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FWDたわみによるコンクリート舗装の構造評価に関する研究

氏名 小関 裕二
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博乙第182号
学位授与の日付 平成14年3月25日
学位論文題目 FWDたわみによるコンクリート舗装の構造評価に関する研究
論文審査委員
 主査 教授 丸山 暉彦
 副査 教授 丸山 久一
 副査 助教授 高橋 修
 副査 助教授 下村 匠
 副査 石川工業高等専門学校 助教授 西澤 辰男

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第1章 序論 p.1
1.1 コンクリート舗装の構造設計および評価の現状と課題 p.1
1.1.1 コンクリート舗装の構造設計 p.1
1.1.2 コンクリート舗装の評価の現状と課題 p.3
1.2 本研究の視点と目的 p.12
第1章の参考文献 p.13
第2章 コンクリート舗装の構造評価推定式 p.15
2.1 緒言 p.15
2.2 FEMによるたわみの解析 p.15
2.2.1 たわみ曲線に与える影響因子について p.15
2.2.2 WinklerモデルとBoussinesqモデルの比較 p.17
2.2.3 載荷位置の影響 p.21
2.3 重回帰分析に基づいた構造評価推定式の検討 p.31
2.3.1 目地を有するコンクリート舗装のモデル化 p.31
2.3.2 荷重拡散係数 p.33
2.3.3 回帰分析 p.35
2.3.4 ILLI-BACKとの比較 p.37
2.4 実用性の検証 p.40
2.4.1 コンクリート版中央部載荷の場合 p.40
2.4.2 コンクリート版横断目地縁部載荷の場合 p.42
2.5 結論 p.45
第2章の参考文献 p.46
第3章 コンクリート舗装のたわみに影響を及ぼす温度勾配 p.48
3.1 緒言 p.48
3.2 コンクリート版のそり変形 p.48
3.3 温度勾配推定式 p.55
3.4 結論 p.60
第3章の参考文献 p.61
第4章 コンクリート舗装目地の荷重伝達機能評価 p.63
4.1 緒言 p.63
4.2 AASHTOによる荷重伝達機能評価 p.63
4.3 FWDによる荷重伝達率 p.64
4.4 荷重伝達率の限界値 p.68
4.5 結論 p.74
第4章の参考文献 p.75
第5章 たわみ評価指標に関する検討 p.76
5.1 緒言 p.76
5.2 限界たわみ量の考え方 p.77
5.2.1 路盤支持力係数 p.77
5.2.2 コンクリート版の弾性係数 p.78
5.2.3 FEMの解析結果 p.79
5.2.4 たわみ量の限界値(温度勾配がない場合) p.82
5.3 温度勾配を考慮した解析方法 p.83
5.3.1 たわみの算出方法 p.83
5.3.2 解析方法の検証 p.85
5.4 たわみと温度勾配および構造特性値の関係 p.88
5.4.1 コンクリート版中央部載荷におけるたわみ p.89
5.4.2 横断目地縁部載荷におけるたわみ p.96
5.4.3 隅角部載荷におけるたわみ p.103
5.4.4 縦断目地縁部(自由縁部)載荷におけるたわみ p.106
5.5 温度勾配を考慮したたわみ評価指標 p.108
5.6 結論 p.112
第5章の参考文献 p.113
第6章 コンクリート舗装の構造評価システム p.115
6.1 緒言 p.115
6.2 コンクリート舗装の健全度評価 p.116
6.2.1 ネットワークレベルの調査 p.116
6.2.2 プロジェクトレベルの調査 p.120
6.2.3 ケーススタディ p.123
6.3 結論 p.131
第6章の参考文献 p.132
第7章 結論 p.133
謝辞 p.136

