本文ここから

車道用高耐久性自然石ブロック舗装の開発に関する研究

氏名 木下 庄次
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博乙第203号
学位授与の日付 平成15年6月18日
学位論文題目 車道用高耐久性自然石ブロック舗装の開発に関する研究
論文審査委員
 主査 教授 丸山 暉彦
 副査 教授 丸山 久一
 副査 助教授 高橋 修
 副査 助教授 下村 匠
 副査 中央大学理工学部 教授 姫野 賢治

平成15(2003)年度博士論文題名一覧] [博士論文題名一覧]に戻る.

第1章 序論 p.1
1. 研究の背景 p.1
1.1 一般的背景 p.1
1.2 技術的背景 p.4
(1) 石材 p.5
(2) 舗装厚生 p.6
(3) 石材の張付方 p.6
(4) 問題点 p.7
1.2 本研究の目的 p.8
1.3 本論文の構成 p.8
参考文献 p.9

第2章 従来の構築工法におよる破損の実態と原因の推定 p.10
2.1 諸言 p.10
2.2 既往の技術と問題点 p.10
2.3 自然石ブロック舗装の破損の実態 p.11
(1) 破損箇所目視調査結果の一例 p.11
(2) 代表的な破損の形態 p.11
1) 目地の破損 p.12
2) ブロックの角欠け p.12
3) ブロックの割れ p.14
4) ブロックの沈下 p.15
5) ブロックの脱落 p.16
(3) 目視観察結果の概要 p.17
2.4 セメントモルタル層の密度・圧縮強度の分布とその影響に関する検討-実験方法 p.17
(1) 室内試験のよる,セメントモルタル層の“密度”および“圧縮強度”の分布の把握 p.17
(2) セメントモルタル層の支持状態の違いの影響に関する検討 p.18
2.4.1 セメントモルタル層の“密度”および“圧縮強度”の分布に関する実験方法 p.18
(1) 実験の概要 p.18
(2) 実験手順 p.19
2.4.2 セメントモルタル層の支持状態の違いの影響に関する試算 p.20
2.5 セメントモルタル層の密度・圧縮強度の分布とその影響に関する検討-結果および考察 p.21
2.5.1 モルタル層の“密度”および“圧縮強度”の分布に関する実験結果 p.21
(1) モルタル層の密度 p.22
(2) モルタル層の圧縮強度 p.26
(3) モルタル層の密度~圧縮強度の関係 p.30
(4) 全種モルタルの密度~圧縮強度の関係 p.32
2.5.3 セメントモルタル層の支持状態の違いの影響に関する試算結果 p.33
2.6 まとめ p.35
参考文献 p.35

第3章 自然石ブロック舗装構築方法に関する予備的実験 p.36
3.1 諸言 p.36
3.2 既往の技術と問題点 p.36
3.3 研究の概要 p.37
(1) 自然石ブロック底面にレベリングを設け基盤に接着・固定 p.37
(2) 基盤上に砕石層を設けた自然石ブロック敷設後に砕石層にグラウトを注入し固定 p.37
3.4 実験方法 p.37
3.4.1 レベリング方式 p.37
(1) 本手法の概念 p.37
(2) 使用材料 p.40
(3) 自然石ブロック底面レベリングの加工実験 p.44
(4) 基盤への設置・固定実験 p.44
(5) 評価 p.45
3.4.2 注入方式 p.46
(1) 本手法の概念 p.46
(2) 使用材料 p.47
(3) 基盤への設置・固定実験 p.49
(4) 評価 p.49
3.5 結果および考察 p.50
3.5.1 レベリング方式 p.50
(1) 自然石ブロック底面のレベリングの加工性 p.50
(2) 基盤上への設置 p.50
(3) 段差 p.50
3.5.2 注入方式 p.51
(1) 自然石の敷設 p.51
(2) グラウト注入 p.51
(3) 段差 p.51
3.6 まとめ p.56
3.6.1 レベリング方式 p.56
3.6.2 注入方式 p.56
3.7 ロボットアスファルトフィニッシャの研究の概要 p.58
3.7.1 研究着手の背景と研究の目的 p.58
3.7.2 研究の概要 p.58
3.7.3 研究成果の概要 p.59
(1) アスファルト混合物の自動供給装置 p.59
(2) 舗装厚・高さ制御とその管理の自動化 p.60
(3) スクリード幅員の自動伸縮の制御 p.61
(4) ステアリングの自動制御 p.62
(5) 混合物運搬ダンプトラックの受け入れの半自動化 p.63
参考文献 p.64

