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自然対流を伴う水平管内の定常流および脈動流れに関する研究

氏名 野村 高広
学位の種類 博士(工学)
学位記番号 博乙第197号
学位授与の日付 平成15年3月25日
学位論文題目 自然対流を伴う水平管内の定常流および脈動流れに関する研究
論文審査委員
 主査 教授 白樫 正高
 副査 教授 増田 渉
 副査 教授 青木 和夫
 副査 教授 金子 覚
 副査 助教授 門脇 敏
 副査 助教授 高橋 勉

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目次

第1章 緒論 p.1
 1.1 まえがき p.1
 1.2 従来の研究 p.2
 1.3 目的 p.3
 1.4 本論文の構成 p.3
 1.4.1 仮定,基礎式,無次元数(第2章) p.3
 1.4.2 水平円管内定常流(第3章) p.4
 1.4.3 水平長方形管内定常流(第4章) p.4
 1.4.4 水平正方形管内定常流におけるプラントル数の影響(第5章) p.5
 1.4.5 水平長方形管内定常流におけるアスペクト比の影響(第6章) p.5
 1.4.6 水平正方形管内脈動流れ(第7章) p.6
 1.5 記号 p.7

第2章 仮定,基礎式,無次元数 p.9
 2.1 仮定 p.9
 2.2 円管における基礎式(円柱座標) p.10
 2.2.1 連続の式 p.10
 2.2.2 運動方程式 p.11
 2.2.3 エネルギー式 p.12
 2.3 長方形管における基礎式(直角座標) p.13
 2.3.1 連続の式 p.13
 2.3.2 運動方程式 p.14
 2.3.3 エネルギー式 p.15
 2.4 無次元数Re,Ra,Pr p.15

第3章 水平円管内定常流 p.17
 3.1 緒言 p.17
 3.2 基礎式および数値解析 p.18
 3.3 計算結果および考察 p.22
 3.3.1 w,θ,u,ν,Φの等高線分布 p.22
 3.3.2 二次元流れ速度ベクトル p.24
 3.3.3 wの鉛直直径上分布 p.24
 3.3.4 θの鉛直直径上分布 p.27
 3.3.5 uの鉛直直径上分布とνの水平直径上分布 p.27
 3.3.6 熱伝達と摩擦損失 p.30
 3.4 結言 p.32

第4章 水平長方形管内定常流 p.33
 4.1 緒言 p.33
 4.2 基礎式および数値解析 p.34
 4.3 計算結果および考察 p.38
 4.3.1 w,θ,Φの等高線分布 p.38
 4.3.2 管中心を通る鉛直・水平軸上分布 p.42
 4.3.3 局所の摩擦損失・熱伝達 p.44
 4.3.4 平均摩擦損失・熱伝達 p.46
 4.3.5 付随渦発生境界ReRa値の直前および直後のw,θ,Φの等高線分布 p.49
 4.3.6 平均軸方向速度比w/w0 p.53
 4.3.7 平均摩擦損失比f/f0 p.53
 4.3.8 平均ヌセルト数比Nu/Nu0 p.55
 4.3.9 w/w0,f/f0,Nu/Nu0とγとの関係 p.57
 4.3.10 付随渦発生境界ReRa値とPrの関係 p.57
 4.3.11 付随渦発生境界ReRa値とγの関係 p.59
 4.4 結言 p.61

第5章 水平正方形管内定常流におけるプラントル数の影響 p.63
 5.1 緒言 p.63
 5.2 基礎式及び数値解析 p.64
 5.3 計算結果及び考察 p.64
 5.3.1 w,θ,Φの等高線分布 p.64
 5.3.2 w,θの鉛直・水平軸上分布 p.66
 5.3.3 局所の摩擦損失・熱伝達 p.67
 5.3.4 平均摩擦損失・熱伝達 p.70
 5.4 結言 p.71

第6章 水平長方形管内定常流におけるアスペクト比の影響 p.72
 6.1 緒言 p.72
 6.2 基礎式及び数値解析 p.72
 6.3 計算結果及び考察 p.73
 6.3.1 w,θ,Φの等高線分布 p.73
 6.3.2 νの分布 p.77
 6.3.3 局所の摩擦損失・熱伝達 p.80
 6.3.4 平均摩擦損失・熱伝達 p.81
 6.3.5 γと付随渦の発生数 p.84
 6.4 結言 p.85

第7章 水平正方形管内脈動流れ p.86
 7.1 緒言 p.86
 7.2 基礎式及び数値解析 p.87
 7.3 計算結果及び考察 p.91
 7.3.1 定常流の実験値との比較 p.91
 7.3.2 θ,Φの等高線分布 p.92
 7.3.3 wcとθcの変化 p.94
 7.3.4 wとθの鉛直・水平軸上分布 p.95
 7.3.5 1周期における付随渦の強さ p.98
 7.3.6 摩擦損失および熱伝達の変化 p.98
 7.3.7 wmosとθmosの振幅・位相 p.100
 7.3.8 鉛直・水平軸上におけるwosとθosの振幅・位相 p.103
 7.3.9 管断面上全体におけるwosとθosの振幅・位相 p.106
 7.4 結言 p.109

