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並列連接符号のインパルス性雑音通信路への適用に関する研究

氏名 小池 清之
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博甲第236号
学位授与の日付 平成14年3月25日
学位論文題目 並列連接符号のインパルス性雑音通信路への適用に関する研究
論文審査委員
 主査 教授 荻原 春生
 副査 教授 島田 正治
 副査 教授 吉川 敏則
 副査 助教授 太刀川 信一
 副査 助教授 中川 健治

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第1章 序論 p.1
1.1 研究背景 p.1
1.2 本研究の目的 p.4
1.3 本論文の概要 p.4
第2章 並列連接符号 p.7
2.1 ターボ符号 p.7
2.1.1 ターボ符号器の構成 p.7
2.1.2 要素符号器 p.9
2.1.3 インタリーバ p.10
2.2 並列連接トレリス符号化変調(PCTCM) p.12
2.2.1 トレリス符号化変調(TCM) p.13
2.2.2 PCTCMの符号器構成 p.15
2.2.3 要素符号器 p.16
2.2.4 インタリーバ/デインタリーバ p.16
2.2.5 間引き p.17
第3章 インパルス性雑音通信路 p.18
3.1 非ガウス性雑音のモデル p.18
3.1.1 非ガウス性雑音の分類 p.18
3.1.2 ミクスチャ・モデル p.19
3.1.3 インパルス性雑音の確率密度関数 p.20
3.1.4 2次元の確率密度関数 p.22
3.1.5 ミドルトンのクラスAモデルとの関係 p.24
3.2 インパルス性雑音通信路 p.25
3.2.1 インパルス性雑音の発生形態 p.25
3.2.2 隠れマルコフモデル(HMM)によるバースト性雑音の発生方法 p.27
第4章 インパルス性雑音通信路に対する並列違接符号の復号アルゴリズム p.30
4.1 最大事後確率復号による繰り返し復号 p.30
4.1.1 最大事後確率復号 p.30
4.1.2 繰り返し復号 p.33
4.2 ランダム生起インパノレス性雑音通信路への応用 p.40
4.2.1 バイナリターボ符号における復号特性 p.40
4,2.2 PCTCMにおける復号特性 p.42
4.3 マルコフ生起インパルス性雑音通信路への応用 p.44
4.3.1 システムモデル p.44
4.3.2 復号におけるバースト生起モデル考慮の必要性 p.45
4.3.3 バイナリターボ符号におけるビット送出順について p.46
4.3.4 復号アルゴリズムの拡張 p.47
4.3.5 バイナリターボ符号における復号アルゴリズム p.50
4.3.6 バイナリターボ符号における復号特性 p.55
4.3.7 ビット送出順と復号特性の関係について p.58
4.3.8 PCTCMにおける復号アルゴリズム p.61
4.3.9 PCTCMにおける復号特性 p.63
第5章 インパルス性雑音通信路に対するバイナリターボ符号の特性評価 p.65
5.1 AWGN通信路における特性評価 p.66
5.1.1 ワード誤り率 p.66
5.1.2 ビット誤り率の上界 p.67
5.1.3 一様インタリーバ p.67
5.1.4 ターボ符号の重み母関数 p.68
5.1.5 状態遷移行列によるビット誤り率の上界計算法 p.69
5.2 Bhattacharyya boundによるランダム生起インパルス性雑音通信路に対するターボ符号の特性評価 p.72
5.2.1 AWGN通信路との相違点 p.72
5.2.2 シミュレーション結果の比較 p.73
5.2.3 符号探索結果 p.74
5.3 バースト生起インパルス性雑音通信路に対するターボ符号の特性評価 p.75
5.3.1 重み母関数の拡張 p.75
5.3.2 ビット送出順BO2に対する計算法 p.77
5.3.3 複合トレリスによる計算概念の理解 p.80
5.3.4 状態遷移行列の拡張 p.82
5.3.5 ビット送出順BO1に対する計算法 p.84
5.3.6 シミュレーション結果との比較 p.85
5.3.7 符号探索結果 p.91
第6章 インパルス性雑音通信路に対するPCTCMの特性評価 p.93
6.1 PCTCMへの拡張 p.93
6.1.1 システムモデル p.93
6.1.2 多値化の考慮 p.94
6.1.3 間引き処理の考慮 p.95
6.1.4 PCTCMの条件付重み母関数 p.97
6.1.5 PCTCMにおける要素符号器の状態遷移行列 p.99
6.2 バースト生起インパルス性雑音通信路への拡張 p.101
6.2.1 要素符号器1に対する考慮 p.103
6.2.2 要素符号器2に対する考慮 p.104
6.2.3 ビット誤り率の上界の計算例 p.104
6.2.4 シミュレーション結果との比較 p.106
6.2.5 符号探索結果 p.109
第7章 復号器のパラメータが通信路パラメータに適合しない楊合の考寮 p.116
7.1 インパルス性雑音の発生率と分散が異なる場合 p.116
7.2 HMMの状態遷移確率が異なる場合 p.120
7.3 インパルス性雑音の分布が異なる場合 p.120
7.4 実際の通信路を考慮した復号器モデルの提案 p.121
7.5 バイナリターボ符号に対する提案復号器モデルの有効性について p.123
第8章 結論 p.127
謝辞 p.131
参照文献 p.132
付録A 2次元のコーシー分布の確率密度関数について p.137
付録B バイナリターボ符号の緑り返し復号に用いる事後値の事前値,通信路値,外部値への分離 p.140
付録C バイナリターボ符号の上界計算において入カ重みの打ち切リがビット誤り率計算値に与える影響 p.142
付録D PCTCMの上界計算において入カ重みの打ち切りがビット誤り率計算値に与える影響 p.144
本研究に関する発表論文一覧 p.147

