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スメクティック液晶の電傾効果とそれに及ぼす界面アンカリングの影響に関する研究

氏名 木村 宗弘
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博乙第100号
学位授与の日付 平成9年6月18日
学位論文の題目 スメクティック液晶の電傾効果とそれに及ぼす界面アンカリングの影響に関する研究
論文審査委員
 主査 教授 赤羽 正志
 副査 教授 高田 雅介
 副査 助教授 安井 寛治
 副査 助教授 中川 匡弘
 副査 助教授 河合 晃
 副査 山口東京理科大学 教授 小林 駿介

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目次
1.序論 p.1
1.1 本研究の背景 p.1
1.1.1 液晶表示素子の黎明と発展 p.1
1.1.2 強誘電性液晶 p.3
1.2 本研究の目的 p.5
1.3 本研究の意義 p.5
1.4 本論文の構成 p.6
2.スメクティック液晶と電傾効果 p.9
2.1 緒言 p.9
2.2 液晶(相) p.9
2.3 液晶の分類 p.10
2.3.1 ネマティック液晶(NLC)相 p.11
2.3.2 スメクティック液晶(Sm) p.13
2.4 強誘電性液晶 p.16
2.4.1 SmC*相 p.16
2.4.2 表面安定化強誘電性液晶(SSFLC) p.18
2.5 電傾効果(Electroclinic Effect) p.24
2.6 結論 p.27
3.界面配向について p.28
3.1 緒言 p.28
3.2 液晶表示素子(LCD)と界面配向 p.28
3.3 界面配向 p.29
3.3.1 液晶-配向膜界面 p.29
3.3.2 界面分子配向法 p.29
3.3.3 界面分子配向に関する理論考察 p.30
3.3.4 界面分子配向機構 p.32
3.4 界面アンカリングエネルギー p.33
3.4.1 方位角アンカリングエネルギー p.37
3.5 SSFLCにおける界面アンカリングエネルギー p.37
3.6 SmA相における界面アンカリングエネルギー p.39
3.7 結言 p.40
4.理論解析 p.41
4.1 緒言 p.41
4.2 ランダウ型自由エネルギー密度式による電傾効果の解析 p.42
4.3 SmA-SmC*相転移の次数を考慮したランダウ型自由エネルギー密度式 p.43
4.4 弾性変形エネルギー、界面アンカリングエネルギーも考慮に入れた電傾効果の解析 p.45
4.5 連続体として取り扱った電傾効果配向分布解析 p.47
4.6 結論 p.51
5.実験の種類と試料の構造 p.52
5.1 緒言 p.52
5.2 実験・測定 p.52
5.3 実験に使用した液晶材料及び配向剤 p.52
5.3.1 液晶 p.52
5.3.2 配向剤 p.54
5.4 試料セルの作製法と構造 p.54
5.4.1 ガラス基板作製 p.55
5.4.2 基板洗浄 p.56
5.4.3 配向処理 p.56
5.4.4 セル組み p.57
5.4.5 セル厚測定 p.59
5.4.6 液晶注入 p.60
5.4.7 セル完成 p.60
5.5 結言 p.60
6.電傾効果測定 p.61
6.1 緒言 p.61
6.2 電傾効果測定系 p.61
6.3 直流電界印加における誘電率測定 p.64
6.4 実験結果及び考察 p.65
6.4.1 1次相転移液晶TFMHPDOPB p.65
6.4.2 2次相転移液晶764E p.69
6.4.3 2次相転移液晶MHPOBC p.71
6.5 結言 p.74
7.層構造解析とN相での界面アンカリング p.75
7.1 緒言 p.75
7.2 方位角アンカリング測定原理 p.76
7.2.1 TNセルの透過光解析 p.76
7.2.2 TNセルのねじれ角測定法 p.80
7.2.3 実験方法 p.81
7.3 X線回折測定原理 p.83
7.3.1 実験方法 p.84
7.4 結果と考察 p.84
7.4.1 方位角アンカリングエネルギー p.84
7.4.2 層構造解析 p.87
7.5 結言 p.88
8.電傾効果の動的特性 p.89
8.1 緒言 p.89
8.2 計算機シミュレーション p.89
8.3 過渡的誘電率測定法 p.90
8.3.1 測定原理 p.91
8.3.2 実験方法 p.92
8.4 結果と考察 p.92
8.4.1 分子再配向シミュレーション p.93
8.4.2 三角波印加による誘電率及び透過率の動的変化 p.98
8.4.3 透過光・誘電率に及ぼす界面アンカリングエネルギーの影響 p.100
8.5 結言 p.102
9.電傾効果に及ぼす極性アンカリングエネルギーの影響 p.103
9.1 緒言 p.103
9.2 計算機シミュレーション p.104
9.3 表面接触角測定 p.104
9.4 結果と考察 p.106
9.4.1 配向計算 p.106
9.4.2 配向観測 p.108
9.4.3 表面エネルギー p.109
9.5 結言 p.111
10.結論 p.112
参考文献 p.114
本研究に関する発表論文及び学会発表 p.117
謝辞 p.124

