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Fabrication and Evaluation of Photocatalytic Micro-channel Reactors (マイクロチャンネル構造を持つ光触媒リアクターの作製と評価)

氏名 Sittidej Teekateerawej
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博甲第348号
学位授与の日付 平成17年08月31日
学位論文題目 Fabrication and Evaluation of Photocatalytic Micro-channel Reactors (マイクロチャンネル構造を持つ光触媒リアクターの作製と評価)
論文審査委員
 主査 教授 野坂 芳雄
 副査 助教授 小林 高臣
 副査 教授 山田 明文
 副査 教授 井上 泰宣
 副査 教授 佐藤 一則

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Contents

Chapter 1 General Introduction p.1

Chapter 2 Starting point for the study of Photocatalytic Microreactor "Preparation of TiO2 coated alumina Membrances for Photocatalytic Activity p.6
 2.1 Introduction p.7
 2.2 Experimental p.7
 2.3 Results and discussion p.11
 2.4 Conclusion p.15
 2.5 References p.16

Chapter 3 Photocatalytic microreactor study using TiO2 coated porous ceramics p.17
 3.1 Introduction p.18
 3.2 Experimental p.20
 3.3 Results and discussion p.24
 3.4 Conclusions p.31
 3.5 References p.32

Chapter 4 Design and evaluation of photocatalytic micro-channel reactor Using TiO2 coated porous ceramics p.33
 4.1 Introduction p.34
 4.2 Photocatalytic microreactor concepts and design p.35
 4.3 Experimental p.36
 4.4 Results and discussion p.40
 4.5 Finite element analysis p.50
 4.5.1 First model p.51
 4.5.2 Second model p.54
 4.5.3 Third model p.57
 4.6 Conclusion p.61
 4.7 References p.62

Chapter 5 Photocatalytic micro-channel reactor evaluation using capillary plate p.63
 5.1 Introduction p.64
 5.2 Experimental p.65
 5.3 Results and discussion p.67
 5.4 Computer calculation for irradiation intensity on the channel wall p.70
 5.5 Conclusion p.74
 5.6 References p.74

Chapter 6 Summary p.75

Appendix Light intensity calculation source code p.77

 光触媒プロセスは、水および空気にある低い濃度の有機性汚染物質を浄化するのに適しているため、大規模の水処理のための光触媒リアクターの設計が注目されている。一方では、マイクロ流体工学におけるマイクロ流体装置は、生命科学におけるマイクロフローセンサー、マイクロポンプ およびマイクロリアクターを主な応用分野として開発が進められている。本申請論文では、その2つの概念を結びつけた新規な試みとして、光触媒を用いたマイクロチャネルリアクターを作製しその特性を評価した。
 本論文は6章からなり、1章では光触媒マイクロリアクターの概念を、2章から5章にわたって、マイクロチャンネルの基材として、陽極酸化アルミナ膜(孔径0.1、0.2μm)、多孔性アルミナ板(50、100μm)、そしてマイクロチャンネルプレート(5μm)を用いて光触媒リアクターを製作し評価した結果を述べた。その中で、光の照射強度や流れの解析にコンピュータシミュレーションを用い実験結果についての議論を深め、終章の第6章において本研究を総括した。
 2章では主として酸化チタンのコート条件を検討している。出発原料としてチタニル(IV)アセチルアセトナート[(C5H7O2)2TiO]または市販チタニアゾルを用い多孔質体の内壁面にディップ法によってコートをおこなった。サンプルのコーティングの前後の表面形態はSEM によって観察した。2章で基材として用いた陽極酸化アルミナ膜は、チャンネル幅が狭く、流速が極端に遅いので、チャンネルリアクターとしての評価が不可能であったが、光触媒活性の良い酸化チタンコート膜の作製条件を見出し報告した。
 3章では主として光の照射角度についての検討を行った。そこでは、450-500℃で12時間の焼成によりTiO2をコートした多孔質体をマイクロチャネルリアクターとして利用した。角度を変えて紫外線照射した場合のメチレンブルー希薄溶液の光触媒分解速度を測定することにより、反応効率の評価を行った。実験結果からチャネルの軸線へ平行に照射することが適した照射の角度であることを示した。
 4章では、重要な要素である反応物質の流速がリアクターの効率に与える影響を検討した結果を述べた。反応速度は流量の増加とともに変化するが、流速がある値以上になると反応速度は減り始めることを見出した。この現象が生じる流速は、酸素ガスを補給する場合やチャンネルの表面形状が異なる場合には影響を受けるが、いずれも、流速が大きい場合に反応速度の減少がある。考察の結果、この現象がTiO2 表面の近くで発生した「淀み」の効果であることを見出した。すなわち、酸化チタン膜の表面が粗いため、マイクロチャネル内壁の表面の凹凸の間にあるスペースに、流速の増加とともに淀みが発生し、酸化チタン表面で分解生成物がチャネルの層流領域まで物質移動するための時間が余分に必要となり、その結果として反応速度が低下する。淀み層の厚さは、流速がある値を超えたときに急速に拡大され、マイクロチャネルリアクターの光触媒反応効率が高流速側で低下することで説明される。MARC MENTAT 2003というシミュレーションプログラムを用い、マイクロチャンネルの流れを解析した結果、モデルの凸面の間に異常な流れ条件が再現されたことで、淀みの発生することを証明した。
 5章では、前章までの結果を元にマイクロチャンネルの基材として、平滑な表面を持つガラス製のキャピラリープレートを用い、光触媒リアクターを作製し、そのリアクターを用いた光触媒反応の流速依存性について述べた。キャピラリープレートのキャピラリー内表面に、20wt% のチタニアゾル(STS-01)で 酸化チタンをコートし、400℃ 4 時間で焼成することでリアクターを作製し、前章と同様の方法で光触媒反応の評価を行った。その結果、観測される反応速度は流速とともに増加し、この光触媒リアクターでは流速の増加による反応速度の減少は観察されなかった。この結果により、前章の実験では、チャンネル内の凹凸面で生じる淀みの存在による反応効率の低下であることを確認した。
 6章は総括であり、2-5章で得られた結果をまとめるとともに、マイクロチャンネル光触媒リアクターの今後の展開について予想した。

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