並列連接符号は,繰り返し復号と組み合わせることで優れたビット誤り率特性示すことが知られており,現在盛んに研究されている.しかし,インパルス性雑音通信路への適用を論じた研究はこれまでには無かった.インパルス性雑音は,その発生自体は非常に稀な現象である反面,それが発生したときは通信環境を著しく悪化させる要因となる.本論文は,並列連接符号をインパルス性雑音通信路に適用する際の復号法の研究,及び通信路に適した符号を構成するための解析法の研究についてまとめたものである.
 本論文は第1章から第8章で構成される.第1章は本論文の序論であり,この研究の背景を示し,研究の目的について説明する.
 第2章では,本研究の対象である並列連接符号について説明する.2値伝送系におけるターボ符号,及び多値伝送系への展開を図った並列連接トレリス符号化変調について,それぞれ構成を示し,各部の機能を説明する.
 第3章では,インパルス性雑音通信路について説明する.インパルス性雑音は非ガウス性雑音の一種であるので,この章では最初に非ガウス性雑音のモデルについて概要を述べ,次に本研究におけるインパルス性雑音による通信路モデルについて説明する・インパルス性雑音の発生形態にはランダム的発生とバースト的発生があり,本論文ではその双方について説明する.そして,バースト的雑音発生を模擬するために導入した隠れマルコフモデルによるマルコフ生起雑音通信路について説明する.
 第4章では,インパルス性雑音通信路に対する並列連接符号の復号アルゴリズムを提案する.最初に,最大事後確率復号の基本事項と,その軟判定出力を利用する繰り返し復号の概要について説明する.そして,これをランダム生起インパルス性雑音通信路へ適用するための方法を提案する.提案法に基づいた復号特性のシミュレーション結果を示し,提案法の有効性を考察する.次に,マルコフ生起インパルス性雑音通信路への拡張を述べる.ここでは,復号時に隠れマルコフモデルを考慮する新たな復号アルゴリズムを提案する.シミュレーション結果を示し,マルコフ生起インパルス性雑音通信路において,復号時に隠れマルコフモデルを考慮することの有効性について述べる.
 第5章では,インパルス性雑音通信路に対するバイナリーターボ符号の特性評価法を説明する.最初にBenedettoらの研究で与えられたAWGN(additive white Gaussian noise)通信路におけるターボ符号の特性評価法について説明する.実際の数値計算では,インパルス性雑音通信路への拡張,及び並列連接トレリス符号化変調への拡張を考慮して,Viterbiらの提案による状態遷移行列による上界計算法を適用する.次に,以上の方法にバタチャリャバウンドの考え方を導入することで,ランダム生起インパルス性雑音通信路に対しターボ符号の特性評価が可能となることを示す.その上界計算結果とシミュレーション結果との比較から,提案方法の有効性を確認し,ビット誤り率に関し最適な符号の探索を行う.更に,隠れマルコフモデルによる通信路モデルを仮定し,雑音状態のトレリスを考慮した重み母関数の考え方を提案し,バースト生起インパルス性雑音通信路に対するターボ符号の特性評価法を導出する.次いで,シミュレーション結果との比較により提案方法の妥当性を示し,ビット誤り率に関し最適な符号の探索を行う.
 第6章では,インパルス性雑音通信路に対する並列連接トレリス符号化変調系の特性評価について説明する.最初にAWGN通信路を仮定し,バイナリーターボ符号の特性評価法の考え方を多値化及び間引き処理を考慮法して並列連接トレリス符号化変調へ拡張する.次に,この方法をバースト生起インパルス性雑音通信路へと拡張する.そして,シミュレーション結果との比較により提案方法の妥当性を示し,ビット誤り率に関し最適な符号の探索を行う.
 第7章では,復号器のパラメータが通信路パラメータに適合しない場合について考察する.本研究では復号に際し通信路のモデルを用いるため,実際は通信路パラメータの推定が必要になり,そのパラメータが通信路パラメータに適合しない場合が想定される.この点を考慮して、インパルス性雑音の発生率と分散が異なる場合,隠れマルコフモデルの状熊遷移確率が異なる場合,インパルス性雑音の分布が異なる場合について,シミュレーション結果を示す.この結果から,復号器のパラメータが通信路パラメータに適合しない場合に,ビット誤り率にどのような影響があるかを考察する.また,その結果を踏まえ,実際の場合を考慮した復号器モデルを提案する.
 第8章は,本論文の結論であり,本研究を通じて得られた成果及び課題を総括して述べる.

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