第8章 結論 p.111

謝辞 p.114

付録A 摩擦係数fの計算式導出 p.115
付録B ヌセルト数Nuの計算式導出 p.116

文献 p.117

 現在の精密機器等の小型化に伴う電気素子等の冷却において熱流体輸送の高効率化とともに高精度の温度制御技術を確立することは工業上重要である。そのためには熱流体輸送を行う各種流路内の流れ場および温度場に対する自然対流の影響を明らかにする必要がある。
 本研究では、水平管内の定常流および脈動流れを対象として数値解析を行い、自然対流により管断面上に形成される二次流れが流れ場および温度場に影響を与えることを示し、長方形管においては管の底壁から発生する付随渦を伴う二次流れとなることを明らかにした。この付随渦は摩擦損失や熱伝達を急変させるため、付随渦の発生因子となる作動流体の種類、管断面アスペクト比、脈動周波数などに対して付随渦の発生条件を整理し、自然対流による二次流れの状態を設定する基礎資料となることを目的とした。以下に、各章において得られた結論を要約する。
 第1章「緒論」では、本研究に関連する従来の研究報告について述べるとともに、本研究の目的および概要を示した。
 第2章「基礎式と仮定」では、自然対流を伴う粘性層流を対象として数値解析を行うためには、質量、運動量および熱エネルギーの輸送における保存則に従った基礎式が必要となるが、この導出過程について本研究で取り扱う水平円管および水平長方形管内の二種類の座標系に対して示した。また、本研究を通じて適用される仮定とその適用条件について述べた。
 第3章「水平円管内定常流」では、作動流体は空気および水とし、管路の基礎形状である水平円管の定常流を対象として自然対流の影響を考慮した数値解析を行った。作動流体は空気と水とした。管断面上に発生する一対の二次流れ渦の発生を確認し、浮力の効果を広範囲に設定した場合の流れ場と温度場を示した。また、速度・温度分布や二次流れの流動形態に対する空気と水との比較を行った。
 第4章「水平正方形管内定常流」では、作動流体は空気および水とし、非円管路の代表である水平正方形管の定常流について数値解析を行った。その結果、浮力の効果の大きい場合、第3章で示した水平円管には見られない管断面上に現れる二対目の渦すなわち 付随渦が発生することを示した。この付随渦の発生により摩擦損失および熱伝達は急増し、円管と長方形管との間には自然対流による流動形態に本質的な違いがあることを示した。また、付随渦の発生する機構についても考察した。さらに局所の摩擦損失と熱伝達に関する管壁周囲の分布について付随渦の影響も含めて明らかにした。
 第5章「水平正方形管内定常流におけるプラントル数の影響」では、第3章および第4章で作動流体を空気と水の2種類について示したが、さらに多種類の作動流体に対する知見を得るため、作動流体の物性を決定するプラントル数を広範囲に設定して水平正方形管内定常流における数値解析を行った。まず管軸方向速度、温度、二次流れ速度、流線のプラントル数に対する特性について提示した。さらにプラントル数を変化させた場合の摩擦損失と熱伝達について付随渦の影響も含めて明らかにした。
 第6章「水平長方形管内定常流におけるアスペクト比の影響」では、空気を作動流体とする水平長方形管内定常流において、管断面形状を決定するアスペクト比を広範囲に設定し、その影響について示した。高アスペクト比の横長の断面形状にした場合、複数の付随渦が発生することを明らかにし、その状況での流線、管軸方向速度、温度の相互関係について提示した。さらに摩擦損失と熱伝達に関する管壁周囲の分布およびそれらの平均値の分布について示した。
 第7章「水平正方形管内脈動流れ」では、空気を作動流体とする水平正方形管において、非定常流れの一つである脈動流れを対象として、数値解析を行った。作動流体は空気とし、特に軸方向速度分布および温度分布を対象とし脈動周波数の影響を示した。また、それらの振幅と位相遅れに対する脈動周波数の関係についても提示した。つぎに付随渦と脈動周波数との関係を明らかにするため、定常流において付随渦の発生する条件に対して数値解析し、得られた結果をもとに脈動周波数に対する管軸方向速度、管断面上温度、流線、摩擦損失、熱伝達、付随渦の強さを提示した。その結果、ある脈動周波数においては付随渦の発生・成長・減衰・消滅の過程が存在することを示した。さらに管軸方向速度および管断面上温度の振幅と位相遅れに対する脈動周波数および浮力の効果との関係も明らかにした。
 第8章「結論」では、本論文の各章において得られた結論を総括した。
 以上に示した結論から、本研究では自然対流を考慮した水平管内定常流および脈動流れについて数値解析を行い、自然対流による二次流れが流れ場・温度場に与える影響を示した。また、長方形管においては自然対流の効果が大きい場合に付随渦を伴う二次流れとなることを示し、流体の種類、管断面アスペクト比、脈動周波数に対する付随渦の発生条件を整理することにより、付随渦の発生を含めた二次流れの状態を設定するための基礎資料を提示した。

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