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Al-Ti基4元系L12型単層合金の常温延性に関する研究

氏名 山本 恭永
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博乙第200号
学位授与の日付 平成15年3月25日
学位論文題目 Al-Ti基4元系L12型単層合金の常温延性に関する研究
論文審査委員
 主査 教授 小島 陽
 副査 教授 福澤 康
 副査 助教授 鎌土 重晴
 副査 助教授 南口 誠
 副査 東京大学 助教授 岡崎 正和

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目次

第1章 序論 p.1
 1.1 金属間化合物について p.1
 1.2 Al3Tiの従来の研究 p.5
 1.3 本研究の目的 p.7
 1.4 本論文の構成 p.9

第2章 4元系Ll2型合金の1450Kにおける単相領域の検討 p.12
 2.1 第4元素X(X=Zr,V,Ag,Ga)を固溶したLi2型{(Al,Mn)3Ti}(1-n)Xn合金の単相領域 p.12
 2.1.1 目的 p.12
 2.1.2 実験方法 p.13
 2.1.3 実験結果および考察 p.15
 2.1.3.1 L12単相領域および優先サイトについて p.15
 2.1.3.2 4元系L12相の格子定数の組成依存性 p.22
 2.1.3.3 関連相について p.24
 2.1.4 小括 p.27
 2.2 2種類の3元系L12型単相合金を組み合わせた4元系L12型{(Al,X)3Ti}(1-n){(Al,Y)3Ti}n(X,Y=Mn,Cr,Ag,Fe)合金の単相領域 p.30
 2.2.1 目的 p.30
 2.2.2 実験方法 p.31
 2.2.3 実験結果および考察 p.33
 2.2.3.1 組織観察 p.33
 2.2.3.2 格子定数 p.36
 2.2.3.3 連結L12単相領域のパイプ形状 p.39
 2.2.4 小括 p.44

第3章 4元系L12型単相合金の1450Kにおける格子定数および粉末試料中に残留するひずみの検討 p.47
 3.1 種々の元素X(X=Zr,V,Ag,Ga)を含んだ4元系L12型{(Al,Mn)3Ti}(1-n)Xn単相合金粉末試料中の残留ひずみ p.47
 3.1.1 目的 p.47
 3.1.2 実験方法 p.48
 3.1.3 実験結果および考察 p.50
 3.1.3.1 ヴィッカース硬さ試験 p.50
 3.1.3.2 X線回折線の形状 p.51
 3.1.3.3 ミクロ・クラックの発生荷重と残留ひずみ量 p.52
 3.1.4 小括 p.55
 3.2 Al-Ti基4元系L12型{(Al,X)3Ti}(1-n){(Al,Y)3Ti}n単相合金粉末試料中の残留ひずみ p.57
 3.2.1 目的 p.57
 3.2.2 実験方法 p.57
 3.2.3 実験結果および考察 p.60
 3.2.3.1 格子定数 p.60
 3.2.3.2 ポアの面積率とサイズ p.61
 3.2.3.3 残留ひずみと組成 p.66
 3.2.3.4 残留ひずみと格子定数 p.68
 3.2.4 小括 p.70

第4章 4元系L12型単相合金の1450Kにおける粉末中の残留ひずみおよび曲げ延性の検討 p.73
 4.1 L12型{(Al,Mn)3Ti}(1-n)(V)n合金粉末中の残留ひずみおよび曲げ延性に及ぼすVの影響 p.73
 4.1.1 目的 p.73
 4.1.2 実験方法 p.74
 4.1.3 実験結果および考察 p.75
 4.1.3.1 組織観察 p.75
 4.1.3.2 残留ひずみとV量 p.75
 4.1.3.3 残留ひずみと曲げひずみ p.76
 4.1.4 小括 p.78
 4.2 種々の元素Xを含んだ4元系L12型{(Al,X)3Ti}(V)合金の格子定数と残留ひずみへのV添加の影響 p.81
 4.2.1 目的 p.81
 4.2.2 実験方法 p.81
 4.2.3 実験結果および考察 p.83
 4.2.3.1 組織およびEPMA分析 p.83
 4.2.3.2 L12相の回折図形および残留ひずみ p.84
 4.2.3.3 V添加した種々の第3元素を含む合金の格子定数 p.90
 4.2.4 小括 p.94

第5章 4元系L12型単相合金の1450Kにおける曲げ延性に及ぼす組成の検討 p.97
 5.1 TiおよびMn含有量に富むL12型{(Al,Mn)3Ti}(1-n)(V)n合金の常温延性 p.97
 5.1.1 目的 p.97
 5.1.2 実験方法 p.97
 5.1.3 実験結果および考察 p.99
 5.1.3.1 組織観察 p.99
 5.1.3.2 曲げひずみに及ぼすVとTi量 p.99
 5.1.3.3 破断面観察 p.101
 5.1.4 小括 p.103
 5.2 Ti含有量に富むL12型{(Al,X)3Ti}(1-n){(Al,Y)3Ti}n合金の常温延性 p.106
 5.2.1 目的 p.106
 5.2.2 実験方法 p.106
 5.2.3 実験結果および考察 p.108
 5.2.3.1 組織観察 p.108
 5.2.3.2 残留ひずみと曲げひずみ p.110
 5.2.3.3 破断面観察 p.111
 5.2.4 小括 p.112
第6章 総括 p.114
 6.1 まとめ p.114
 6.2 今後の課題と展望 p.119