スメクティック液晶の電傾効果とそれに及ぼす界面アンカリングの影響に関する研究
 近年、次世代の液晶表示素子(LCD)材料として、強誘電性液晶(FLC)が盛んに研究されている。FLCは自発分極をもち、LCDとして応用した場合、高速応答性・広視野角性等の優れた特長がある。FLCには、自発分極を発現するSmC*相より高温側にSmA相を持つものが多い。SmA相においては、電界の印加によって分極が発生し、分子がスメクティック層法線から傾く挙動を示すことがあり、電傾効果と呼ばれている。本論文では、ランダウの自由エネルギー密度式を基に電傾効果について解析を行い、SmA相における界面配向の観察、電傾効果による電気光学応答および誘電率の測定を行い、スメクティック相における液晶分子配向に及ぼす界面アンカリングエネルギーの影響について知見を得ることを主目的とする。本論文は以下の10章から構成されている。
 第1章では、液晶表示素子について概観し、本研究の目的、意義および研究方針について述べた。
第2章では、本研究において取り上げたFLCのスメクティック液晶相における物性と層構造及び分子配向について説明した。その上で、本研究の主題である電傾効果について述べ、研究の意義について詳説した。
 第3章では、液晶と配向膜界面における分子配向及び界面アンカリングエネルギーについて述べた。特にネマティック相における界面配向研究の現状を紹介しながら、界面配向モデル、界面アンカリングエネルギーの評価法について述べた。更に、FLCにおける界面配向評価が困難である理由を述べた。こうした現状をふまえながら、SmA相において界面アンカリングエネルギーが評価できる可能性について説明し、その意義を明らかにした。
 第4章では、現象論的な立場からランダウの自由エネルギー密度式を基にした電傾効果の理論解析について述べた。この結果から、SmA-SmC*相転移点近傍において、温度をパラメータとして、電界を印加したときのティルト角と変位電流を測定することによって、解析に必要な各物性定数を決定することが可能であることを述べた。さらに、層内での配向弾性変形エネルギー、界面アンカリングエネルギーを考慮することによって、SmA層内におけるダイレクタのセル厚方向依存性についても解析できることを明らかにした。
 第5章では、本研究で使用した液晶や配向膜などの実験試料及び測定に用いた液晶セルの構造並びにその作製方法について説明した。
 第6章では、電傾効果による分子ティルト角及び電気変位の測定結果と、それを用いて求めたランダウ型自由エネルギー式に含まれる物性定数について述べた。また、分子ティルト角及び誘電率の電界強度依存性からSmA-SmC*相転移の次数を評価できることを明らかにし、また、電界誘起相転移を確認することができた。
 第7章では、次章に述べる電傾効果の解析モデルの根拠となる実験について述べた。N相における方位角方向のアンカリングエネルギーは1×10-5~1×10-4J/m2のオーダーであることが分かった。この結果から、電傾効果の解析においてはこの値を指標とし、数値計算においてはこの前後の値を用いてることが妥当であると言える。次に、SmA層におけるX線層構造解析を行った。電界を印加し分子が大きくティルトした状態であっても層構造はブックシェルフ構造を維持している。よって、電傾効果の解析においては弾性定数は1定数近似を用いても妥当性を欠かないことを明らかにした。第8章では、三角波電界印加による電傾効果の発現について計算機シュミレーションを行い、界面アンカリングエネルギーの影響について検討を行った。この結果、非極性界面アンカリングエネルギーが強い場合には、界面近傍の液晶は束縛されティルトしにくいことが分かった。また、極性アンカリングエネルギーが大きい場合には、界面近傍の分子ティルト角はバルクと異なり、セル厚方向の分子ティルト角分布はS字状になることが分かった。また、三角波電界印加による電傾効果の発現と、透過光強度変化及び誘電率の動的変化について計算を行った。計算結果と実験結果は定性的に良い一致を見ることが出来た。しかしながら、こうした実験では、界面アンカリングエネルギーを評価することは困難であることを明らかにした。
 第9章では、片面ラビング配向処理において確認される、層法線のラビング方向からのズレについて、極性アンカリングエネルギーの影響であると考え、計算機シュミレーションと実験結果の比較を行った。更に、表面エネルギー、特に極性成分との相関について考察を行い、極性アンカリングエネルギーと表面エネルギーの極性項の相関について考察した。
 第10章では、本研究によって得られた結果についてまとめている。

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