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ハイブリッド型eラーニングにおける学習履歴データの有効活用に関する研究

氏名 生田目 康子
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博乙第244号
学位授与の日付 平成17年12月7日
学位論文題目 ハイブリッド型eラーニングにおける学習履歴データの有効活用に関する研究
論文審査委員
 主査 助教授 植野 真臣
 副査 教授 大里 有生
 副査 教授 山田 耕一
 副査 教授 淺井 達雄
 副査 教授 福村 好美

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目次

第1章 序論 p.1-1
 1-1 研究の背景と動機 p.1-3
 1-2 研究の目的 p.1-4
 1-3 本論文の構成 p.1-5
 参考文献 p.1-8

第2章 授業へのIT活用をめぐる諸問題 p.2-1
 2-1 授業実施における諸問題の研究 p.2-2
 2-2 大学におけるeラーニングの形態 p.2-4
 参考文献 p.2-6

第3章 ハイブリッド型eラーニングにおける学習者の学習動機因子とアクセス履歴の関係分析 p.3-1
 3-1 研究の背景と目的 p.3-2
 3-2 実証環境 p.3-4
 3-3 教材の概要 p.3-6
 3-4 測定 p.3-8
 3-5 分析 p.3-10
 3-6 考察 p.3-12
 3-7 結論 p.3-15
 参考文献 p.3-16
 図表 p.3-18

第4章 eテスティングにおける繰り返し型テストの一貫性指標を用いた学習者評価 p.4-1
 4-1 研究の背景と目的 p.4-3
 4-2 実証環境 p.4-6
 4-3 測定 p.4-8
 4-4 分析 p.4-10
 4-5 考察 p.4-13
 4-6 結論 p.4-15
 参考文献 p.4-16
 図表 p.4-18

第5章 ピア・レビューを伴うグループ学習の分析 p.5-1
 5-1 研究の背景と目的 p.5-2
 5-2 研究の方法 p.5-4
 5-3 適用事例の概説 p.5-7
 5-4 測定と分析 p.5-9
 5-5 考察 p.5-12
 5-6 結論 p.5-14
 参考文献 p.5-15
 図表 p.5-16

第6章 AHPによるeラーニング教材の分析 p.6-1
 6-1 研究の背景と目的 p.6-2
 6-2 個人に着目した満足度評価 p.6-4
 6-3 実証環境 p.6-7
 6-4 測定と分析 p.6-9
 6-5 考察 p.6-12
 6-6 結論 p.6-13
 参考文献 p.6-14
 図表 p.6-16

第7章 結論 p.7-1
 7-1 研究の成果 p.7-2
 5-2 今後の課題 p.7-5
 謝辞 p.7-6
 印刷公表の方法および時期 p.7-7

付録
A:ポインタ教材のページサンプル p.A-1
B:WBT活用に関する学生アンケート p.A-8

 情報技術の発展に伴い,教育分野においてもeラーニングが導入され活用されるようになってきた.なかでも,WBT(Web Based Training)は,時間や場所の制約を受けずに自分のペースで自学自習を進めることができ,学習の経過を把握し,その情報を保管する機能を持つ.これらのeラーニングを使った教育や学習の評価に関する研究は,まだ始まったばかりである.
 本来,大学教育は,学生が自主的,自律的に知識を獲得することを前提とし,その前提で講義形式の授業が効率良く行われてきた.しかし,大学のユニバーサル化に伴い,学生の基礎学力や学習意欲の多様化が顕著になってきたため,大教室における講義では,教員が個々の学生の反応を捉え適時に対応するのはきわめて非現実的なものとなってしまった.
 筆者は,WBTが学生の学習履歴のデータを収集する点において,重要な役割を果たすと考え,対面授業をより効果的に実施するために,授業にWBTを併用したハイブリッド型eラーニングによる授業を1998年より行なってきた.そして,学習履歴データの有効活用を検証し,どのような貢献がなされるか,本論文で検証した.
 第1章においては,研究の背景と動機,および,研究の目的を明確にした.
 第2章では,大学の授業の問題点,eラーニングの形態と特徴について,研究の現状を整理した.
 第3章では,eラーニングへの学習者のアクセス数や学習成果である定期試験得点が,学習動機とどのような関係にあるかの分析を行った.学生の学習動機の下位尺度として因子分析により,第1因子「有用興味」,第2因子「遂行能力」,第3因子「知識技能」を抽出した(累積寄与率61%).eラーニングを併用したハイブリット型授業において実験を進めた.3つの因子得点の値の大小で学生を2群に分け,eラーニングへのアクセス数と定期試験得点の平均の差を検定した結果,1.有用興味の因子得点は,アクセス数と定期試験得点と相関が高い,2.遂行能力の因子得点は,アクセス数と相関が高い,3.知識技能の因子得点は,定期試験得点と相関が高い,という結果を得た.
 第4章では,eテスティングにおいて繰り返し利用する場合のテスト反応の一貫性指標を定義し,それを用いて学生を3つの学習型「理解十分型」,「理解途中型」,「理解不十分型」に区分し,区分ごとの獲得知識の構造をIRS分析法(Item Relational Structure Analysis :項目関連構造分析)により分析した.その結果,理解十分型の学習者,理解途中型の学習者,理解不十分型の学習者では,知識構造がまったく異なることが明らかとなり,これらを用いた指導法についても提案した.
 第5章では,ピア・レビューを伴うグループ学習を提案し,その有効性について評価を行った.グループ学習後の学生アンケートを因子分析した結果,以下の3因子が抽出できた.第1因子「グループ学習の効果」(お互いに教えあうことでプログラミングやフローチャートの理解が大幅に向上した),第2因子「レビュアーの利得」(評価をすることによって,プログラミングの良い具体例を見ることができた),第3因子「レビューの効果」(レビューの結果,フローチャートの誤りが発見できた)であった.(累積寄与率56%)さらに,学生を成績の上位群と下位群に2分し,両群の因子得点の平均の差の検定から,グループ学習の効果とレビューの効果は,成績下位群に対して有意に高く,グループ学習の目的とする効果が確認できた.レビュアーの利得に関しては,両群に有意な差がなく,成績上位群と成績下位群ともにレビューへの期待を確認できた.
 第6章では,AHP(Analytic Hierarchy Process)を用いたeラーニング・コンテンツの評価法を提案した.本研究の特徴は,評価項目への期待度を評価対象における相対的な重要度(ウェイト)とし,これをAHPにより算定した点にある.それを評価項目の充足度に加重和した個人別満足度を提示した.個人別満足度と従来からの平均充足度(各評価項目の充足度の合計平均)を用いて,質的要素を多く含むeラーニング教材を評価した結果,個人別満足度が平均充足度に比べ,教材の違いを計量的に測定できることを示した.
最後に,第7章では,本研究の成果と今後の課題を総括した.

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