第4章 使用材料の詳細な検討 p.65
4.1 諸言 p.65
4.2 研究の概要 p.65
4.2.1 開発目標の設定 p.65
(1) FEM解析による目標弾性係数の設定 p.65
(2) 小規模注入実験による目標とする流動性(Pフロート流下時間)の設定 p.65
4.2.2 CAモルタル用アスファルト乳剤の試作 p.65
4.3.2 配合の検討 p.66
(1) セメントの選定 p.66
(2) E/Cの検討 p.67
(3) 弾性係数の確認 p.67
4.2.4 凍結融解抵抗性の確認 p.68
4.3 結果および考察 p.68
4.3.1 開発目標の設定 p.68
(1) FEM解析による目標弾性係数の設定 p.68
1) 注入層(上面・下面)の発生応力 p.69
2) 自然石舗装各層の発生応力 p.71
3) 開発目標の設定 p.76
4) 小規模注入実験による目標とする流動性(Pロート流下時間)の設定 p.76
4.3.2 CAモルタル用アスファルト乳剤の試作 p.77
(1) アスファルト乳剤とは p.77
(2) 乳化剤とアスファルト乳剤 p.79
(3) 乳化剤の選定とアスファルト乳剤の試作 p.80
4.3.3 配合の検討 p.81
(1) セメントの選定 p.81
(2) E/Cの検討結果 p.83
(3) 弾性係数 p.84
4.3.4 注入層の密度~圧縮強度の関係 p.85
4.3.5 凍結融解抵抗性の確認 p.86
1) CAモルタル p.86
2) セメントモルタル p.86
(2) 供試体 p.86
1) 注入層を想定した供試体 p.86
2) 敷きセメントモルタル層を想定した供試体 p.86
(3) 強度試験結果 p.86
(4) 凍結融解試験結果 p.88
4.4 まとめ p.91
参考文献 p.93

第5章 構内試験施工と載荷試験・施工機械の開発 p.94
5.1 諸言 p.94
5.2 研究の概要 p.94
5.2.1 試験施工 p.94
5.2.2 静的載荷試験 p.96
(1) 接着層の違いの影響 p.97
(2) ブロック寸法の影響 p.98
(3) 載荷位置の影響 p.98
(4) 目地材の有無の影響 p.98
(5) 自然石ブロック層の構造的な評価 p.98
1) ブロック表層の等価弾性係数の推定 p.99
2) ブロック表層の等価換算厚の推定 p.100
5.2.3 施工機械開発 p.101
5.3 結果および考察 p.101
5.3.1 試験施工 p.101
(1) 試験施工で使用するCAモルタル p.101
(2) 施工方法 p.101
5.3.2 静的載荷試験結果 p.102
(1) 接着層の違いの影響 p.102
(2) ブロック寸法の影響 p.105
(3) 載荷位置の影響 p.106
(4) 目地材の有無の影響 p.108
(5) 自然石ブロック層の構造的な評価 p.109
1) ブロック表層の等価弾性係数の推定 p.109
2) ブロック表層の等価換算係数の推定 p.110
5.3.3 施工機械の開発 p.111
5.4 まとめ p.113

第6章 FEMによる注入方式の適用性の照査 p.115
6.1 諸言 p.115
6.2 研究の概要 p.115
6.2.1 ブロックの縦横比に関する検討 p.115
6.3.2 ブロック平面寸法と厚さを変化させた場合の引張応力の検討 p.115
6.3.3 岸壁等の載荷された場合の応力解析 p.116
6.3.4 鉄輪が載荷された場合の応力解析 p.116
6.4 結果および考察 p.116
6.4.1 ブロックの縦横比に関する検討結果 p.116
(1) グラウト注入前に工事用車両等が通行した場合を想定した検討 p.116
1) 計算条件 p.116
2) 計算モデル p.116
3) 一様路盤に置いた場合の計算結果 p.117
(3) 注入方式とした場合 p.119
1) 注入方式の舗装構成と計算条件 p.119
2) 注入方式を適用した場合の計算結果 p.120
6.4.2 ブロック平面寸法と厚さを変化させた場合の引張応力の検討 p.123
(1) 計算条件 p.123
(2) 計算モデル p.123
(3) 計算結果 p.124
(4) 必要ブロック厚さの推定 p.125
(5) 結果のまとめ p.127
6.4.3 岸壁等のスラブ上に適用した場合の自然石ブロック寸法と発生応力 p.128
(1) 舗装構造モデル p.128
(2) 荷重条件 p.129
(3) 各層の弾性係数 p.129
(4) 計算条件 p.130
(5) 応力読み取り位置 p.130
(6) 計算結果 p.131
1) 舗装各層に発生する応力 p.131
2) 結果のまとめ p.133
参考資料a p.134
6.4.4 鉄輪が載荷された場合の応力解析 p.135
(1) 舗装断面モデル p.135
(2) 載荷条件 p.135
(3) 目地の充填による分類 p.137
(4) 計算結果 p.137
(5) 結果のまとめ p.139
6.5 まとめ p.140

第7章 実路への適用 p.142
7.1 諸言 p.142
7.2 研究の概要 p.142
7.3 結果および考察 p.142
7.3.1 大分県別府市道での適用例 p.142
(1) 概説 p.142
(2) 工事の概要 p.142
(3) 舗装構成・施工方法の概要 p.143
(4) 施工状況 p.143
(5) 供用状況 p.144
7.3.2 清水港岸壁での適用例 p.145
(1) 概説 p.145
(2) 工事の概要 p.145
(3) 舗装構成 p.145
(4) 施工方法 p.146
(5) 施工状況 p.147
(6) 施工後の状況 p.147
7.3.3 その他の適用事例 p.149
(1) 施工実績 p.149
(2) 代表的な適用事例 p.150
(3) 注入方式の応用例-小舗石を用いたハンプへの適用例 p.151
7.4 まとめ p.152

