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鉄道盛土に使用する気泡混合土の軽量化に関する研究

氏名 渡邊 康夫
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博甲第194号
学位授与の日付 平成14年12月11日
学位論文題目 鉄道盛土に使用する気泡混合土の軽量化に関する研究
論文審査委員
 主査 教授 海野 隆哉
 副査 教授 丸山 久一
 副査 教授 杉本 光隆
 副査 助教授 大塚 悟
 副査 助教授 下村 匠
 副査 助教授 豊田 浩史

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1.序論 p.1
 1.1 まえがき p.1
 1.2 軽量土の鉄道盛土への利用 p.2
 1.3 既従の研究 p.7
 1.3.1 一軸圧縮特性 p.8
 1.3.2 一軸圧縮特性および破壊基準 p.9
 1.4 本研究の目的 p.13
 1.5 本論文の構成 p.14

2.気泡混合軽量土の力学特性 p.17
 2.1 はじめに p.17
 2.2 気泡混合軽量土の品質 p.18
 2.2.1 軽量土の作成と品質管理試験方法 p.18
 2.2.2 品質管理試験結果 p.23
 2.3 気泡混合軽量土の一軸圧縮強さ p.24
 2.3.1 試験体の作成方法と一軸圧縮試験 p.24
 2.3.2 一軸圧縮試験の結果 p.25
 2.4 気泡混合軽量土のせん断特性 p.29
 2.4.1 三軸圧縮試験 p.29
 2.4.2 三軸圧縮試験結果 p.30
 2.4.3 気泡混合軽量土のせん断特性 p.35
 2.5 気泡混合軽量土の破壊基準の解析的な検討 p.38
 2.5.1 解析方法 p.38
 2.5.2 解析結果 p.41
 2.5.3 軽量土の破壊基準 p.45
 2.6 気泡混合軽量土の一軸圧縮強さと初期間隙比が破壊基準に与える影響 p.46
 2.6.1 せん断挙動と破壊基準 p.47
 2.6.2 軽量土の破壊基準に関する考察 p.49
 2.7 まとめ p.51

3.気泡混合軽量盛土の現地計測と解析 p.55
 3.1 はじめに p.55
 3.2 高架橋アプローチ部の軽量盛土の計測 p.56
 3.2.1 計測結果の経時変化 p.56
 3.2.2 列車荷重載荷時の計測 p.64
 3.3 橋台背面での軽量盛土の計測 p.66
 3.3.1 計測概要 p.66
 3.3.2 計測結果 p.69
 3.4 まとめ p.71

4.模型試験による盛土構造の検討 p.75
 4.1 はじめに p.75
 4.2 軽量盛土の静的載荷試験 p.75
 4.2.1 静的載荷試験の試験方法 p.75
 4.2.2 静的載荷試験の試験結果 p.80
 4.2.3 静的載荷試験の解析的検討 p.85
 4.3 軽量盛土の繰返し載荷試験 p.86
4.3.1 繰返し載荷試験の試験方法 p.86
 4.3.2 繰返し載荷試験の試験結果 p.92
 4.4 軽量盛土の水平載荷試験(1/3モデル) p.94
 4.4.1 水平載荷試験の試験方法 p.94
 4.4.2 水平載荷試験の試験結果 p.100
 4.5 実物大模型盛土の水平載荷試験 p.106
 4.5.1 水平載荷試験の試験方法 p.106
 4.5.2 水平載荷試験の試験結果 p.115
 4.6 軽量盛土の模型振動試験 p.121
 4.6.1 振動試験の試験方法 p.121
 4.6.2 振動試験の試験結果 p.124
 4.7 軽量盛土の斜め引張強度の評価 p.129
 4.8 まとめ p.132

5.結論 p.135

謝辞 p.139

 本研究は, より軽量化された気泡混合軽量土を鉄道用盛土として使用する際に考慮すべき材料特性, 盛土体としての性能に関して評価を行い, 鉄道盛土として使用する軽量土の設計方法について考察を行った. 以下に本論文の要旨をまとめる.

