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Effects of Controlling Pores on Reliability of Engineering Ceramics(エンジニアリングセラミックスの信頼性向上への気孔制御の効果)

氏名 杵鞭 義明
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博甲第163号
学位授与の日付 平成10年3月25日
学位論文の題目 Effects of Controlling Pores on Reliability of Engineering Ceramics (エンジニアリングセラミックスの信頼性向上への気孔制御の効果)
論文審査委員
 主査 教授 石崎 幸三
 副査 教授 小島 陽
 副査 教授 植松 敬三
 副査 教授 小松 高行
 副査 助教授 岡崎 正和

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SCOPE AND CONTENTS OF PRESENT THESIS p.1
CHAPTER 1 GENERAL INTRODUCTION p.1
1-1 RELIABILITY OF ENGINEERING CERAMICS p.1
1-2 NANO SIZED SIC DISPERSED Si3N4 p.3
1-2-1 Advantages of Nano Composites p.3
1-2-2 Fabrication Methods for Nano-SiC Dispersed Si3N4 p.4
1-2-3 Toughening Mechanism in Nano Composites p.4
1-3 CAPSULE FREE HIPING p.7
CHAPTER 2 SINTERING OF WELL-RELIABILE Si3N4 CERAMICS BY USING CARBON COATED Si3N4 POWDERS p.8
2-1 INTRODUCTION p.8
2-2 EXPERIMENTAL p.8
2-3 RESULTS p.10
2-4 DISCUSSION p.23
2-4-1 Effects of Pulsed Electric Current Sintering on Reaction of SiC Formation p.23
2-4-2 Relation between Fracture Toughness and Morphology of Si3N4 Grains p.23
2-4-3 Effects of PECS on Fracture Toughness p.26
2-4-4 Influence of Density on Fracture Toughness p.26
2-5 CONCLUSIONS p.32
CHAPTER 3 INFLUENCE OF CAPSULE-FREE-HIP SINTERING ON THE WEIBULL MODULUS OF POROUS Al2O3 p.33
3-1 INTRODUCTION p.33
3-2 EXPERIMENTAL p.33
3-3 RESULTS p.35
3-4 DISCUSSION p.42
3-4-1 The Effects of HIPing Pressure on Bending Strength p.42
3-4-2 The Effects of HIPing on Weibull Modulus p.47
3-5 CONCLUSIONS p.50
CHAPTER 4 GENERAL CONCLUSION p.51
REFERENCES p.53
APPENDIX p.64
ACKNOWLEDGMENTS p.65
RESEARCH ACTIVITIES p.66

 エンジニアリングセラミックスをより広く利用するために、機械的特性に対する信頼性の向上は欠かすことができない。そのためには、欠陥の制御が鍵となる。セラミックス焼結体の特性劣化を招く最も一般的な欠陥は気孔である。本論文では、気孔の機械的特性に与える影響を低減させる方法、気孔の形状制御による信頼性の向上方法を提案した。以下に本論文の各章の概要を示す。
 第一章「GENERAL INTRODUCTION」では、セラミックス焼結体の信頼性向上に対して行われている現状の対処法を述べた。ここでは対処法を、微細構造の改質による機械的特性の向上、非破壊試験による欠陥検出法、保証試験と三つに分類し説明を行った。また本論文で試みた信頼性向上方法の基礎研究となっているナノ粒子複合材料およびカプセルフリーHIP(熱間等方加圧)焼結について、これまでの動向を述べた。
 第二章「SINTERING OF WELL-RELIABLE Si3N4 CERAMICS BY USING CARBON COATED Si3N4 POWDERS」では、窒化けい素セラミックスの機械的特性に対する信頼性向上方法として、炭素蒸着法が有効であることを明らかにした。炭素蒸着法は、窒化けい素原料粉末上に炭素被膜を形成するもので、これによりナノSiC粒子を窒化けい素中に分散させることができる。炭素蒸着法を適用することにより、機械的特性を向上させることができるが、この特性の向上は気孔の機械的特性に与える影響に起因していることを明らかにした。一般に気孔率の増加につれ機械的特性は低下するが、炭素蒸着法は気孔率の影響を低下させ、これにより機械的特性が向上される。炭素蒸着法の適用は、機械的特性の向上のみならず、機械的特性に与える気孔の影響を低減させることを可能とするため、窒化けい素焼結体の機械的特性および信頼性向上に対して有効な方法であるといえる。本章では焼結方法としてパルス通電焼結(PECS)法を適用した。PECS法により得られた試料は、ホットプレス焼結法に比較して、高い破壊靭性値を示したが、これはPECS法による焼結体が高密度を有しているためであるということを明らかにした。また、PECS法焼結は、粉末表面を介しての通電により表面反応を促進することも明らかにした。
 第三章「INFLUENCE OF CAPSULE-FREE-HIP SINTERING ON THE WEIBULL MODULUS 0F POROUS Al2O3」では、カプセルフリーHIP焼結法により気孔形状を制御し、機械的特性の信頼性を向上させている。カプセルフリーHIP焼結法は、カプセル封入を行わずに成形体を焼結するもので、これにより通常の焼結法に比較して、ネック曲率半径の大きい丸みを帯びた気孔形状を得ることができる。丸みを帯びた気孔形状は、応力集中を起こしにくいため破壊強度の向上に寄与する。本章では機械的特性の信頼性に関して、破壊強度のばらつきをワイブル統計に基づき解析した。カプセルフリーHIP焼結したAl2O3のワイブルプロットは、単一ワイブル分布では表現ができず、折れ曲がりを示した。一方、通常焼結(大気中での焼結)で得られた試料の破壊強度は単一ワイブル分布に一致した。また低強度側のワイブル係数に着目するとカプセルフリーHIP焼結により向上し、高強度側のワイブル係数に着目するとカプセルフリーHIP焼結の効果は見られなかった。現象の解明のために初期焼結過程における焼結理論をもとに気孔の成長を計算し、カプセルフリーHIP焼結の破壊強度に与える影響を計算した。その結果、HIP焼結によるワイブル係数の向上は、表面拡散がカプセルフリーHIP焼結中に促進され、より鋭い気孔がより遠く消滅することに起因していることが明らかになった。
 第四章「GENERAL CONCLUSION」では、気孔制御がエンジニアリングセラミックスの信頼性向上に対し有効であること述べ、研究成果を総括した。

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