第8章 結論 p.153
謝辞 p.156

近年は,経済発展や国民の価値観の多様化などを背景に,車両や歩行者の通行を目的とした舗装本来の機能のほかに,ゆとりやうるおいいの感じられる美しい道路空間の創造に寄与する舗装が要求されるようになった。すなわち,景観舗装の誕生である。
 景観舗装には様々な種類があり,自然石舗装(天然石舗装)は特に重厚な質感と落ち着いた色調や高級感等が期待できることから,歴史的な街並みなどをはじめ需要が多い。
 しかし,当該舗装は,車両,特に大型車が通行する箇所に適用した場合に,舗設後1年以内の破損が避けられないのが現状である。
 本研究は、これら破損原因を特定するとともに、車道に適用した場合に、十分な耐久性が確保できる自然石舗装据え付け方法を開発しようとするものである。
 本研究では、先ず、現場調査,室内実験およびFEM解析を行い、接着層のセメントモルタルの強度のムラが破損原因であることを明らかにした。次いで、室内実験およびFEM解析による予備的研究で設置方法を検討。単粒度砕石を敷均し、この上に自然石ブロックの上面高さを揃え設置、砕石層と目地部に弾性係数が2,000~14,000N/mm2となるセメント・アスファルト乳剤モルタルを注入することで、車両通行時の最大応力がアスファルト舗装基盤に発生し、自然石ブロック舗装の高耐久性が得られることを明らかにした。
 室内実験で同グラウトの配合等を検討,試験施工等で施工方法を確立後、実路での適用性を検証した結果、当該設置方法では、7年以上の耐久性を確保できることが実証できた。
 第1章では、研究の背景として、自然石ブロック舗装の普及の経緯、車道を対象とした自然石ブロック舗装の供用性の実態と問題点および耐久性に優れる自然石ブロック据え付け工法の開発の必要性を示し、研究目的を明確にしている。
 第2章では、車道に適用されている自然石ブロック舗装の実態調査,室内実験およびFEM解析を実施し、(1)破損の原因が接着層のセメントモルタルにある、(2)セメントモルタル層の強度のバラツキが主たる破損原因である、などを明確にしている。
 第3章では、予備的実験として,接着層に強度ムラが生じない自然石ブロック据え付け方法を検討した。具体的には,(1)自然石ブロックを裏返しで型枠に設置,接着層の強度ムラの1因となる底面の凹凸を流動性のある材料で平滑に加工した後に,基盤に接着,(2)単粒度砕石を敷均し、この上に自然石ブロックの上面高さを揃え設置後グラウトを注入,の2法の適用性を検討した。この結果,後者による据え付け方法が適当と判断した。
 第4章では,先ず,FEM解析で注入層および目地材の開発目標を設定した。この結果,注入層および目地材ともに,弾性係数を2,000~14,000N/mm2とすることが適当と推定され,これを満足する材料としてはセメント・アスファルト乳剤モルタル(以下CAモルタルと記述)が最適と判断した。次いで,アスファルト乳剤の開発と併用する材料の選定後,室内模型実験などにより配合を決定した。
 第5章では,構内試験施工を行い施工方法を検討したほか,載荷実験を実施した。これにより,(1)CAモルタルを目地部から注入することで砕石層と目地部の双方にムラなく充填できる,(2)従来工法で据え付けた場合との相違,(3)ブロック寸法および目地材の影響,などが明らかになった。また,施工規模別のCAモルタルの製造機械と注入装置を開発した。
 第6章では,(1)自然石ブロックの縦横比の影響,(2)自然石ブロックの厚さの影響,(3)鉄輪(山車の車輪等)が載荷した場合の供用性等をFEM解析で照査した。これにより,(1)最適なブロックの縦横比,(2)ブロック平面寸法と必要厚さの関係,(3)鉄輪が載荷する場合には,角欠けを防止するためにCAモルタルを目地表面付近まで充填することが効果的である,等が明らかとなった。
 第7章では,実路に適用した場合の供用性等の調査結果を整理している。具体的には,適用箇所の舗装構成,気象条件,交通条件,施工状況および供用性の経時変化などである。これらの結果,舗設後7年以上経過した適用箇所を含め,全適用箇所で破損が生じずに良好な供用性を呈していることが明らかとなった。
 第8章では,本研究で得られた成果をまとめて結論として述べている。
 本研究の成果は,従来工法に比べ車両,特に大型車が通行する自然石ブロック舗装の耐久性や経済性を数段改善するもので,景観設計,構造設計等の技術指針として使用可能であり,景観舗装の発展に貢献するものである。

非公開論文

お気に入り

マイメニューの機能は、JavaScriptが無効なため使用できません。ご利用になるには、JavaScriptを有効にしてください。

ページの先頭へ戻る