 舗装を維持管理するためには,舗装の構造評価が不可欠である.そこで,本論文はFWDたわみを使用したコンクリート舗装の構造評価について研究した.本論文の各章で示した成果をまとめると以下のようになる.
 第1章では,コンクリート舗装構造設計および評価の現状と課題を述べ,本研究の視点と目的を述べた.
 第2章では,コンクリート舗装の理論たわみをWinklerおよびBoussinesqモデルの有限要素法によって解析を行い,モデルの影響を調査した.さらに,これらの解析モデルを用いて,コンクリート舗装の構造評価に使用することができる構造評価推定式を検討した.得られた主な結果をまとめると以下のとおりである.
・コンクリート舗装の設計因子である路盤支持力係数,コンクリート版の弾性係数,コンクリート版厚が表面たわみに及ぼす影響を示した.
・WinklerおよびBoussinesqモデルの比較を行い,Winklerモデルで逆解析したコンクリート版の弾性係数がBoussinesqモデルのものより大きいことを示した.
・載荷位置によって,たわみ量が異なり,自由縁部,隅角部における温度勾配の影響およびモデルの違いによる影響を示した.
・コンクリート版の中央部と横断目地縁部で載荷したFWDたわみを用いて構造評価推定式によって,コンクリート舗装の構造パラメータを導くことが可能であることを示した.
 第3章では,コンクリート版の温度勾配がFWDたわみに及ぼす影響がそり変形であることを述べ,さらに温度勾配を予測できる式の精度を検証した.以下にそれらをまとめる.
・温度勾配によるコンクリート版の変形は複雑であり,温度勾配が負の場合は中央部,正の場合は隅角部以外,コンクリート版は路盤に接していない可能性があることを示した.
・たわみで舗装の健全度を評価する場合,温度勾配を考慮する必要があることを示した.
・コンクリート版の温度勾配は,コンクリート版厚,時刻,舗装表面温度,日平均気温の4つの要素がわかれば予測可能であることを示した.
 第4章では,FWDによる荷重伝達率について検討し,荷重伝達率と応力伝達率・応力減少率の関係を調査し,AASHTO手法との比較を行うとともに,荷重伝達機能の評価方法について検討した.以下にそれらの結果をまとめる.
・AASHTOによる荷重伝達評価にFWDたわみを利用するのが困難であることを示した.
・FWDたわみによる荷重伝達率評価方法を検討し,最良と思われる算出方法を提案した.
・有限要素法解析によって,応力伝達率とたわみ伝達率の関係を述べ,荷重伝達機能が有効に働いている場合の荷重伝達率の値を明らかにした.
・各種試験データより,温度勾配による影響を含めて,荷重伝達機能が働いていないと考えられる荷重伝達率の限界値を65%とした.
 第5章では,ネットワークレベルの評価で使用できるように,版に温度勾配がある場合のFWDたわみを解析した.さらに限界たわみ量はコンクリート版の荷重載荷位置や幅員で異なるため,位置・幅員別に検討した.得られた結果をまとめると以下のとおりである.
・有限要素法によって,温度勾配で変形したコンクリート版に荷重を与えた時のたわみを解析することが可能であることを示した.
・コンクリート版中央部に載荷した時の載荷直下のたわみは,温度勾配が0.2℃/cm未満の場合,温度勾配の影響を受けず,0.2℃/cm以上の場合,温度勾配の増加とともにたわみも大きくなること,たわみは路盤支持力や幅員の影響を受けることを示した.
・横断目地縁部に載荷した時の載荷直下のたわみは,温度勾配0℃/cmで最小となり,目地のせん断バネ係数,路盤支持力係数,幅員の影響を受けることを示した.
・路盤支持力が低下した時,隅角部に載荷した場合の載荷直下のたわみは温度勾配0℃/cm以上では変化せず,0℃/cm未満で温度勾配の減少とともに大きくなることを示した.
・路盤支持力が低下した時,縦断目地縁部(自由縁部)に載荷した場合の載荷直下のたわみは,中央部載荷時と同様の傾向で温度勾配の影響を受けることを示した.
・ネットワークレベルの評価に適用できるコンクリート版の温度勾配を考慮した限界たわみ量を温度勾配と版厚と幅員から導く式を示した.
 第6章は,第2章から第5章までに明らかにした成果を用いて,コンクリート舗装の構造評価に,FWDたわみを用いて非破壊で評価する方法について,その手順を提案した.
 以上のように,本研究はFWDたわみを用いて,コンクリート舗装の構造評価を行う方法を実務的な視点で利用できるものを開発したものである.

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