本研究と関連した論文 p.122
その他の論文 p.125
謝辞 p.129

 本論文は、金属間化合物Al3Tiに遷移金属元素を添加したAl-Ti基3元系Ll2型合金の常温延性の改善を図る試みの一つとして4元系に着目し、4元系Ll2型合金の1450Kにおける単相領域の検討、4元系Ll2型単相合金の格子定数および粉末試料中の残留ひずみの検討、4元系Ll2型単相合金の粉末試料中の残留ひずみとバルク試料の曲げひずみの検討、ならびに4元系Ll2型単相合金の曲げひずみに及ぼす組成の検討の4部分から構成され、それぞれの要旨は以下のとうりである。
1.4元系Ll2型合金の1450Kにおける単相領域の検討
 広いLl2型単相領域を持つ3元系(AlMn)3Ti合金をベースに、その構成元素の組成比を変えずに第4元素(X=Zr,V,Ag,Ga)を添加した4元系(AlMn)3Ti(X)合金は明瞭にLl2単相領域を形成し、第4元素の最大固溶量はGaの13mo1%であった。また、Ll2相境界面の形状から推定したZr,V,Gaの固溶サイトはAlとTiで優先占有サイトはAlであるが、AgはAlサイトを占有した。また、格子定数の変化は添加第4元素の原子サイズで説明できた。
一方、2種類の三元系Ll2型単相合金を組合せた4元系Ll2型(AlY,Z)3Ti(Y,Z=Mn,Cr,Ag,Fe)合金のLl2単相領域はパイプ形状であった。これら合金の格子定数変化は組合せた第4元素の原子サイズに依存した。またポア量はAg添加合金で多く観察された。そしてEngel-Brewer理論の電子濃度(e/a)を3元系Ll2型単相(AlMn)3Ti合金に適用し、単相領域の予測には限界のあることを示した。
2.4元系Ll2型単相合金の格子定数および粉末試料中の残留ひずみの検討
 第4元素を添加したLl2型単相(AlMn)3Ti(X)合金の粉末化試料を用いてX線回折法(Wilson法)で定量的に求めた残留ひずみと単相材の硬さ測定に際してミクロ・クラックの発生する荷重を比較したところ、残留ひずみとミクロ・クラック発生荷重は正の相関を示し、V添加は両者の値を増大させた。また3元系Ll2型(AlMn)3Ti合金の残留ひずみ量はAl-Mn側の中央の組成で最大値を示した。一方、組合せた4元系Ll2型(AlY,Z)3Ti合金の添加元素Y,Zによる格子定数の変化は原子サイズ効果で説明できた。また、Ag添加4元系合金の残留ひずみの変化は直線回帰分析からポア面積率とポアサイズにより説明できた。
3.4元系Ll2型単相合金の粉末試料中の残留ひずみとバルク試料の曲げひずみの検討
 4元系Ll2型単相(AlMn)3Ti(V)合金の粉末試料中の残留ひずみはV添加量と共に増加した。また残留ひずみと3点曲げ試験による曲げひずみは正の相関を持ち、曲げひずみは6mo1%までのV量と共に増加した。一方、種々の3元系Ll2型単相(AlD)3Ti(D=Ag,Mn,Cr,Fe,Ni,Cu)合金にVを添加した時、格子定数は減少する傾向であったが、Cr,Cu,Ni添加合金との相関は明瞭ではなかった。8mo1%Vを固溶したLl2型(AlMn)3Ti(V)合金は最も多量の残留ひずみを形成した。
4.4元系Ll2型単相合金の曲げひずみに及ぼす組成の検討
 4元系Ll2型単相(AlMn)3Ti(V)合金の高Ti(.25.74mo1% )および高Mn(.12.5mo1%)組成域でのVの添加は曲げひずみに正の効果を示した。また、曲げひずみはTi量の減少と共に増加した。曲げひずみが0.3%を超えた高Mn合金試料の破断面には数本の帯状濃淡がリバーパターンに重複して観察された。一方、組合せた4元系Ll2型単相(AlMnCr)3Ti合金で26mo1%以上のTiを含む組成では、ポア面積率およびポアサイズはTi量と共に減少する。また、最大曲げひずみは0.49%で、Ti-rich組成側の合金では延性改善の効果は期待できないことがわかった。曲げひずみが0.3%を超えると破断面には数本の帯状濃淡が観察された。

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