測を実現とするため、 生体信号計測による新規手法を提案した。具体的には、水槽容器を囲んで取り付けた複数個のアクティブ電極を有する増幅器を用い、有害因子にさらされた魚の生体信号を計測し、同様にその生体信号のフラクタル性の環境負荷依存性を論じている。本論文は、全6章からなっており、以下にその要旨を述べる。
 まず、第1章では、バイオアッセイ技術の研究背景と必要性について論じ、本研究の意義と目的を明確にしている。
 次いで、第2章では、2台のカメラ計測による魚の3次元泳動軌跡の再構成手法について述べる。さらに、その軌道のフラクタル解析により、泳動軌跡の複雑性の環境負荷濃度に対する依存性を調べている。その結果、泳動軌跡は自己相似性を有し、50ppm程度のNaClOの環境負荷において、pH値の増加と共に軌道の複雑性の尺度であるフラクタル次元が上昇する傾向を見出している。このことから、フラクタル次元により致死量以下の環境負荷の影響を定量的に検出可能であることを明らかにしている。
 さらに、第3章では濁水でも適用可能な水質評価手法を確立するために、水槽中の魚の生体信号を計測し、そのフラクタル性の環境負荷依存性について論じた。具体的には、水槽に配置した複数の電極から計測される生体信号の複雑性をフラクタル次元により定量化することにより、泳動軌跡の変化として現れないような極微量な環境負荷の影響を検出するシステムを構築した。本研究の結果、生体信号の複雑性は、NaClOの100ppmの曝露に対して、0.15程度低下することが見出された。本研究の結果、生体信号の複雑性を指標としたバイオアッセイの基盤技術が確立された。
 また、第4章では、第3章の成果に基づいて、実用化に向けたリアルタイム計測を可能とする小型水質評価システムを構築しその基本性能を検証し、さらに、第5章で臨床実験における計測感度を調査している。その結果、生体信号のフラクタル解析を用いた新規手法は、即応性の高い水質評価システムに適用可能であることを結論している。
 最後に、第6章では、フラクタル理論に基づいたバイオアッセイ技術の総括と今後の課題について述べている。
 上記のように、本研究の結果、魚の生体信号に及ぼす環境負荷の影響が高感度に検出可能であることを見出し、さらに、リアルタイム水質モニタリングシステムを構築することにより、可搬型オンライン環境リスク・アセスメント・システムに応用可能であることを結論している。
 以上のことから、本研究成果は、環境曝露下にある魚の軌道や生体信号のフラクタル性に基づいた新規バイオアッセイ技術の有用性を示し、また同手法は水質評価技術に新機軸をもたらすものと期待され、学術的及び工学的に貢献するところが大きく、博士(工学)の学位論文として十分な価値を有するものと認める。

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