 第2章では, 気泡混合軽量土の骨格を構成する改良土の一軸圧縮強さと気泡混入量を変えて作成した軽量土の一軸圧縮試験および三軸圧縮試験を行い軽量土のせん断特性を確認するとともに, 軽量土の内部の構造をモデル化した数値解析を行うことにより軽量土の破壊基準について検討した.
(1)軽量土の骨格を構成する改良土の一軸圧縮強さで正規化された軽量土の一軸圧縮強さは,軽量土を構成する改良土の体積割合のおおむね2.9乗に比例する. また, 改良土の一軸圧縮強さとセメント水比の間には線形関係があることから, セメント水比C/Wと空気量a%より軽量土のおおよその一軸圧縮強さを求めることができる.
(2)三軸圧縮試験に関しては, 軽量土の一軸圧縮強さで正規化した最大軸差応力と正規化された拘束圧の間にはほぼ線形の関係がある. 破壊形態がせん断破壊と圧縮破壊の中間的な破壊または圧縮破壊を起こす軽量土は,拘束圧増加に伴い最大軸差応力は低下する.一方,改良土の一軸圧縮強さが大きく空気量が少ない試験体で拘束圧が小さい場合で, 試験時にせん断破壊をする軽量土では拘束圧の増加に伴い最大軸差応力が増加する.
(3)軽量土をモデル化した要素の数値解析をもとに, 等方応力下でもせん断応力が作用し静水圧破壊が発生する現象及び三軸圧縮試験の破壊性状を説明することができた.
(4)一軸圧縮強さが小さく破壊形態がせん断破壊と圧縮破壊の中間的な破壊または圧縮破壊を起こす軽量土において, (1)から求められる一軸圧縮強さと軽量土の数値解析モデルにより静水圧破壊が発生する等方応力から, 軽量土の破壊基準の定式化を試みた.
(5)軽量土の破壊線の勾配は, 初期間隙比が4.5以下であれば正となりモール・クーロンの破壊基準を適用できるが, 初期間隙比が4.5以上となると破壊線の勾配は負となりモール・クーロンの破壊基準を適用できなくなる.

 第3章では, 実際に軽量土を使用して盛土を施工する際の土圧を適切に評価するために,連続立体交差事業の鉄道高架橋のアプローチ部で行われた軽量盛土工事と, 鉄道橋梁改築工事において沈下抑制のために行った橋台背面での軽量盛土の2箇所で現地計測を行った.
(1)軽量盛土施工時の側面防護工に作用する硬化前の側圧は正水圧分布で考えてよいが, 硬化に伴う硬化熱により一時的に打設時土圧の数倍の土圧が計測される結果となった.
(2)軽量土硬化後の側圧は、盛土の自立性と収縮のため非常に小さくなる. また、列車荷重載荷時の軽量盛土応力の増加は少ない. 現状では軽量土の施工時を対象とした検討と供用時の各限界状態に対して構造体の設計を行っているが、使用限界状態に対しては十分な安全率を持って設計されている.

 第4章では, 鉄道盛土として使用される状況を想定した模型試験体の静的載荷試験と繰返し載荷試験を行ってその耐荷性能を確認するとともに, 模型試験体による水平載荷試験と振動台を使用した振動試験を行って軽量盛土のせん断強度の確認を行い, 鉄道で使用する軽量盛土の耐震性能の評価を行った.
(1)軽量盛土に上載荷重が作用した場合の破壊形態は軽量土の局部圧縮破壊であり, 盛土の耐力は軽量土の一軸圧縮強さに依存する。また, 支持地盤が弾性床の場合あるいは, 盛土高さが低い場合には引張り応力が作用するためひび割れが発生するが, 盛土の耐力には影響しない.
(2)軽量土の一軸圧縮強さを, 現在鉄道盛土に使用されている1/3程度とした模型盛土に列車荷重相当の荷重で繰返し載荷試験を行った結果, 一般的な条件下では有害な沈下や破壊は発生しないことを確認した.
(3)水平載荷試験及び振動台による模型試験の結果, 地震時等の水平荷重が作用した時の軽量盛土の最終的な破壊は, 盛土中央部でのせん断破壊となる. このせん断破壊は軽量土の斜め引張強度により評価することができる.
(4)軽量土の斜め引張強度に与える上載圧力の影響は大きく, 上載圧力が作用しない場合の斜め引張強度は一軸圧縮強さに比べて非常に小さい. また一軸圧縮強さの増加に伴い,斜め引張強度は増加する.
(5)模型載荷試験で得られた斜め引張強度と軽量盛土に地震時加速度が作用した場合の斜め引張応力を比較した結果, 地上に打設した軽量盛土は兵庫県南部地震のような極めて強い地震に対しても盛土高さ3m程度までは十分に安全と考えられる.

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