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無目地ポーラスポリマーセメントコンクリート舗装の開発に関する研究

氏名 竹井 利公
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博甲第186号
学位授与の日付 平成11年3月25日
学位論文の題目 無目地ポーラスポリマーセメントコンクリート舗装の開発に関する研究
論文審査委員
 主査 教授 丸山 暉彦
 副査 教授 丸山 久一
 副査 助教授 唐 伯明
 副査 助教授 下村 匠
 副査 新潟工科大学教授 清水 敬二
 副査 北海学園大学教授 上浦 正樹

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第1章 序論
1.1 背景 p.1
1.2 目的 p.2
1.3 本研究に関連する現状の技術 p.3
1.4 課題 p.5
1.5 本論文の構成 p.6
 参考文献 p.7
 図表 p.8

第2章 NJPCに必要な物性
2.1 概説 p.10
2.2 強度・弾性係数 p.10
 2.2.1 NJPC層に発生する応力 p.10
 2.2.2 荷重応力 p.12
 2.2.3 そり拘束応力 p.14
 2.2.4 NJPCに必要な曲げ強度 p.14
2.3 等値変換係数(TA) p.14
2.4 骨材飛散抵抗性 p.15
2.5 機能 p.16
2.6 伸び能力 p.17
2.7 応力緩和能力(クリープ) p.17
2.8 乾燥収縮量、線膨張係数 p.18
2.9 まとめ p.18
 参考文献 p.18
 図表 p.20

第3章 NJPCの開発
3.1 概説 p.27
3.2 特殊エマルジョンの開発 p.27
 3.2.1 特殊エマルジョンの検討用配合の決定 p.27
 3.2.2 特殊エマルジョンの検討 p.30
 3.2.3 セメントの種類の検討 p.34
3.3 物性 p.35
 3.3.1 強度特性 p.35
 3.3.2 養生条件の違いによる強度の経時変化 p.35
 3.3.3 弾性係数・伸び能力 p.35
 3.3.4 線膨張係数 p.36
 3.3.5 乾燥収縮量 p.36
 3.3.6 下面と上面の温度差 p.37
3.4 まとめ p.37
 参考文献 p.38
 図表 p.39

第4章 試験舗装とその追跡調査
4.1 概説 p.56
4.2 試験舗装の概要 p.56
4.3 施工 p.57
4.4 舗装性能試験結果 p.59
 4.4.1 排水機能現場締固め度 p.59
 4.4.2 すべり抵抗性 p.59
 4.4.3 走行性 p.59
 4.4.4 路面の粗さ p.60
4.5 追跡調査結果 p.60
 4.5.1 交通量等 p.60
 4.5.2 路面のひび割れ調査 p.60
 4.5.3 排水機能 p.60
 4.5.4 すべり抵抗性 p.61
 4.5.5 走行性 p.61
 4.5.6 骨材飛散状況 p.61
4.6 まとめ p.62
 図表 p.64

第5章 配合設計方法
5.1 概説 p.72
5.2 コンシステンシーの評価方法 p.73
5.3 ワーカビリチーの評価方法 p.74
 5.3.1 施工し易さ p.74
 5.3.2 目標空隙率の確保し易さ p.74
 5.3.3 材料分離し易さの評価方法 p.75
5.4 合理的な配合設計法 p.76
 5.4.1 配合設計法の考え方 p.76
 5.4.2 配合条件 p.77
 5.4.3 使用材料 p.77
 5.4.4 目標空隙率の確保し易さの決定 p.77
 5.4.5 単位骨材容積と粒度 p.77
 5.4.6 単位結合材容積および粒度の決定 p.78
 5.4.7 水セメント比の決定 p.78
 5.4.8 カンタブロ損失率および透水係数の確認と室内配合の決定 p.79
 5.4.9 示方配合 p.79
5.5 まとめ p.79
 参考文献 p.80
 図表 p.81

第6章 施工および品質管理
6.1 概説 p.89
6.2 現行の問題点 p.89
6.3 検討方法 p.91
 6.3.1 室内試験 p.91
 6.3.2 試験施工 p.93
6.4 検討結果 p.94
 6.4.1 運搬時間 p.94
 6.4.2 転圧方法 p.94
 6.4.3 養生方法 p.95
 6.4.4 コンシステンシーの管理方法 p.96
 6.4.5 空隙率の管理方法 p.96
 6.4.6 強度の管理方法 p.97
6.5 まとめ p.97
 参考文献 p.98
 図表 p.99

