本文ここから

硬質地盤におけるシールドトンネル施工の周辺地盤に与える影響に関する研究

氏名 佐藤 豊
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博乙第214号
学位授与の日付 平成16年3月25日
学位論文題目 硬質地盤におけるシールドトンネル施工の周辺地盤に与える影響に関する研究
論文審査委員
 主査 教授 杉本 光隆
 副査 教授 海野 隆哉
 副査 教授 藤田 昌一
 副査 助教授 大塚 悟
 副査 助教授 豊田 浩史
 副査 京都大学大学院 助教授 朝倉 俊弘

平成15(2003)年度博士論文題名一覧] [博士論文題名一覧]に戻る.

目次

第1章 序論 p.1-1
1.1 はじめに p.1-1
1.2 研究の背景と目的 p.1-3
1.3 研究の方法と本論文の構成 p.1-4
1.4 既往の研究 p.1-7
1.4.1 素堀解析 p.1-7
1.4.2 補正係数を考慮した解析 p.1-7
1.4.3 泥水圧を考慮した解析 p.1-8
1.4.4 テールボイド量を考慮した解析 p.1-8
1.4.5 その他の解析手法 p.1-9
1.4.6 シールドトンネルの裏込め注入材 p.1-9
参考文献(第1章) p.1-10

第2章 実現場における地盤の挙動 p.2-1
2.1 計測現場の概要 p.2-1
2.1.1 計測地点と地盤 p.2-1
2.1.2 シール機とセグメントの概要 p.2-5
2.2 計測内容 p.2-7
2.3 計測結果と考察 p.2-8
2.3.1 地中鉛直変位 p.2-9
2.3.2 地中水平変位 p.2-11
2.3.3 掘削の影響 p.2-13
2.4 まとめ p.2-17
参考文献(第2章) p.2-18

第3章 シールド機テール部横断面内の地盤変位解析 p.3-1
3.1 解析方法 p.3-2
3.1.1 シール機挙動による地盤変位 p.3-2
3.1.2 シール機挙動シュミレーション p.3-4
3.2 二次元解析と計算結果の比較 p.3-8
3.2.1 解析モデルと地盤のモデル化 p.3-8
3.2.2 掘削面変位 p.3-9
3.2.3 解析結果と計測結果の比較 p.3-11
3.3 変位境界を導入した解析の特徴 p.3-13
3.3.1 弾性係数の影響 p.3-13
3.3.2 ポアソン比の影響 p.3-13
3.4 三次元解析と計測結果の比較 p.3-15
3.4.1 解析モデルと地盤のモデル化 p.3-15
3.4.2 掘削面変位 p.3-16
3.4.3 解析結果と計測結果の比較 p.3-18
3.5 まとめ p.3-20
参考文献(第3章) p.3-21

第4章 最終状態のトンネル周辺地盤の地盤変位解析 p.4-1
4.1 解析方法 p.4-2
4.2 解析結果と考察 p.4-3
4.2.1 裏込め注入材の残存率の逆解析 p.4-3
4.2.2 地盤変位 p.4-5
4.3 裏込め注入材の体積変化 p.4-6
4.4 まとめ p.4-8
参考文献(第4章) p.4-9

第5章 シールド機~シールドトンネルのトンネル周辺地盤変位解析 p.5-1
5.1 解析方法 p.5-1
5.2 シールド機~シールドトンネル周辺における地盤変位 p.5-3
5.2.1 カッターファイスにおけるトンネル軸方向変位 p.5-3
5.2.2 シールド機周辺の法線方向変位 p.5-5
5.2.3 シールド機テール以降の法線方向変位 p.5-7
5.3 解析結果と計測結果の比較 p.5-10
5.3.1 トンネル軸方向断面における鉛直変位の比較 p.5-10
5.3.2 トンネル横断面にける鉛直・水平変位の比較 p.5-11
5.4 まとめ p.5-17
参考文献(第5章) p.5-18

