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Performance Analysis of an MHD Accelerator for Space Application (宇宙推進用MHD加速器の性能解析)

氏名 Makbul Anawari
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博甲第349号
学位授与の日付 平成17年08月31日
学位論文題目 Performance Analysis of an MHD Accelerator for Space Application (宇宙推進用MHD加速器の性能解析)
論文審査委員
 主査 助教授 原田 信弘
 副査 教授 入澤 壽逸
 副査 助教授 江 偉華
 副査 助教授 末松 久幸
 副査 東京工業大学大学院総合理工学研究科教授 奥野 喜裕

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Contents

Abstract p.i
Acknowledgments p.iii
List of Figures p.vi
List of Tables p.ix

1. Introduction p.1
 1.1 Background p.1
 1.2 Outline of the Thesis p.3

2. Numerical Model for Analysis of MHD Acceleration p.6
 2.1 Principle of the MHD Accelerator p.6
 2.2 MHD Accelerator Configuration p.7
 2.3 The NASA MSFC Channel p.9
 2.4 Basic Equations p.12
 2.4.1 Magnetohydrodynamic Equations p.12
 2.4.2 Maxwell's Equation p.16
 2.4.3 MacCormack Method p.17
 2.4.4 Artificial Viscosity p.18
 2.4.5 The Initial Condition p.18

3. Performance of an MHD Accelerator Using Air-plasma as Working Gas p.21
 3.1 Introduction p.21
 3.2 Governing Equations p.22
 3.3 Numerical Procedure p.23
 3.4 Characteristic of Working Gas p.24
 3.4.1 Air-plasma p.25
 3.4.2 Argon p.28
 3.4 Performance Characteristic for Constant Loading Factor p.30
 3.5 Performance Characteristic for Constant Current Density p.33
 3.6 Conclusion p.36

4. Performance of an MHD Accelerator for Various Electrode
 Configurations p.38
 4.1 Introduction p.38
 4.2 Numerical Simulation p.39
 4.2.1 Governing Equations of Magnetohydrodynamics p.39
 4.2.2 Numerical Procedure p.43
 4.3 Performance of Faraday Electrode Configuration p.44
 4.4 Performance of Hall Electrode Configuration p.47
 4.5 Performance of Diagonal Electrode Configuration p.50
 4.6 Conclusion p.53

5. Performance of a Diagonal Type MHD Accelerator for Space Application p.54
 5.1 Introduction p.54
 5.2 The Equations of Diagonal Type MHD Accelerator p.56
 5.3 Numerical Condition p.59
 5.4 Characteristic of Air-plasma p.61
 5.5 Performance Analysis under Hall Current Neutralized Condition p.64
 5.6 Performance Analysis under Constant Diagonal Angle Condition p.70
 5.7 Conclusion p.79

6. Conclusion p.80
 6.1 Contributions of this Thesis p.80
 6.2 Recommendations for Future Work p.82

References p.84
List of Publications p.89

 本論文は,化学平衡の条件におけるMHD加速器の性能についての研究を述べたものである。これまでMHD発電としての研究は盛んに行われてきたが、MHD加速はその逆過程であり、外部から与えた電気エネルギーを作動気体の加速力へと変換するものである。このMHD加速技術は極超音速風洞装置や次世代の宇宙推進システムへの応用が期待されており、スクラムジェットエンジンとの複合システムの可能性についても検討されている。本研究で対象とするMHD加速器としては,アメリカNASAマーシャル宇宙センターで設計,開発されている実験装置を想定し,非定常1次元数値解析によって加速器の特性を調べた。MHD近似された連立微分方程式系を解くために,有限差分法の一種であるMacCormack法を適用した。MHD加速器による推進システムへの応用の実現に向けて,作動気体としては,導電率を増加させるために1%のカリウムをシードした窒素と酸素の混合気体からなる空気プラズマを想定した。
 外部条件として,流れ方向に一定の電流密度を与える"定電流密度運転"とMHD起電力に対する電極間電圧の比を一定にする"定負荷率運転"について,加速性能を評価・検討した。どちらの運転条件でも,空気プラズマの流体速度はMHD効果によって流れ方向に加速されることが確認された。定電流密度運転の条件では,定負荷率運転の場合と比べてより効果的に加速されることが分かった。さらに本数値解析条件の結果では空気プラズマの方が,これまで行われてきたアルゴンプラズマの場合より高い加速性能が得られることが示された。空気プラズマではアルゴンプラズマと比べてプラズマ導電率が低いにもかかわらず,定電流密度運転では同じ加速力が得られるためである。ただし,定電流密度運転を実現させるためにはより大きな電気入力は必要になると考えられる。投入された電気入力によって,空気プラズマはジュール加熱を受け,高い加速性能を得るために十分な気体温度の上昇が達成される。加速性能に与えるプラズマの導電率の影響も調べた結果、空気プラズマではアルゴンプラズマに比べて導電率が低いものの、加速器出口付近では100S/m程度のレベルに到達している。基本的に電磁加速を利用するためには,推進剤はMHD相互作用が十分に達成される導電率が必要とされるが、ここで用いた超音速空気プラズマはこのMHD相互作用が起こるに十分な導電率を達成できることが示された。
 MHD加速器では,電極の接続方法として,ファラデー接続,ホール接続,ダイアゴナル接続があり,これら接続方法の違いによる加速性能の違いを比較・検討した。作動プラズマの違いとしては,これまでの結果同様に空気プラズマの方がすべての接続方法について,アルゴンプラズマの場合より加速性能がよいことが確認された。空気プラズマでは,ジュール加熱の効果によって,流れ方向にガス温度と導電率が増加するためである。電極接続方法では,ファラデー接続が最も加速性能がよく,ダイアゴナル接続では,ファラデー接続とほとんど同等の加速性能を示すことがわかった。電磁力(ローレンツ力)が電流密度と磁束密度との積で表わされるので,定電流密度運転では加速性能にほとんど差が出ないためである。ホール接続ではファラデー接続,ダイアゴナル接続と比べて少し加速性能が劣る。
 ダイアゴナル接続運転は,加速器システム全体の大きさや重量,および電源や電極の単純さで特に宇宙用途で使われる可能性が高く,その加速性能を詳細に調べた。ここでは,流れ方向に一定のダイアゴナル角を与える"定ダイアゴナル角運転"と局所的にホール電流を中和する角度に設定する"ホール電流中和運転"について検討した。検討に先立って,数値解析の妥当性の検証として,アメリカLyTec社の解析結果と照合して,およそ同様な解析結果が得られ,計算の妥当性が確認された。定ダイアゴナル角運転では,本実験条件では55°の最適なダイアゴナル角が存在し,その条件では最高の出口速度3848m/sが得られ,またそのときの電気変換効率57.8%であった。ホール電流中和運転では,電気変換効率は,58.7%と若干ではあるが定ダイアゴナル角運転より高かったものの,出口速度は3710m/sにとどまった。これらの結果から,本研究での加速器形状と解析条件では,ダイアゴナル角運転が最高の加速性能を与えることがわかった。さらに,この最適ダイアゴナル角において,ホール電流によるジュール損失を最小にすることができるため,このMHD加速器における電気変換効率を極大にすることができる。また,ホール電流中和運転では,局所でホール電流を中和,すなわちゼロにするので,電気変換効率を最高にできることが分かった。
 これらの検討によってMHD加速器の実用化に向けて,電極接続方法,作動気体の選択,動作条件の設定など多くの知見が得られ,またそれらを変化させたときのMHD加速器の性能が明らかになった。

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