第7章 結論 p.106
 謝辞 p.108

 自動車は国民の生活に深く浸透し、経済活動、日常生活において必要不可欠な交通機関となっている。また、国民生活が豊かになり、ニーズも多様化し、快適な生活環境が一段と望まれるようになってきた。道路舗装においてもこのような社会背景から、舗装の持つ機能の高度化、ならびに新たな機能の付加が求められてきている。これに応え、近年急激に施工実績を延ばしているのがポーラス舗装である。この舗装は排水機能と吸音機能を持っており、交通の安全と沿道環境の保全に役立っている。しかし、一般車道に使用されている現行のポーラス舗装は、結合材が高粘度に改質されているもののアスファルト系であることから、空隙潰れ、空隙詰まりによる早期の機能低下、機能回復の難しさが大きな問題となっている。
 一方、構内舗装に使用されているセメント系ポーラスコンクリートは、空隙潰れがなく、結合材が軟化して土粒子等を付着することもないので機能低下が小さく、機能回復も図り易い。しかし、浸透水によってメッシュ筋、タイバー、スリップバー等が腐食するためセメント系ポーラスコンクリートの車道への適用は困難であった。
 本研究は、これらのことに着目し、一般車道に使用できるセメント系ポーラス舗装の開発を目的とするものである。本文では、ビニロン繊維と特殊エマルジョンを配合に加え、転圧して締固めたセメント系ポーラスコンクリートを、目地なしでアスファルト舗装の表層部分に使用する新しい舗装を発案し、この舗装の実用化が可能であることを明らかにした。また、このポーラスコンクリートの配合設計方法、施工方法について実用的な方法を示した。
 本論文は、7章より構成される。各章の概要は、次のとおりである。
 第1章では、研究の背景として、現行ポーラス舗装の問題点を示すとともに、アスファルト系からセメント系にすることで、車道用ポーラス舗装の機能の長寿命化を図ることができることを述べ、本研究の目的を明確にした。また、セメント系ポーラス舗装の開発目標を明確にし、この目標を達成させるための課題についても述べた。
 第2章では、アスファルト舗装の表層部分に使用できるポーラスコンクリートを開発することが、最も重要な課題であることを述べ、このコンクリートに必要な物性について多層弾性理論等を用いて検討を行った。その結果、コンクリートにひびわれを発生させないようにするためには、弾性係数を小さくすること、伸び能力を大きくすること、塑性変形能力を大きくすることなどが有効であり、アスファルト舗装の表層部分に使用し、下層へ悪影響を影ぼさないようにするためには、等値換算係数を1以上にする必要があることなどを明らかにした。
 第3章では、特殊ポーラスコンクリートの材料設計に必要な実験的検討を行った。その結果、(1)特殊エマルジョンを開発し、これを配合することにより、弾性係数を小さくし、伸び能力と塑性変形能力を大きくすることができること、(2)ビニロン繊維は、骨材とぺースト分の材料分離を防ぐのに有効であること、(3)転圧を行うことで、骨材どうしが十分にかみ合う状態となること、などを明らかにした。また、検討結果を踏まえ、配合・作成した供試体の物性についても述べている。
 第4章では、実車道上での試験舗装、その追跡調査を行うことで、これまでの理論上および室内試験での検討結果を検証した。その結果、特殊ポーラスコンクリートはアスファルト基層上に、厚さ 5 cmの薄層、目地無しで舗設してもひびわれを生じないことが検証できた。また、施工性・供用性についての検討も行った。その結果、(1)施工方法等の改善が必要であるが施工性はアスファルト系と同程度であること、(2)供用性はアスファルト系と同等であること、機能回復能力はアスファルト系に比べて著しく高いこと、などを明らかにした。
 第5章では、特殊ポーラスコンクリートの配合設計方法について検討した。その結果、(1)コンシステンシーは、マーシャル突固め試験で評価できること、(2)現場での目標空隙率の確保し易さは、ローラコンバクタで評価できること、(3)材料分離し難さは、考案したダレ試験で評価できること、などを明らかにした。また、実用的な配合設計方法を示した。
 第6章では、施工、品質管理上の問題点を明確にし、それらについて検討を行った。その結果、(1)改良型ローラを用いると、施工性が改善されること、(2)コア空隙率から強度管理に必要な締固め時空隙率を求めることができること、(3)強度の管理は引張強度で行えること、などを明らかにした。
 第7章では、本研究の結論を述べている。
 本研究の成果によって、ポーラス舗装の排水機能および吸音機能を従来のものよりも長期間保持することができ、維持管理費用の節減も可能である。また,副次的な成果として,常温型であることから製造時エネルギーとCO2排出量が削減でき地球温暖化の防止にも寄与できる。

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