第6章 裏込め注入材の物性 p.6-1
6.1 概要 p.6-1
6.2 裏込め注入材の圧密理論 p.6-2
6.3 一軸圧縮強度と弾性係数の関係 p.6-4
6.4 一軸圧縮強度と水センメント比・時間との関係 p.6-8
6.5 裏込め注入材の圧密 p.6-12
6.5.1 透水係数とひずみ・時間の関係 p.6-13
6.5.2 圧密現象 p.6-12
6.5.3 有限差分法による透水係数の同定 p.6-16
6.5.4 供試体のひずみと材料物性の分布 p.6-19
6.6 実現場への適用 p.6-23
6.7 裏込め注入材の体積変化の抑制 p.6-24
6.7.1 使用済み切符の特徴 p.6-24
6.7.2 室内試験と考察 p.6-25
6.8 まとめ p.6-27
参考文献(第6章) p.6-28

第7章 結論 p.7-1
付録 シールド機動力学モデルと周辺地盤変位 付録-1
謝辞 謝辞-1

 本論文は,シールドトンネルの掘進による地盤変位について精度の高い予測手法を確立することを目的としている.まず,詳細な現地計測結果から,シールド近傍の地盤の挙動を把握し,地盤変位の原因が掘削面近傍の変位であることを明らかにしている.次にこの掘削面近傍の変位をシールド機の位置関係から求めて,有限要素解析に直接的に掘削面変位を入力して地盤変位をシミュレートしている.また,シールド通過後においてはこのような地盤変位の継続の原因が裏込め注入材の体積損失によるものであることを明らかにし,裏込め注入の物性についてモデルを提案している.さらに裏込め注入材の体積変化を抑制するための混和材を廃棄物を利用して開発している.
 本論文は,「硬質地盤におけるシールドトンネル施工の周辺地盤に与える影響に関する研究」と題し全7章からなり,各章の構成は以下のとおりである.
 第1章「序論」では,研究対象とする鉄道構造物に近接して施工されるシールドトンネルの特徴を我が国の陸上交通の現状を背景として概観し,本工法の特徴を明確にした上でシールドトンネルによる周辺地盤の変位評価手法について既往の研究成果を整理し,本研究の目的について述べている.
 第2章「実現場における地盤の挙動」では,新幹線軌道直下を通過する大口径シールドトンネルの現場を取り上げ,ここで計測したシールド掘進による地盤変位の挙動を詳述した.特にシールド掘進中の地盤変位の変動と,曲線区間における左右非対称な地盤の変位挙動を明らかにした.さらに,硬質地盤の挙動として切羽や掘削面の自立が計測結果から読み取れることを示した.
 第3章「シールド機テール部横断面内の地盤変位解析」では,シールド機の掘進中の挙動が評価できるシールド機動力学モデルによって得られるシールド掘進中に生ずる掘削面の変位を,強制変位として変位境界を与えるシールド機周辺の地盤変位予測手法を提案するとともに,同手法を現場計測データに適用して同手法による二次元・三次元解析結果を従来の応力境界を用いた解析結果・計測値と比較し,同手法で実地盤の挙動を説明できることを示した.
 第4章「最終状態のトンネル周辺地盤の地盤変位解析」では,シールドトンネル通過後の最終変位がほぼ一様にトンネル内側に向かって変位している現象から,シールドトンネルの裏込め注入材の体積損失がこの主因であるとして,地盤の変位を精度良く推定できる手法を示した.
 第5章「シールド機~シールドトンネルのトンネル周辺地盤変位解析」では,トンネル周辺地盤の地盤変位解析」では,第3章,第4章で提案する手法をさらに発展させ,シールド機周面のみならず,カッターフェイスと既に掘削されたトンネル部の掘削面変位を考察し,シールド機~トンネル全体にわたる地盤変位を精度良く解析により表現した.
 第6章「裏込め注入材の物性」では,第4章で示したシールド機テールの通過以降の地盤変位の原因と考えられるシールドトンネルの裏込め注入材の物性について要素試験を元に定式化し,裏込め注入材の体積減少を支配する圧密と強度増加の関係を明らかにした.また,体積減少を抑制できる廃棄物を利用した裏込め注入材の混和材を開発し,その成果を示している.
 第7章「結論」では,以上各章の結論を総括している.

非公開論文

お気に入り

マイメニューの機能は、JavaScriptが無効なため使用できません。ご利用になるには、JavaScriptを有効にしてください。

ページの先頭へ戻る